【マイホームと異世界産大豆】
遅くなりスイマセン(´・ω・`)
仕事が立て込んで中々執筆が進まないー!
「あぁ~、食ったなぁ」
「もう、お腹一杯ニャ~。幸せニャ~ン」
俺とニャロメは異世界焼き鳥を食した後、ニャロメが
淹れてくれたチャチャ草のお茶を飲んで一段落。
いやぁ~、玉鳥もウォーク・キャロットも絶品で
ござんした。あれなら、いくらでも食えるなぁ。
ただ、如何せん俺からしたら全然、量が足り無い。
とは言え、食材はニャロメが用意してくれた物なので
贅沢は言っちゃいけないよな。
今度、ニャロメに玉鳥の捕り方を聞こう。
そして、マッタリタイムを楽しみつつ次の目標を決める。
ポンポン村の住人にもなれたし、食う物も
何とかなる。なら、お次は…マイホーム!!
折角、村に住んで良いと言われたのに家が無かったら
意味が無い。
ニャロメは、何日でも泊まって良いニャ~と優しい事を
言ってくれたが流石に、そこまで甘える訳にはいかない。
これでも30のオッサンだからね。
とは言ったものの…家……家かぁ。
マイホーム…うーむ。良い響きだ。
日本に居た時は実家から出てアパート暮らしだったし
俺の歳でマイホームを買うなんて中々出来なかったからなぁ。
…結婚もしてないし子供も居ないしね。
それにさ、やっぱり大人なら自分の空間だって
欲しいし女の子とか連れて来ちゃってゴニョゴニョとか
しちゃったりしたいじゃん!!
なので、次の目標はマイホームに決定~。
「とゆー事で、ニャロメ先生!」
「はい!ニャんですかニャ?ザトー君?」
「家が欲しいので、ジャイアント・ビーンズって何処に
有るんでしょうか?」
甘えないと言ったが此処は甘えさせてくれぇ~。
全く解らんのだよぉ~。
「ニャら、今から採りに行くかニャ?…ただ…」
えっ?ただ、何です!?
もしかして、お金払えとか言う?いやまぁ、当然の事
なんだけどさ。
色々と、お願いしているし助けて貰ってるから
払いたいんだが、如何せん私、ミスター無一文!
ビタ一文持って無いんで出来れば現物支給とかで…。
揉み手をしながら笑っていると、それに気付いたのか
ニャロメが、お金なんて要らニャーい。と仏様の
様な事を言って下さったので盛大に五体投地して拝む。
でも、それなら何で言い淀んでるのん?
「この時期のジャイアント・ビーンズは小ぶりニャ。
ザトーが住むには、ちょっと狭いかニャーって…」
「いやいや、全然大丈夫だよ。雨風凌げれば
多少狭くても問題無いって」
成程ねー、そーゆう事かい。
確かに、ジャイアントビーンズだって植物だ。
多少なりとも時期に左右されるだろう。
小ぶりとニャロメは言っていたが人が入れない程では
無いと聞いたので早速、ニャロメと森へゴー。
とゆー訳で、やって参りました。
此処は、魔植物の森の入口です。
「…すげー…」
こんな言葉しか出ない程、此処の森は圧巻だった。
木の一本一本が巨大で周囲何メートルあんの?って
聞きたい程、太く立派だ。
緑も濃く中には、青や紫と言った地球では中々見ない様な
植物も生い茂っている。
湿度は若干、高め。亜熱帯の様な感じで地面は
苔に覆われており、日の光が所々照らして幻想的にも
見える。
「入口付近ニャら、危険な植物も生えて無いから
安心ニャ!
けど、中には幻覚作用を持っている植物もあって
森深くに誘う怖い植物も有るから気をつけてニャ」
いや…気を付けてニャ!って言われても、
どないせーちゅうの?
どんな植物かも解らんのに、それ厳しくない?
ニャロメから離れない様にしよう。
こんな所で、漫画やアニメみたいにお約束なんて
あったら間違い無く死ぬね。
助かるのは主人公級のイケメンか美少女だけだろ。
30のオッサンが、お約束から助かるとは思えんな。
「森って言うのは、深くさえ入らなければ餓える事が
無い程度に実りを授けてくれるニャ。
けど、深くまで入っちゃうと危険度が増して
吸血植物や食獣植物なんかも生えてるし寄生植物まで
何でも御座れニャ~。
何十年か前に2万の兵士が開拓に向かって全員、
ペロリと食べられたなんて事件がある程ニャ」
こ、怖ぇ…。30代のオッサンには、ちょっとハード
過ぎませんかねぇ?
2万の兵士がペロリって何!?
兵士って事は間違い無く俺より強く屈強な方々が
食べられるとかキッツイわ。
未知の食材を探して逆に俺がペロリされちまったら
洒落にならんー!
