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ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第2章 王都観光
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79話 魔力の花


「すごく綺麗ですね…」


 アリスが虹明花に心を奪われている。


「綺麗だね〜」


 アリスとレイは色んな角度から虹明花を見て、光の反射を楽しんでいる。


 傭兵団の後を追いかけて来たはずの私達は、何故か傭兵団よりも先に虹明花を見つけた。

 傭兵団って優秀な人達なのかな?

 いや、ここは広いからね。

 前もって場所がある程度分かっていた私とレイの方が早く見つかるよね。


「このお花が今回の原因なんですかね?」

「そうっぽいよね〜」


 何で花が原因になるんだろう。

 異世界はよく分からない。


「やっぱりあの時に取って良かったんじゃ〜ん」

「そうだね」


 う〜ん、あんまり厳しくしすぎるのもダメかな。

 ちょっとぐらい気まぐれで自由にさせて、何か問題が起きたら私も手伝ってあげるぐらいがちょうどいいのかな。

 というか、私はレイとアリスの親ですらないし、言ったとしても姉なわけで。


 別にアリスが攻撃魔法を使えなくても、アリスも冒険に出たがってるし連れてってあげた方がいいかな。

 いや、もう攻撃魔法も教えたし、冒険に出るべきだよね。

 その前に強化魔法と飛行魔法を覚えたいけど。


 そういえばこの花、摘んだ方がいいのかな?


「傭兵の誰かに伝えに行きますか?」

「そうしよっか」

「アリスちゃんのお父さんどこかな〜」


 レイはそう言って探し始めた時、アリスはスッと立ち上がると、1人の傭兵の元へ向かう。

 向かった先にアリスのお父さん、ヨハンがいた。

 見つけるのが早い。

 アリスとヨハンが来る。


「見つけたのか?」

「これで合ってる?」

「…あぁ、これで合ってる」


 ヨハンが確かめるように花を見てから答える。


「この花って摘まなきゃいけないの?」

「そうだな。この花は周囲の魔物に影響を与えるから回収しなければならない」

「そうなんだ〜」


 魔物に影響を与える花。

 異世界だね。

 とりあえずこの花は摘まなきゃいけないなら、さっさと取っちゃおう。

 そう思い虹明花を摘むと、ヨハンが声を上げる。


「おい!直接触るな!」


 私は声に驚いて花を地面に落とす。


「え、どうして?」

「その花は近くの魔力を吸う特性がある。少しでも触ると一気に魔力切れになるんだが、大丈夫か?」


 何それ超危険な植物じゃん。

 先に言ってよ。

 でも魔力は一切動いておらず、吸われた感覚はない。


「大丈夫だけど、本当に魔力を吸うの?」

「そのはずなんだが、大丈夫ならそれでいい」


 ヨハンがアイテムボックスから分厚そうな手袋を取り出しつけると、虹明花を拾おうとする。


「ちょっと待って〜!このお花、私達にくれない?」


 レイが提案する。

 確かに、家に飾れたら綺麗だとは思う。

 だけどこれ、危険な花なんだよね?


「それはいいが、これは本当に危険だぞ?」

「ミオちゃんが大丈夫だったんだから、私も大丈夫だよ〜」


 そう言ってレイが花を掴む。


「何してる!」

「ほら〜、何ともない」


 そう言って親指と人差し指で茎を掴んでいるのをヨハンに見せる。

 魔力切れを起こしてる様子はない。

 獣人族の魔力は吸わないとか?


「そう…みたいだな。そうか、なら君達が持っていても構わないが、アリスが触っても大丈夫なのか?」

「多分大丈夫だよ。アリスちゃんも魔法の使い方が上手いからね〜」


 レイは微笑みながらアリスに同意を求めるように見る。

 別にアリスに脅しをかけてるわけではなく、心からそう思ってそうだ。


「そ、そうなんですか?本当に大丈夫なんですか?」

「どうしてそう言えるの?」

「ほら、私達って魔力を扱えるでしょ〜?だから吸われないのかな〜って」


 なるほど。

 その可能性もありそうだけど、ただ確信はない。

 止めた方がいいのかな。


「アリスちゃん、触ってみて〜」


 レイがアリスに虹明花を差し出す。


「大丈夫なのか?」

「魔力切れを起こしてもアリスちゃんは1日寝れば治るみたいだし、大丈夫だよ〜」


 そういう問題じゃないと思うけど。

 アリスが恐る恐る虹明花を触ろうとする。


「行きますよ?」

「いこ〜!」


 レイに煽られ、そのままアリスは虹明花に触れる。


「どう?」

「大丈夫、みたいです」


 アリスが考えながら答える。

 とりあえず何もなくて良かった。


「本当にか?」

「うん、大丈夫」


 ヨハンが心配してるけど、裏腹にアリスは普段通りだ。


「ほら〜、やっぱり私達は大丈夫なんだよ。それじゃあアリスちゃんのお父さん、このお花は貰うよ〜」

「あぁ、好きに持っていってくれ」


 ヨハンからも許可が出た。

 アリスが太陽に虹明花をかざして、虹色に光るのを楽しんでいる。


「俺は他の奴らに虹明花を見つけたことを知らせてくる。特に呼んだりするつもりはないから好きにしてくれ。それとアリスを頼むぞ」

「うん」

「は〜い」


 そう言ってヨハンが去っていく。


「よく私達なら吸われないって分かったね」

「うん?なんとなくだよ〜?」

「なんとなく?」

「うん、なんとなく」


 勘で吸われないって判断したの?


「レイならまだしも、もしアリスが魔力を吸われたらどうするつもりだったの?」

「1日寝れば回復するみたいだし〜、最悪私が魔力を分ければいいかな〜って」


 まあ確かに分ければいいんだけど、もし魔力切れを起こしてたら私達の印象が最悪になってた。

 大丈夫だったからいいけど。


「あんまり危険なことはしないでね?」

「分かってるよ〜」


 レイは笑いながら答える。

 不安だなぁ。



 レイの脳天気さは作者としてもちょっと心配だけど、異世界を楽しむ分にはこのくらいがちょうどいいのかもしれないですね。

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