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ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第1章 ケモ耳 異世界を知る
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6話 ケモ耳の前に佇む関門

 ユスティア、それは始まりの街…

 

 ついにユスティアを囲う壁の目の前にやってきた。

 その壁は約3mといったところで、その石の壁は少しの圧迫感を与えてくる。

 道の先に関門があり、出入りを管理しているようだ。


 関門の前まで来ると、門番に話しかけられる。


「お嬢ちゃんはリアスの妹だな」

「はい」


 そう言うとアリスはカードらしきものを門番に見せる。

 アリスのお姉さんってリアスっていうのか。


「そんでお嬢ちゃんは獣人族か?初めて見たな。旅の者か?」

「うん、そうだよ」

「獣人族ってことはあれか、この大陸の者じゃないよな」

「そうだけど」


 もしかして村八分みたいな?

 国八分はさすがに困るな。


「お嬢ちゃんの大陸には個人カードってあるのか?自分の身分を説明するカードなんだが」

「ないと思う」


 身分証明書か。

 発行できないとかなり厳しそう。


「そうか、なら悪いが通行料として銅貨3枚になる。すまないね」

「いえ、別に」


 まぁこればっかりはカードを持ってない私が悪い。

 私は銅貨を想像しながらアイテムボックスを使おうとするが、一瞬戸惑った。


 ゲームではそこらじゅうでアイテムボックスって聞こえてきたからいいものの、なんか人前で「スキル アイテムボックス」って宣言するの恥ずかしい。

 宣言せずに使えないかな。


 銅貨3枚が出てくることを想像しながら、脳内で「スキル アイテムボックス」と唱える。


 そうすると手のうちに銅貨3枚が現れた。

 声に出さずに使えるのは便利だ。

 私は門番に銅貨を渡す。


「ありがとうな。そんでもう1個あるんだが、お嬢ちゃんの魔力を測らせてくれ」

「いいけど、どうして?」

「魔力って人によって違うものだ。同じ魔力の質を持った者は存在しない。だからあらかじめ魔力を測っておいて、もしこの街を出るときに個人カードを持ってなかったり、犯罪をした場合はその者が誰か判別するために魔力を照らし合わせる必要があるんだ。別に魔力がなくなるようなものではない、安心してくれ」


 そんなことが出来るんだ。


「それじゃあどうすればいい?」

「その台座の上の魔法陣の中央に手を置いてくれ」


 言われた通りに手を置くと魔法陣が青く輝き、やがてその光はなくなった。


「お嬢ちゃん、名前を何て言うんだ?」

「ミオ」


 そう答えると門番は手元の青いタブレット型の魔道具か何かを弄り、そして門番はこちらを向き直した。


「よし、もう魔力登録は出来た。時間をとらせたな、街に行っていいぞ」


 これだけでいいんだ。

 ものすごく便利じゃん。


「あ、聞きたいことがあるんだけど」

「どうした?」

「個人カードの発行ってどうすればいい?」

「そうだな、普通は役所で発行するが、お嬢ちゃんは見た目からして冒険者だろう?冒険者なら冒険者ギルドでも発行することができるぞ」

「わかった、ありがとう」


 門番に礼を言い関門を抜けると、アリスが私のことを待っていた。


「別に待たなくても良かったのに」

「いえ、ミオお姉さんはこのあとどうするつもりなんですか?」

「ひとまず冒険者ギルドに行って、個人カードの発行をしてくるよ」

「個人カード持ってなかったんですね。それなら私も冒険者ギルドへ行きます。そこにお姉ちゃんがいると思うので」

「それじゃあ一緒に行こうか」

「はい、行きましょう」


 街並みはゲームと同じ景観で中世を彷彿とさせる。

 いや中世の街を見たことないけど、多分こんな感じなんだろうな。

 門付近は宿と馬小屋が多い。

 馬を管理する人が泊まる場所なのだろう。


 少し歩くと、大きな広場のような場所に出た。

 広場から様々な方向に道が伸びている。

 そこまで歩いてないから中心地ではないはずだけど、屋台が立ち並び多くの人々で賑わっている。


「こっちの道に行けば冒険者ギルドがあります」


 アリスが案内してくれる。

 冒険者ギルドに向かう途中、何度もチラチラと視線を感じる。


「なんかものすごく見られてない?」


 アリスに話しかけると、アリスがこっちを見る。


「獣人族が珍しいからだと思います」

「そんなに獣人族って珍しいんだ」

「本当にこの大陸にはいませんから。美人の獣人族を見たってこの街で話題になると思いますよ」


 アリスが微笑みながら答える。

 アリスから後光が見える。

 天使のようなこんな妹が欲しい。

 アリスのお姉さんが羨ましい。


「そういえばアリスのお姉さん、リアスって言うの?」

「そうですよ」

「名前似てるね」

「そうなんですよ、あまり関わりがない人だと間違えられるんですよ」

「お姉さんってどんな怪我してるの?」

「お医者さんは骨折してるって言ってました」


 レントゲンとかあるのかな。

 案外文明的?


「骨折とかわかるんだね」

「怪我してる場所を診て、過去の診断結果と照らしながら判断するみたいです」

「そうなんだ」


 さすがにレントゲンはないよね。

 医学の心得はないから、現代医療と比べてどれくらい適切な診断かわからない。

 この世界で診てもらうのってなんか怖いな。


 少し歩くと大きな建物が見えてくる。

 建物の正面に来ると看板があることに気づいた。

 その看板には冒険者ギルドと書かれている。


 あれ?

 日本語で書かれてないけど読めるな。

 読める分には問題ないんだけど、ちょっと不思議な感覚だ。


「ミオお姉さん、行きますよ」


 建物の前で立ち止まっていた私はアリスの後をついていく。


 やっと冒険者ギルドに到着した。

 ミオちゃんは冒険者ギルドに入るのに内心ワクワクしてるでしょう。

 いや、もしかしたら緊張してるかも?

 どっちもかな。

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