【異世界で焼き鳥を食べよう】
遅くなりまして申し訳ありませんヽ(´▽`)/
中々、仕事で投稿出来ませんでした。
いやぁー、しかし、いつの間にかブクマが3名も!
そして評価も12ポイント!嬉しいですなぁー!
これからも、クスっと笑える様な作品を書いて行きますので
評価&ブクマおなしゃすヽ(;▽;)ノ
目の前に並ぶ食材を見ながら何を
作ろうかと悩む。
それもその筈、此処は異世界なのだ。
日本の食材とは一癖も二癖も違う。
だが、それだけの事だ。
ザトーは元大手食品会社を勤めて多くの食材を
見てきたし世界中を飛び回り美味しい食べ物の
ヒントを日夜探し続けて来たのだ。
例え、それが異世界だろうと変わりはしないのである。
さぁてとん!今、目の前に有る食材は…っと。
・ワラビー
・玉鳥
・ウォークキャロット
・黒パン
・岩塩
てな感じだな~。いやぁ、どれもこれも見た事の無い
食材ばかりで心が踊るねぇ。
えぇ~と…これは、ワラビーって言う山菜かぁ。
見た目は、日本に自生しているワラビに似ているけど
茎の大きさや長さが3倍ぐらいあるし、
棘がメッチャ生えてるなぁ…いって!
ニャロメが言うには、身体に良い食材らしく
薬草としても使用されているみたい。
当然、普通に食材として使用もされているらしいけど
沸騰した鍋に入れて食べると口の中がシュワシュワして
かなり癖があるって言ってたな。
多分だがワラビのアク抜きが不十分なんだろう。
皆も知っている日本のワラビは、そのままで
食するのは適していない。必ずアクを抜いて
食べないと酷い目に合うからね。
本来なら、熱湯に重曹や木灰などを
入れてアルカリ性にした水を使用する。
そんで、充分に溶けたら一旦火を止めて粗熱を取るのよ。
でね、粗熱が取れたら硬い茎の部分は、チョン切って
ワラビを鍋の中に投入し一日ぐらい、そのままにする。
その時、何度か硬さを確認する方がイイネ!!
好みにもよるけど俺は柔らかめが好き。
柔らかいワラビに鰹節を振りかけ醤油はチョビっと掛けて
日本酒のツマミにしたり御飯の、お供にしたりと…。
じゅるり…おっと、いかん!いかん!
想像していたら涎が出ちゃったよ。
まぁ、日本のワラビならって話で異世界のワラビーには
通用するかどうか解らんが試してみる価値はあるだろうなー。
ほんでー、岩塩は、そのまんまだし。
黒パンは、見た目真っ黒なパンだな。しかし、かってぇな!
いや、もう本当に固いんだよ!何、コレ!?
釘でも打てるんじゃないかってぐらい固いわ!
これなら、万が一大工さんが工具を忘れても安心だ。
……さて…次なんですけど…。
ザトーが次に眼を向けたのはウォーク・キャロット。
これにはザトーも驚かざる得ない。
何故なら…。
歩いとる……。
そう!歩いているのだ!あの人参さんが
まるでモデルさんがランウェイを歩くが如く
籠の中でクネクネと!!!
これには様々な食材を見てきたザトーも吃驚仰天さ。
いや、確かにウォーク・キャロットって名前だけれども!
これ、本当に食べて大丈夫なのけ?
念の為、ちょっと鑑定しまーす。
【ウォーク・キャロット】(食用可)
◇名前の通り歩く人参で魔植物に認定されている野菜。
収穫時期になると独りでに土から這い出し艶かしく
クネクネと徘徊する不思議な植物で農家の方々を
悩殺する困ったちゃん。
しかも、糞忙しい繁忙期に一人歩きしてしまうので
収穫に時間が掛かり家族総出で収穫をしないと
いけない。たが、味は美味で生でも食べれる程。
煮ても良し!焼いても良し!
注意としては、マンドラゴラに若干似ているので
間違えない事。
うむ!なんか毎回、鑑定する事に文才がフランクになっているな!
