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異世界まるっと丸噛じり  作者: 伍頭眼
7/7

【マイホームに住んでみよう】

俺は、マイホームを手に入れる為に

ジャイアント・ビーンズなる巨大な種を

探しに魔植物が鬱蒼と生えている森に

足を踏み入れた。


マイホームなのに何故に種と思うなかれ。

異世界では、この種を半分に割って

家にするらしい。

他の国や地方は、どうなってんのか

知らんが此処では、割とポピュラーとの事。

うーむ、流石、異世界!


そんで、食獣植物やら毒草やらを見つけて

ジャイアント・ビーンズの種をゲット!

ニャロメ曰く、この時期の種は、やや小ぶり

らしいのだが半分に割っても6畳程あるし

身長が高い俺でも中で立つ事も出来る。

全然、問題無いざんすよ。


その過程で、手に入れたのだが、大豆。

なんとジャイアント・ビーンズの中から

大豆を手に入れる事が出来た。

そりぁ~もう大量に入ってた。

あの馬鹿デカい種の中から小さな大豆が

ジャラジャラと。


何と言う御都合主義!と思ったのだが

異世界に来たばかりの俺には有難い!

御都合主義万歳だ!

この世界は、基本的に煮る!焼く!ぐらいの

料理法しか無く調味料の類も殆ど無いと言う。

魔都の方や王宮なんかは多少違うかも

知れないが大体こんな感じらしい。


そんな世界で大豆を発見出来た事は大きい。

大豆が有れば相当、料理のレパートリーが

広がるからな。

調味料なら、醤油に味噌!

日本人からしたら絶対に外せない調味料だ。

海外に出張に行っている間、日本から

持っていった醤油と味噌を現地の人が

気に入ってしまいアッという間に無くなって

しまい日本人の俺は大変苦しんだ経験がある。

最終的に、ダンボールで大量に送って貰ったよ。


料理だって、そうだ。

豆腐や豆乳、オカラなんかも作れるし

大豆ハンバーグなんて物も出来る。

豆乳が有れば湯葉なんてのも良いなぁ。

この世界の住人には、ちと厳しいかも

知れないが発酵させて納豆なんて作るのも良い。

後は、大豆の成長過程でモヤシや枝豆なんてのも

有るが、如何せん此処は異世界。

そもそも、ジャイアント・ビーンズの種の中から

出て来た異世界大豆だ。

育つかどうかも解らんし、土に埋めてもモヤシ

じゃなくて木になる可能性だってある。

実際、俺が見つけた大豆はカラカラに乾燥

していた。

もし、若く地に落ちていない種を

手に入れる事が出来たら中身を確認してみたい。

瑞々しい緑り大豆が出て来たら枝豆を

手に入れられるかもしれない。


うへへ…夢が広がるぜ。


ザトーは、口元をだらしなく緩ませ

想像を膨らませる。


「ザトー、ニャにニヤニヤしてるニャ?

