56話 仲良しなケモ耳少女達
時間は夕方過ぎ、私とレイはユスティアの東門を抜けたところだ。
私達だけではなく、他の冒険者達もここに戻ってきている。
「ミオちゃ〜ん、私の寝る場所どうするの?」
レイが不安そうに言う。
「どうしよう。ひとまずは私が泊まってる宿に聞くのがいいけど」
「空いてなかったら?」
「ギルドに行って宿を紹介して貰うしかないかな」
「何でお昼のうちに取らなかったの〜?」
「それはごめんね」
忘れてた…
「この時間には宿って埋まってるものじゃないの〜?」
「どうだろう…」
言われてみればそうなんだよね。
朝や昼の内に宿を取って、寝たら宿を出るのが普通。
この時間に空いてる宿を見つけるのはなかなか骨が折れる。
というか今から探すのは面倒くさい。
「私が泊まってる宿の空きがなかったら、宿を探すのは諦めて私が泊まってる部屋で寝てくれる?」
これが1番手っ取り早い。
宿のベッドはシングルだけど、大きいベッドだから私達なら全然寝れると思う。
レイが嫌がらなければ。
「え?ミオちゃんがそれでいいならいいよ〜」
「私はいいよ。レイこそいいの?」
「私も全然いいよ〜」
レイが嬉しそうに答える。
良かった。
「そういえば討伐の報告は行くの〜?」
「冒険者がいっぱい帰って来てるからこの後混むだろうし、報告するなら明日の昼かな」
「分かった〜」
そう言うとレイは前を向く。
レイは気にしてなさそうだけど、やっぱり見られている。
手を握ってるからか、余計に見られてる気がする。
私がそう思ってる頃も、レイは気にする様子もなく歩いている。
レイは私が見ていたことに気づく。
「どうしたの?」
「いや、何でもないよ」
「そっか〜」
私が濁すと、レイは特に詮索することなく前を向き直す。
う〜ん、私が過剰に意識してるだけなのかな?
別に友達の手を繋いで歩いでるだけで、周りも微笑ましいと思って見てるだけ。
気にするだけ無駄だよね。
私は特に気にしないように前を向いた。
宿に着くとカウンターで作業しているマリアに話しかける。
「マリア、ちょっといい?」
「ミオさん、おかえりなさい。何でしょうか?これはまたかわいいお姫様ですね」
マリアが作業を止めて私を見てすぐ、隣にいたレイを見て言う。
「ありがと〜」
レイが嬉しそうに言う。
お姫様ではないけどね。
「今から追加で今日の夜ご飯と明日の朝ご飯をお願いしてもいい?」
「お姫様の分ですか?追加でお金をいただくことになりますけど」
「うん、それでいいよ」
私はお金をマリアに渡す。
「かしこまりました。すぐに食べますか?」
「もう夜ご飯食べる?」
「うん、お腹空いた〜」
「かしこまりました。それでは準備しますね」
そう言うとマリアが夜ご飯の準備を始める。
後は部屋が取れるかだね。
「もう1ついい?」
「なんですか?」
「この子の部屋を取りたいんだけど、部屋ってまだ空いてる?」
「今日はもう部屋は埋まってしまいました。申し訳ありません」
やっぱりそうだよね。
「私の部屋に泊めてもいい?」
「いいですよ。タオルとか多く用意しましょうか?」
「お金はかかるよね?」
「サービスしますよ」
「ありがとう、お願いしてもいい?」
「かしこまりました」
マリアがにっこり笑うとご飯の準備に戻る。
私達はテーブルの席で向き合って座り、ご飯が出るのを待つ。
「さっきも言った通り私の部屋で寝てね」
「2つベッドがあるの?」
「いや、1つしかないけど、ベッドは大きいから2人でも寝れると思うよ」
「一緒に寝るの〜?」
流石に1つのベッドで一緒に寝るのは嫌だよね。
「そのつもりだったけど、嫌なら私はソファで寝るよ」
「いや、一緒に寝よ〜」
レイがそう言って机に置いていた私の手を弄る。
レイは手を触るのが好きなのかな?
「レイってよく手を触るね」
「うん、他人の手って楽しくて好きなんだ〜」
他人の手が楽しいの?
「どう楽しいの?」
「う〜ん、やっぱり自分の手とは違うな〜とか、どんな反応するかな〜とか」
そうなんだ。
私もレイの手を触り返す。
レイは特に表情を変えることなく穏やかな顔をしている。
右手の小指には会った時に見せてくれた指輪がついており、レイの手は私より少しだけ小さくて、とても綺麗な肌をしている。
「女の子らしい手だね」
「ミオちゃんの手もかわいいよ〜」
レイが私の手を指で押したりする。
私達が手で遊んでいると、マリアがご飯を持ってくる。
「お邪魔しますね」
「大丈夫だよ」
私達が手を離すとマリアがご飯をテーブルに並べて行く。
「ありがとう」
「美味しそうだね〜」
「お褒め頂きありがとうございます」
マリアが一礼するとカウンターに戻って行く。
「いただきます」
レイがそう言うとご飯を食べ始める。
レイは偉いね。
私もレイを見習う。
「いただきます」
私もご飯を食べ始める。
「おいしいね〜」
「そうだね」
レイが美味しそうにどんどん食べていく。
あれ、食べるペース早いね。
これ待たれるやつだ。
私も少しペースを上げるけど、レイには全く追いつけない。
「食べるの早いね」
「うん、体操をやってるからご飯はいっぱい食べるんだ〜」
「そうなんだ」
やっぱり体操やってたんだ。
常人ではあんな綺麗なバク転は出来ない。
それにしても女の子が美味しそうにご飯を食べる姿はかわいいね。
いっぱいご飯をあげたくなる。
「ミオちゃんはゆっくりだね」
「普通ぐらいじゃない?」
「う〜ん、そうかなぁ」
遅くはないはず。
小学生の時にも休み時間の間も食べてる子がいたけど、私は流石にそんな事はなかった。
しっかり給食の時間中には食べ終わっていた。
レイは早く食べておかわりとかする子なのかな?
でも背は小さいし、体型も普通よりちょっとだけスラっとしてるぐらい。
そこまでいっぱい食べる訳ではないのかな?
でもさっきいっぱい食べるって言ってたね。
もしこのまま背が高ければモデルになれるんじゃないかと思う。
そんなことを考えていたら、いつの間にかレイは食べ終わっている。
私はレイに優しく見守られながらご飯を食べきった。
私もケモ耳の女の子とイチャイチャしたい!