287話 血生臭い少女達
家に戻ってそれぞれのやる事をやったり、適当に時間を過ごしているとカミラが帰ってくる。
「おい、お主ら!今すぐ風呂に入れ!」
リビングに入ってきたカミラが開口一番に叫ぶ。
「え、どうしたの?」
「なになに〜?一緒にお風呂入りたいの〜?」
「お風呂にはまだ早いような気もしますけど」
「す、すみません、今料理していて…」
私はソファで寛いだままカミラに聞き返し、レイが嬉しそうにカミラのもとまで行き、アリスは外を見ながら、マリンは料理の手を止める事なく言う。
確かに夕方ではあるけど、まだ日は落ちてない。
「血の臭いがしている。人のではない獣の血が」
「やっぱりしてる?」
「お主らは分からないのか?酷いぞ?風呂に入れ、服も洗濯しろ、部屋も今すぐ換気だ。何だこの中途半端な窓の開き方は、よくこんな部屋にいられるな」
カミラが部屋の窓を次から次に開けていく。
「お主もだレイ」
「え〜、ひど〜い」
カミラの横をついていくレイが悲しそうな顔をしながらそれでもカミラの横をついていく。
「吸血鬼なのに血の臭いダメなんだね」
「人間や獣人、エルフや魚人なども良い匂いに感じられるのだが、魔物や動物はダメだ。血に飢えた非常時であっても吸いたくない程にだ」
「色んな人の血を吸ってるんですね」
「そうだな。それよりいいから風呂に入れ」
カミラが窓際で新鮮な空気を吸いながら言う。
「あ、あの、まだ夕食が…」
「妾が続きをやっておく。この臭いの中では料理も不味くなる」
「あ、はい…」
「カミラちゃんは入らないの〜?」
「このまま料理を放置する訳にはいかないだろう?」
「一緒に入りたかったな〜」
「良いから、早く入ってこい」
カミラに言われ私達は脱衣所に向かう。
「そんなに臭いですかね?」
「自分達では臭いって分からないものだからね」
それでも私は何となく、手にこびりついた血の臭い、もしくはその幻臭が鼻腔を刺激して来ているように感じる。
「吸血鬼なのに血の臭い苦手なの不思議だね〜」
「勝手に吸血鬼って家畜の血を吸うイメージとか持ってたけど、そんな事ないのかな?」
「カ、カミラさんが言った通り、非常時に仕方なく家畜を襲うんですかね?」
「カミラお姉ちゃんが家畜を襲ってるの想像出来ないです」
「わかる〜」
「カミラって正義感は強いし、勝手に家畜を襲うことはなさそう。それよりは野生の動物の血を吸うと思う」
「分かります」
「お主ら、言っておくと全て妾の耳に届いているから気をつけると良い」
カミラが脱衣所に顔を見せる。
「耳いいんだね〜」
「良くしているが正しい。元は死体だ、ほとんど何も聞こえいない」
「へ〜」
「ち、知覚系の、魔法ですか?」
「そうだ」
そうだったんだ、知らなかった。
聴覚も悪ければ視覚とかも悪そうだけど、それも魔法でどうにかしてるのかな?
「綺麗にするのだぞ」
カミラがそう言うとリビングに戻っていく。
「カミラちゃん地獄耳だね〜」
「それも聞こえてるよ?」
「あっ、カミラちゃんごめんね〜」
レイが申し訳なさそうにいないカミラに謝る。
「そういえばお風呂って誰か洗った?」
「朝のうちに洗っておきましたよ」
「流石アリス」
「えら〜い!」
私達はアリスを褒め称えながらお風呂場に入る。
「お湯ない…」
お風呂場に入ってきたレイが悲しそうに言う。
私は魔法陣に手を置いて普通にお湯を張りながら、水魔法と火魔法を使って同時にお湯を入れていく。
「便利ですね」
「ね、本当に便利」
本当に魔法って最高だよね。
普通だったらシャワーを使わないといけないけど、魔法があれば他の人がシャワーを使いながらお湯を入れられるからね。
「アリスとレイが先に軽くシャワーで流しちゃって、まだ溜まってないけどお風呂入っちゃって」
「ありがとうございます」
「あったか〜」
「分かりました」
アリスとレイが先にシャワーを浴びると溜まっていないお風呂に入っていく。
お風呂場もお風呂も広いから別に4人でも問題ないんだけど、でもシャワーは2つだから2人2人に分けた方が効率がいい。
アリスとレイがシャワーを浴びるとまだ溜まり切ってないお風呂に入り、マリンがシャワーを浴び始める。
ホースみたいな感じにお湯を出してるからそこそこ水圧あると思うけど。
ちょっとふざけてレイに向かってお湯を出してみると、レイが楽しそうに笑いながらお湯から身を守るために手を前に出す。
「あはははは!やめて〜!」
楽しそうでよかった。
アリスの方を見ると、羨ましそうにレイ見てる気がする。
そしてアリスは私に見られてることに気づくも、私は有無を言わせずにアリスに向けてお湯を出す。
「わっ、ミオお姉ちゃん、ちょっとー!」
アリスも楽しそうに自分の身を守るように半身にして手で体を隠す。
両手から2人に向かってお湯を出していると、頭からシャワーを浴びせられる。
「うわっ!びっくりした」
犯人はもちろんシャワーを浴びてるマリンで、今は首に当たるようにシャワーを浴びせてくる。
「か、風邪、引いちゃいますよ」
「そういうことね、ありがとう」
私が裸なのにシャワーを浴びずに、お湯を張る名文でアリスとレイと遊んでいたのを、体が冷えないから気にしてシャワーをかけてくれたんだね。
マリンがそういう遊びに参加してくれたのかと思って嬉しかったけど、そういう意味はなかったのかな?
