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ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第2章 王都観光
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114話 首がゾワゾワする


 家に戻ってすぐにマリンとアリスが魚を締め始めた。

 アリスはマリンのお手伝いをするみたい。


 え、私は何もしないのって?

 神経締めっていうのをした後に血抜きをするみたいなんだけど、私って本当は血とか見ると力が抜けるんだよね。

 女の子だから血を見る機会が多々あるんだけど、その時は自分に喝を入れて頑張っている。


 アリスがウルフの解体をした時は見てたじゃんって?

 あれはアリスのかわいい手を全神経を研ぎ澄まして見てたから。


「ウルフなどの魔物と血が出る場所は近いですね」

「そ、そうですね、魔物と言っても結局は生き物ですから、構造は似ているんだと思います」


 2人が聞いてるだけで力が抜けるような話をしている。


「魔物とどっちか簡単なの〜?」

「魚の方がやりやすいですね。血も少ないですし、何より生きてるので血が出やすいです」


 レイは2人の対面から2人の作業を覗いている。


「今度、ウルフとか生け捕りしてあげよっか〜?」

「いいんですか?解体してみたいです」

「いや、危ないでしょ。そもそもどうやって生け捕りするの?」


 土魔法で押さえ込むなら分かるけど、レイは土魔法を使えないでしょ。


「なんかこう〜、罠とか探せばあるよ」

「危ないから却下。やるなら私がやるよ」


 土魔法で四肢とマズルを固定すればいいかな。

 あとは眠らせる魔法で落ち着かせる必要があるね。


 何十分か待つと全ての魚の処理が終わったみたい。

 いや、手際いいね。


「私が持って置くね〜」

「お願いします」

「うーん、空間魔法、やっぱり便利ですね…」

「冷蔵庫いらないですからね」

「ね〜」

「終わった?」

「終わったよ〜」

「それじゃあ宿の部屋に戻るよ」


 片付けを済ませてから私達は宿の部屋に転移する。


「この後はどうするんですか?」

「ご飯にする〜?お風呂にする〜?それとも、わ」

「お風呂かな?」

「あの、私、お腹空きました」

「その気持ちは分かるけど、ちょっと血の臭いがするから」


 申し訳ないけど。


「そ、そうですか、それなら仕方ないですね…」

「お風呂って大浴場があるんですよね?」

「って受付の人は言ってたね」


 部屋を借りた時に部屋にはお風呂が付いていないから大浴場を利用するように説明を受けた。


「大浴場ってどこにあるんですか?」

「ごめん、説明されたけど忘れちゃった」

「な、なら一旦、受付に行きますか?」

「そうだね、そのまま大浴場に行くから着替えはちゃんと準備してね」

「私は着替えもこのアイテムボックスに入ってるので大丈夫です」

「はい、私も大丈夫です」

「よし、大丈夫だね。ほら、レイも早く行くよ」

「…は〜い」


 私達は部屋を出て受付に向かう。

 受付に大浴場の場所を聞こうと思ったら、声をかけられる。

 誰かと思ったらメディア様だった。


「あなた達、今までどこにいたのかしら?」

「今まで?さっきまでは部屋にいたけど」

「メディア様、やはり宿の中で入れ違いにでもなっていたのでしょう」


 もしかして探されていた?


「その前はどこにいたのかしら?」

「その前は沼地にいたけど」

「いつ頃戻ってきたのかしら?」

「ついさっきかな」

「ついさっき?私とアルルはここであなた達の帰りを待っていたわ」


 女王様がお出迎えしてくれていたの?

 これは失礼なことをしたね。


「あなた達、どうやって戻ってきたのかしら?」

「うん?まあ、私達の部屋に直接入ったからね」


 これは嘘ではない。

 言ってることは狂人だけどね。


「そう… いいわ、分かったわ。怪異に追われたりしなかったでしょうね?」

「追われてなかったよね?」

「そもそもいなかったと思います」

「は、はい、私は見てません」

「私も〜」

「運が良かったのね。いい?絶対にこんなに遅くまで外に出ないこと、いいわね?」

「うん、分かった」


 心配する気持ちは分かるけどね、そんな説教みたいなこと言わなくてもいいのに。

 私達が弱く見えるのも分かるけど、少しぐらいは信じてほしいね。


「それで、沼地に行ったのよね。虹明花は見つかったのかしら?」

「ちゃんと見つけたよ」


 私はアイテムボックスから虹明花を見せる。


「そう、あなた達はフレン様に認められたのね」

「フ、フレン、様?え、もしかして、あのフレン様?」


 メディア様の言葉にマリンが反応する。

 というか、女王様が様付けする相手ってあの人、何者なんだろう。


「あら、マリンちゃんはフレン様にあっていないのかしら?」

「会ったのは私とアリスだけだよ」

「あら、どうしましょう。フレンは何と言ってたかしら?」


 何って何?

 レイとマリンが会ってないと問題あるのかな?


「レイとマリンのこと?」

「そうよ」

「アリス、何か言ってたっけ?」

「レイお姉ちゃんとマリンお姉さんにも話していいとは言っていましたね」

「そういえば言ってたね」

「ならフレンの勘を信じましょう」


 いいのかな、仕方ないって感じで言ってたけど。


「あなた達と話がしたいのだけれど、この後の予定は決まってるのかしら?」

「この後は大浴場に行くよ」

「そう、食事はまだよね?」

「そうだね」

「なら食堂で待っているわ。言っておくと別に急ぐ必要はないわよ。私は沢山の人に挨拶をする必要があるのよ。しっかり疲れは洗い流すのよ?」

「分かった」

「は〜い」


 私はメディア様とアルルと一旦別れる。


「夜ご飯もメディア様と一緒なんですね」


 アリスが緊張した様子で言う。


「あ、あの、ミオさん、アリスさん、フレン様と会ったって本当なんですか…!」


 アリスとは反対にマリンの目がいつもより大きく開いている。

 ひとまず私達は受付から大浴場の場所を聞いてそこへ向かった。


「殺さなくてよかったの?」

「何のことかな?」

「ミオって子のこと、フレンも気が付いているでしょ?」

「もちろん気付いているとも。ミオ君の魔力はリン君をも勝る魔力だ」

「あう」

「うん、リン君の言う通りそんな生易しいものではないね。ミオ君の魔力、かの星辰に潜む神と同じ魔力だ。ただ彼女が何かを悪事を働くように見えたかな?」

「…見えはしなかった」

「だろう?こういう時は大抵、心配するだけ杞憂というものだよ」

「…フレンがそういうなら、そうなのね」

「そうそう、ミオ君なら大丈夫さ」

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