まぁ、それは良いが煮て良し!焼いて良し!か。
これなら何とかなる……とおもうのだが…。
「ザトー、何固まってるニャ?」
「…いえ、どうやって歩いてる人参ちゃんを
止めれば良いのかなぁって思いまして」
「にゃはは!そんなの簡単ニャ!ちょっと包丁借りるニャ~」
いやいや…ニャロメさん?包丁で何すんの?
いや…まぁ食材を切るんでしょうけど…歩いてるんですよ?
確かに、お肉にしろ何にしろ生き物の命を頂いているので
止めはしませんが、歩いてる人参ってのは……ねぇ?
とオロオロしているザトーを無視し、手に持った
包丁を振りかぶり、そして!?
ザクッ!
『いやあぁぁぁぁん!!』
「うっく!!?」
ウォーク・キャロットに包丁が突き刺さった瞬間、
人参が何とも言えない艶かしい悲鳴を上げ動きが止まった。
いや、この場合、絶命したかな?まぁ動きが止まったのだ。
因みに、俺の心臓も一瞬止まった。
皆も経験有るだろうか?
こう…何て言うか急に驚かされて叫び声を
上げたいけど理性が働いて叫び声を飲み込んでしまう時って。
「ニャハハ!止まったニャ。はい、ザトー」
「あ…あぁ、あんがと…」
ニャロメがニコニコしながら事切れたウォーク・キャロットを
差し出して来たので受け取る。
いやぁ~、ビビった…本当にビビったわ…。
まさか包丁を突き刺した瞬間に、あんな艶かしい声を
上げて絶命するなんて思っても見なかった。
こんなん、普通に料理するだけでもサスペンスと
間違われても仕方無いだろ。
今後は、ウォーク・キャロットを料理する時は
ニャロメにお願いしようかなぁ。
まぁ、今は料理に専念しましょか。
キャロットの皮を包丁で器用に剥いて一切れだけ
味見してみると何とも瑞々しく歯ざわりも良い。
そして何より甘い!
果物と間違ってしまうんじゃないかと思う程の糖度!
これには、驚いた。
多分、糖度的にオレンジと同等ぐらいだろうな。
それと勘違いしないで貰いたいけど、糖度が高い=甘いって
考えだけど実は違うからね。
果物に含まれる甘み成分には「果糖」「ブドウ糖」「ショ糖」って
感じで様々あるんだ。
まず糖度を表すには本来、糖度計と言う物を使用し
果汁100グラム当たりに糖分が何グラム入っているか
で決まって来るのよ。
そんで、Brix値(ブリックス値)って言う指標で
表すんだけど、あくまで、水に溶けている固形分の量の指標であり、
糖だけの量を示すものではないざんす。
糖分の他にも塩分、酸などが含まれてるからね。
だから糖度が高いからといって必ずしも甘いというわけでは
あーりません。
ちょっとした豆知識でした。
俺みたいな平々凡々な人間は、食べ物関係でしか
自慢とか出来ないからねぇ…悲しいわぁ。
さてさて、豆知識披露は、このぐらいにしてと…
お次はメインの肉!お肉!