ん?そう言えば、聞き慣れない言葉があったな。
「なぁ、食獣植物って何?」
「魔獣や人なんかを襲う植物ニャ~。
例えばねぇ…あっ!ザトー上見てニャ!」
「上?」
ニャロメが指差す方向を見上げると蔦の様な物が
何十にも重なり蠢いている植物の様な物があった。
そこには、無数の干涸らびた魔物なのか獣なのか
解らない残骸が絡まっている。
「アレハ、ナニ?」
ネイティブで流暢な感じの日本語でニャロメに
質問する。
「あれは、チューチュー草って言って生き物を
絡め取ってデッカイ針をブスッ!と刺して
カラカラにしちゃう植物ニャ。
比較的、安全な植物ニャよ~」
安全?うん?この猫は何を言ってんだ?
何処の世界で体長2メートルは有ろう獣を食す植物が
安全なんだ?
やっぱり此処が異世界だからか!?異世界だから
安全の基準がバグってんのか!?
しかも、デカイ針で体液吸うとか最強に怖いぞ!
いかん…心が折れそうだ…。
少し落ち着かせる為に野草でも食べよう。
モッシャ…モッシャ…。
ビロンッ!!
「ひょ!!?」
近場に有った野草を、食べた瞬間に頭の中で
聞き覚えが有る音が鳴り響く。
◇【 毒霧 】を覚えました。
◇【 強毒薬精製 】を覚えました。
◇【 即死毒耐性 】を覚えました。
確かに今回は俺が悪い。見境無く食べたのは
悪いと思うが毒草多くね?
しかも、強毒とか即死って悪食スキル無かったら
100%ご臨終してたよな。
因みに、食った草を鑑定っと…。
【 ドラゴン殺し草 】
◇世界三大毒と言われている即死級の毒草。
一滴でドラゴンを殺す程の強力な毒を持ち
どんな解毒薬も効かない。
見た目は青紫で発光しており素人でも直ぐに
見分けが付く為、被害は少ないが過去に村の食事で
出され全滅した記録がある。
悪食スキル持ちには問題無い。
……っぶねぇーーーー!いや、あぶねぇってか
食っちまったけども!良かった!悪食スキル持ちで本気
助かった!!
つか、ドラゴン殺し草って何じゃい!!
入口!此処まだ森の入口やろがい!1
何で、そんな場所でドラゴン殺せる毒草があんだよ!
せめて、ベニテングダケとかにしてくれよ!
どっちにしろ危ないけどさ!!
「あっ!言うの忘れてたけど毒草も沢山有るから
気を付けてニャ。中には、ドラゴン殺しなんて
凶悪な毒草もあるニャー」
御免なさい。食べちゃいました。
「まぁ、ドラゴン殺し草ニャんて子供でも
見分けが付くから心配ニャいし誰でも知ってるニャ。
あんな物、食べる奴なんて相当な馬鹿ニャ~。
にゃははは~」
馬鹿です。食べちゃいました。
迂闊だった。日本にいる時は野草や毒キノコの類は
かなり神経質だったのになぁ。
異世界に来て悪食スキルなんて物を手に入れて
ちょっと浮かれていたわ。
次からは気を付け……る必要も無いか!
何でも食える訳だしな!今更か。はっはっはっ!
ただ、自分は大丈夫でも相手に出す時は本気で
気を付けよう。
うっかり毒の食物出して殺したなんて笑えないからな。
鑑定スキルを使用すれば大丈夫だと思うが、
気を付けるに越した事は無い。
余談だが、毒キノコで色が派手じゃなきゃ食べられるとか
柄が縦にさけるきのこは食べられるとか、
虫が食べていれば大丈夫と言うのは迷信だからね。
例えば鮮やかな赤い色のタマゴタケは有名な
美味しいキノコだし、毒きのこのほとんどは全部縦に裂けるし、
猛毒のきのこも虫は食べる。
こう言った迷信を信じて毎年多くの犠牲者が出るので
キノコ採りは充分な知識を持った人と行く事だよ。
そして、少しでも自信が無い時は絶対に食べない事!
俺みたいに悪食スキルが有れば問題無いけどね。
後、キノコを採ったらビニール袋とかにも入れない方が良い。
キノコが蒸れてボロボロに壊れてしまうので
見た目も悪くなるし、選別が難しくなるからね。
通気性の良い竹籠なんかがオススメでっす。
以上、キノコ講座でした~。
なーんて事を言っているが俺も気を付けます。
さてさてー、そんな事言っている暇があったら
早くマイホームを探しますかねぇ~。
「あった!あったニャー!ザトー!!」
はい。有りましたー。
さすが、ニャロメ先生っす。ばないっす!
ダッシュでニャロメに駆け寄って一回蔦に足を
引っ掛けてスっ転んだが大丈夫。
鼻を強打したけど大丈夫…いってぇ。
んで、ニャロメが可愛らしい両手をブンブン振っている
場所にたどり着くと、そこには胡桃を超巨大化した様な
物がゴロンっと転がっていた。
アンビリーバボー…。この一言に尽きる。
「これが、ジャイアント・ビーンズニャ!