 スケベな事でも考えてるニャ?」


「考えてません!それにスケベな事を

 考えてたら、もっとスケベな顔になっとるわ!」


「…そんニャ自信満々に言わニャくても」


ニャロメが呆れ顔をしながら作業に

取り掛かってるのでニャロメの為に何か

作ってあげたい。

一応、手伝うといったのだが一人で

やった方が早いと言われてしまったので

慣れているニャロメにお任せする。

マジ感謝です。


さぁて…何を作ろうかな。

大豆の様な物も手に入った事だしなぁ。

豆腐は無理だよなぁ。

ニガリが無いし。


豆乳と、オカラでも作ってみるか。

ただ時間掛かるんだよなぁ。

ニャロメの作業もまだ色々と手直しが

あるみたいだから丁度良いか。

ほんじゃ、作業に入りますかね。


と言っても今日やる作業は

大豆を水に浸けて放置するだけなんだけど。

大体、10時間~15時間ぐらいかね。

なので、いきなり作業が終了

してしまったのでニャロメの作業を

無理矢理手伝う事にした。


あれだよね。

誰かが作業してるのに何もしないのって

何故か申し訳なくなるよね。

日本人の性なのかねぇ。


ニャロメの手伝いをしていると

改めてニャロメって手が器用だなぁと

思う。

肉球が付いているプニプニお手手なのに

小さな窓や棚をアッという間に

作り上げてしまうんだから

対した物だ。

その事を褒めると、ニャへへ~っと

何とも可愛らしい笑顔を向けてくる。


…やっぱ、モフモフの刑やっとけば

良かった。


「自給自足がニャがいからニャ~。

 大抵の物は、自分で作れるニャよ」


う~む。流石だなぁ。

でも、それも当然かもしれない。

俺が住んでいた世界は科学が

発展していて何でも手に入ったし

壊れてしまっても直すと言う

概念事態薄くなっている世界だからな。


勿論、物を大事にして何十年も使い

続ける人も当然居るけどね。


逆に、ニャロメが住んでる世界は

魔法なんてとんでも無い代物が

あるせいで科学と言う物が全然

進んでいない。

それどころか、科学と言う概念事態

無いだろうな。

だから、急激な発展をしない。


ましてや、ポンポン村は超が付く程の

ド田舎だ。

そりゃあ、少し壊れたぐらいじゃあ

直すしか無いし、無ければ作る様な

思考になる。

手も器用になる訳だわ。


俺が、うんうんと関心していると

既に住める段階まで家が完成していた。


「おぉ~、すげぇ…」


種の殻で出来た家は想像以上に

素晴らしかった。

広さも一人暮らしの俺には充分だし

小さいながらも机と棚まで付いている。

しかも、乾燥した種の殻を使用しているせいか

湿気なども吸収してくれる様で

快適な環境だ。素晴らしいねぇ。


「どうかニャ?ニャにか必要な物が

 有ればパパッと作るニャよ?」


「いやいや!充分だよ!マジで有難う!

 いやぁ~、流石ニャロメだ!

 完璧じゃない!」


我が家が完成した事にテンションが上がりすぎて

ニャロメのフワフワの頭や柔らかい頬っぺを

撫で回し揉みしだく。

ニャロメも満更ではなく「にゃほほ」と

言いながら成すがままだ。


しかし、これだけの事をしてくれたので

何かお返しがしたい。

大豆関連は時間が掛かるしなぁ。

う~む。どないしよ。

アイテムボックスの中に何か入って無いかな?


ゴソゴソとアイテムボックスに手を

突っ込み漁ると面白い物を見つけた。


【フォレスト・バット】(食用可)


◇森の中や洞窟に生息する巨大な蝙蝠。

 大きさは、小ぶりでも1m。

 大きい物では3mにもなる。

 主な主食は果物や木の実を食べるが

 腐肉などもたべたりもする。

 生息地で何を食べてきたかに左右されるが

 果物系を食べているフォレスト・バットは

 肉に癖が無くほんのり甘い香りがして

 大変美味である。

 煮込み料理に最適。


あぁ~、あった!あった!

こんなの居たわ!すっかり忘れてて

食い損ねた。

確か、デカイ葉っぱの裏を捲ったら

バッチリ目が合っちゃって反射的に

殴って気絶させた後に絞めたんだった。


ニャロメの前に、フォレスト・バットを

出すと一瞬で後退る。


「にゃー!急に何出すニャ!

 ビックリしたニャー!」


「すまーん!驚かせるつもりじゃなかったんだ!

 家を作ってくれたお礼に何かご馳走したくてさ。

 こいつの事、すっかり忘れてたんだ」


横たわる蝙蝠に、ゆっくり警戒しながら

近付いてくるニャロメ。


「でっかいフォレスト・バットにゃ~」


確かに、デッケェな。

こんな蝙蝠、元居た世界では見た事ねぇもん。

大きさは…2mぐらいかな?

羽も入れると更にデカイだろう。

けど、大きいから肉も多そうだ。

マルマル太っている。こんな太ってて

飛べるのか?と疑問に思う。

飛んでるの見た事無いしね。


まぁ、そんな事考えるより捌くかね。

俺はニャロメからナイフを借りて

手速く皮を剥ぎ取り骨に付いてる

健を切断し小分けにする。


その後、鍋を借りて水を鍋の

半分ぐらいまで入れて沸騰。

塩とニャロメが持ってきた訳ワカメな

香草を入れて肉を入れる。

後は、煮る。ひたすら煮て灰汁を

丁寧に取っていく。


「ニャ〜、灰色のシュワシュワみたいな

 奴も取るんだニャ〜」


「灰汁って言うんよ。これを取らないと

 苦味や雑味が出て不味いんさ。

 ましてや、塩と香草しか味付けが

 無いから丁寧に取らないとな」


「へぇ〜ニャ〜」


野生動物って何故か滅茶苦茶、灰汁が

出んだよねぇ。

何でかね?

後、全然料理関係ねぇけど、

目をキラキラさせながらしゃがんでる

ニャロメが可愛い!


ザトーはデヘヘと笑いながら灰汁を

掬うのであった。

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