目の前には丸々太った玉鳥という魔物が置いてある。
この鳥、一応魔物と分類されているが特に攻撃力が
高いとか魔法を使うとかは無くて一般的に食べられている
お肉だ。
この世界では一般的かも知れんが、俺から見たら玉鳥も
中々面白いフォルムをしている。
毛や羽は、茶色で大きさは全長30cm程。
そして何より玉鳥と言われている由縁なのか
兎に角、丸い!もうまん丸と言っても過言ではない。
ニャロメの話だと飛ぶ事は出来ず動きも鈍いらしい。
そんな感じだと乱獲とかされんじゃね?と思っていたが
丸い身体を活かしてコロコロと転がりながら
逃げたりするとの事。
完全に、面白生物だな。しかも想像すると可愛く思う。
そして、美味しく頂かせて貰います。
よし、先ずは玉鳥をお湯にサッと潜らせ
羽を毟りやすくする。この時の湯の温度は45℃~50℃
ぐらいが良い。
そして玉鳥を、お湯から上げて羽を毟る。
ひたすら、毟る!この時、産毛なんかも有るが
火で炙ったりすれば綺麗になるけど焦がしたりしない様に
注意してね。
まぁ、丸ごと焼いちゃうなんてワイルド料理なら
某ハンターの様に木を刺してクルクル回せば
気にならなくなるけどねー。
今回は焼き鳥なので大雑把に手で産毛を毟り細かい
部分は軽く焼きます。
はい!羽や産毛の除去終了。
この形になると、もうお肉って感じだよねぇ。
あっ!因みに頭と足先…まぁモミジとも言う部位はニャロメが
仕留めた時点で血抜きと一緒に処理してる。
流石、冒険者だけあって血抜きは上手いなぁ。
その事を褒めたら、「ニャホホ~」って変な笑い方で
ふんぞり返ってたわ。
この時点で玉鳥の羽は全て除去し頭、足先も除去している。
この状態を『丸』と言う。
そんで、内蔵を抜く。この工程で玉鳥の中身は空っぽだ。
羽を除去、頭、足先を除去、そして内蔵を綺麗に抜いた
状態を『中抜き』と言う状態だ。
内蔵を取る時は、内蔵を傷付けずに取るようにね。
これを失敗すると肉が不味くなるし雑菌などの付着にも
なるので慎重に。
俺は子供の時、爺ちゃんにかなり教え込まれているので
難なく出来る。玉鳥の構造が普通の鳥と一緒か不安だったけど
大丈夫だったよ。
「ニャ~、ザトーは内蔵の処理上手だニャ~」
「昔、散々やらされたからねぇ。失敗すると鉄拳が
飛んで来たから必死だったよ。はっはっ~」
ニャロメからお褒めを頂いたが、ニャロメの血抜きの
技術も素晴らしいと思う。
殆ど、血も出ないし内蔵が凄く綺麗だ。
思わず見蕩れていると、ニャロメが若干引いていたがな!
ほんじゃ、この状態の玉鳥を水で綺麗に洗浄したら
いよいよ捌きだ。
まず、玉鳥をうつ伏せ状態にしたら、まん丸い
お尻を、こちらに向けたら『ボン』と言う部位を
切り落とす。
ボンとは、なんぞや?と思うかも知れないが少し突き出した
尻尾の様な部位だ。この部位は焼き鳥で食べれるので
捨てないでね~。
お次は、玉鳥を横向きにし腰辺りに包丁を入れたら
モモの付け根に包丁を入れてから一緒に皮を切る。
両方のモモに切れ目を入れたら股裂きする。
この時、関節が外れるので骨にそっと取り外す。
こんな感じでサクサク切り分けると皆お馴染みの
モモ肉、胸肉、手羽先、ササミと言った具合だ。
細かく言うと、軟骨やセセリ、ハラミ、背肝など
色々と有るよ。
「ニャむ~、良い手際ニャ!こうやって分けると
また違った感じニャね~」
「普段は、どうやって食べてるん?」
「丸焼きニャ!」
ですよねぇ…ニャロメなら間違い無く丸焼きだと
思ってたわ。
「そんじゃ、ニャロメ。このぐらいの大きさに切り分けて
木の串に刺していってくれる?…丁度こんな感じで」
間違い無くニャロメからしたら初めての料理なので
見本をいくつか作る。
それを見て、ニャロメは元気良く承諾してくれたので
黙々と串に刺していく。
もにゅ…ぶにゅ…ぐにゅ…。
玉鳥の形状から沢山作れると思っていたが結構な
量の鳥串が出来る。
定番のモモ串に、人参を間に挟んで刺したネギマもどき。
名前は……うーん…何にしようか…まぁ保留。
そんで、ぼんじり、油つぼ、軟骨、ハラミ、ハツにレバー。
まだまだ有るぞい。
砂肝、背肝、皮に手羽先など選り取りみどり。
他にも、ちょうちん、ササミ、セセリなんて物も
有るが名前を上げていくとキリがないので割愛だ。
あぁ~、早く食いてぇ~。
「ザトー、終わったニャ~」
「あんがとさーん」
準備が出来たので遂に焼く工程だ。
炭を用意し火を着ける。
炭は、備長炭を用意出来れば最高だけど残念ながら
此処は異世界なので普通の炭だね。
炭同士の隙間が開きすぎないように、しっかり整然と並べる。
そうする事により炭床に供給される空気の量を均一にし、
かつ最小限に抑えるためだ。
炭と炭の間隔にばらつきが大きいと、炭の火の回り方が
ばらばらになって火力が安定しなくて肉の油が落ちると
炭から火が出て肉の味が落ちちゃうんだよね。
これは、知り合いの焼き鳥屋さんから教えて貰った技法だ。
「なんか、煉瓦を積み上げるみたいニャ」
「焼き鳥って言う俺の国の料理なんだけどねぇ。
この組み方によって味が変わるんだよー」
「ホントかニャ~?」
疑心暗鬼のニャロメに、なら自分で好きなように焼いてみなって
言うと2~3本を焼き始めるとアッという間に黒焦げの出来上がり。
ニャロメいわく焦げた部分をこそぎ落として食べるらしいけど…。
「……相変わらず…固いニャ…そして苦いニャ」
口の中に有る肉をもぎゅもぎゅ何度も咀嚼しているが
国が硬くなりすぎたのか一向に飲み込もうとしない。
しかも、笑えるのが肉をひと噛みする事にケモ耳が
シュンっと垂れ下がっていく。相変わらず可愛いじゃないの!