そんで、この木がジャイアント・フォレストって
言われている木ニャー!」
ニャロメがぺちぺちと木目の壁の様な物を
叩いている。
木…?これ、木!?うっそだろ!!
壁かと思ったけど、これ木なんか!?
ザトーが見上げると、その木は゜天まで届きそうなほど
巨大で城壁かと間違える程太い周囲を持つ木だった。
まるで御伽話とかに出て来るユグドラシルって木
みたいだな。
よく見たら、似たような木が所々に生えてるな。
「やっばり、ちょっと小さいニャ~」
そう言いながらジャイアント・ビーンズを
ペチペチと肉球お手手で叩いている。
いやいや、充分だろ。多分、真ん中から
割れば6畳くらいのスペースが確保出来そうな程だ。
うん!全然、大丈夫。
「これで大丈夫だよ。あんがと!」
「そうかニャ?じゃあ、割って中身を刳り貫くニャ」
ニャロメがバックから手入れされた手斧を
取り出しガンガンと叩き割っていく。
「手伝おうか?」
「こんぐらい大丈夫ニャ!それに素人がやると
上手く割れニャいから任せてニャ」
「へへぇ~、ではお願いします。
じゃあ、俺は近くを散策して食べれそうな
野草を探してくるよ」
「ニャハハ。頼むニャ。けど、道草食ったり
したら駄目ニャよ?」
はいよーっと言いながらニャロメの作業を
邪魔しない範囲で散策を開始する。
いやぁ、こうやってじっくり辺りを散策すると
本当に不思議な植物が生えているもんだな。
葉っぱの色が一枚一枚違う植物や何かウネウネと
動いている植物とか様々だ。
ふーむ…ニャロメでも食べれそうな野草は…と。
おっ!これなんか食べれそうだな。
◇【ポポン草】
葉は肉厚で生でも食べれる果肉植物。
水分を多く含んでおり冒険者や旅人から
重宝され水分補強も出来る。
焼いて調理すると余分な水分が抜けて
噛み応えがある肉を食べている様な
食感になる。
ほぇ~。これまた面白いな。
ハマミズナ科の多肉植物に見た目が似てる。
けど、触って見ると多肉植物よりも柔らかく
水風船を触っている感じでプニュプニュだ。
鑑定通り水分を多く含んでいるんだろうな。
よし!沢山、生えてるし少し食べてみよう。
ニャロメから事前に借りていた小さな
刃物でポポン草の根元を切り採る。
切った根元からは、地中から吸い上げた水が
ゆっくりと滲み出て来ている。
すげぇな。どんだけ水分を吸い上げる力が
あんだよ。
いけね!手に持っているポポン草からも水が大量に
出て来た!勿体無い!
切り口に口を当てポポン草から出てくる
水分をゴクゴクと飲み始める。
んぐっ…んぐっ…っパァー!
美味い!!
すげー美味いな!山の雪解け水の様に清涼で
味にエグミも無い!
水道水を飲むよりもコッチの方が全然良いな!!
これは見っけ物だ。これだけ綺麗で飲みやすい
水が手に入るなら料理とかにも使用出来る。
いくつか採っていこう。
とゆー訳でニャロメから借りた籠の半分ぐらいまで
回収しておく。
多年草か解らない植物だから乱獲は避けよう。
これだけ水分を含んでいる植物ならポンポン村の
皆さんも採ったりするかもだしな。
いやぁ~、素晴らしい食べ物を見つけてしまったぜ。
それに今日中にマイホームも手に入るしウハウハだ。
さぁて、ニャロメは、どうかなぁ?
肉体労働をしているから喉も乾いているだろう。
ポポン草が入った籠を持ちながらニャロメが
作業している場所に戻る。
「おおーい、ザトー!割れたニャー」
「おお!凄いな!綺麗に割るもんだ。
流石、ニャロメ!よっ!ポンポン村一番の
割り職人!!」
「ニャヘヘェ~、照れるニャ~」
俺が褒めるとニャロメは身体をクネクネさせながら
照れている。うむ!カワユス!
真ん中から二つに割られたジャイアント・ビーンズは
予想通りの大きさで人一人ぐらいなら住む事が出来そう。
ニャロメの話だと、此処から自分好みに入口を作ったり
穴を開けて窓にしたりとアレンジが出来るとの事。
良いじゃーん!自分好みの家に出来るなんて浪漫だねぇ。
自然と顔が綻ぶ。
よぉし!早速、作業開始しますかねぇ。
そう思い、ふと足場に散乱している種の様な物に
気が付く。
なんじゃこれ?
何気に手に取ると驚愕した。
「大豆じゃん!?」
ザトーが初めて異世界で大豆と出会った瞬間だった。