こうしてマリンにシャワーをして貰いながら、お湯が溜まるまでアリスとレイにお湯を浴びせ続ける。
「マリンちゃんの髪洗いた〜い!」
「あっ、え、い、いいですよ」
「やった〜」
そう言うとレイがお風呂から勢いよく出てくる。
私はレイが転ばないように腕を掴んで支えて、ちゃんとレイが両足で立てているのを確認してからレイと交代で私がお風呂に入る。
「ふー…」
体よりも参った精神にお湯が染み渡る。
「あったかいですね」
「あったかいね」
対面に座っているニコニコの意識がふわふわしてそうなかわいいアリスに私もIQを下げきって返す。
お風呂の中ぐらいいいよね。
「マリンちゃん座って〜」
「あ、は、はい」
レイがマリンを小さな椅子に座ると、シャンプーを手に出してマリンの頭を洗い始める。
「わしゃわしゃわしゃ〜」
楽しそうにレイがマリンの髪を洗っていて、マリンは両手を膝について目を閉じて洗われている。
今、私の横で同じ方向に向かってマリンが座っているんだけど、それはもう胸に目がいくよね。
どうしてそんなにマリンの胸は大きいのか、不思議でしょうがない。
マリンの胸って、胸と肌の間に手を挟み込めるぐらいにあって、EとかFとかそのぐらいあるよね。
何でなの?
その大きさまでいける人、本当にすごくない?
私からしたら訳が分からない話だよ。
「大きいですよね」
マリンも私の視線に釣られてかマリンの胸の話をし始める。
「大きいよね」
私はまたIQを下げきって答える。
「…えっ、わ、私の話ですか…?」
マリンが目を開けてこっちの方に視線を向ける。
「違うよ?」
「そ、それなら、まぁ…」
マリンが目を閉じる。
心なしか腕を胸に寄せて私とアリスから見えにくいようにした気がする。
寄せる胸があるんだもんね、本当にね、何で…?
「きもち〜?」
「は、はい、気持ちいいですよ」
「ここはどう〜?」
レイがマリンの両垂れ犬耳を手のひらで挟んで洗い始める。
「い、いい、感じですね」
「これずっとやりたかったんだよね〜」
「そ、そうなのですね…」
レイが本当に嬉しそうにマリンの垂れ犬耳を手のひらで挟んで洗う。
分かる、犬の垂れ耳の下に手を入れたいよね。
胸と一緒だよね。
もしかしなくても違うかも。
「私もアリスのうさ耳で遊びたい」
IQが下がってたせいで口走ってしまう。
「触りますか?」
アリスが私の前まで移動すると、私に背中を預けてアリスが肩までお湯に浸かる。
そんな肌密着させて、急にアリス積極的じゃん!
アリスのすべすべで綺麗な背中の感触をお腹から胸の辺りまで全神経を集中させて完璧に感じとる。
あらゆる事を総括すると、アリスは天使、最高にかわいい。
私はお風呂の中での最高な状況に脳みそをとろけさせながら、アリスのうさ耳に手を伸ばす。
アリスのうさ耳は濡れていてふわふわ感はないけど、うさ耳の内側がいい具合にツルツルで触っててすごく気持ちいい。
「あっ、えへへ、くすぐったいです」
アリスがこっちに照れ笑いを見せてくれる。
「うわっ、アリスかわいすぎ…」
「そんなことないですよっ」
アリスが照れながらも声色は上がっていて、もうこんなのWin-Winだから好きなだけ触っていいよね。
「あはっ、えへへへ、触り方がずるいです」
「そうー?」
「ミオちゃんすっごくニヤニヤしてる〜」
「そんなことないよ」
私は顔を引き締める。
「あ〜戻した〜」
「レ、レイさん、め、目に、シャンプー…」
「わ〜、ごめんね〜?」
そう言うとレイがシャワーを急いで出してマリンの顔を洗い流そうとする。
そうしてマリンとレイが洗い終わるまで、私は欲望のままにアリスのうさ耳で遊び尽くす。