まぁ、炭で焼かずに焼くとそうなるわな。
煙だってモクモクと上げてれば肉に染み付いて不味くなるのは
当たり前。
「じゃあ、焼いていくから」
炭に火が廻ってきたので俺も焼き始める。
この時ばかりは真剣だ。
焦げ付きや火の具合によって大きく味が変わるので
眼を離さず焼いていく。
「ニャハー!凄いニャ!良い匂いがするニャ!」
ふふふ!そうだろう!そうだろう!
炭だと煙も出ないし遠赤外線効果で外はカリッと!
中は、ジューシーに仕上がるからな!ふははは!
…後、ニャロメよ。俺の肩にぶら下がりながら見るのは
止めてくれ。君の肉球から出ている爪が食い込んで痛い!
そんな事をしていると良い焼き加減になったので
岩塩を砕いた塩を均等に振り掛けていく。
これだって日本の職人の技だ。バラつきが有ると、
しょっぱかったり薄かったりするからね。
俺は、流石に職人さん達みたいに出来ないけど
ニャロメの舌を唸らす事ぐらいは出来るだろう。
塩を振りかけた後は、味が馴染むように少し焼く。
ジュ!…ジュウゥ!
玉鳥の油が滴り落ち炭に当たりなんとも食欲を唆る
音がする。食事とは音も大事なスパイスだ。
ゴキュリ…!
凄い大きな喉を鳴らす音が聞こえたのでニャロメの
方向を見てみると涎をダラダラ垂らしながら
焼き鳥一点を凝視している。
間違い無く俺がリザーナさんの胸を凝視していた時より
見たいる。もうガン見だ。
「ザ、ザトー!まだニャ!?まだ食べれニャいの!?」
「もう少し」
「ニュ~~~~!?」
あっはっはっ!ヤバイ!此処まで感情表現が激しいと
楽しくなってくるな。
今もニャロメは、頭を抑えながら空腹に悶えている。
多分、此処で俺だけ食べたら間違い無くボコボコの
ギタギタにされるな。そのぐらい今のニャロメは
眼がマジだもの。
さぁーて、そろそろ良いかな。
出来た料理を皿に乗せていく。
【玉鳥の焼き鳥】
◇異世界の技術と技が融合した玉鳥串。
外はカリッと中はジューシーで噛めば噛む程、
肉汁が溢れ、その旨さは絶品の一言。
絶妙な塩加減で様々なグルメを唸らせる事が出来、
お酒のお供やご飯のお供に良く合う。
【ワラビーの塩和え】
◇しっかりと下処理が終わって作られたワラビーの塩和え。
アクも無く柔らかく仕上がっている。
塩だけと言う質素な味付けだが、よりワラビーの自然な味を
引き立たせ一緒に和えたウォーク・キャロットの甘さをも
引き立たせる素晴らしい一品。
……しっかり出来てるか念の為、鑑定してみたら
賛美の嵐だった。
なんか、此処まで褒められると本物の職人さんに
申し訳無い気持ちになってくんな。いや、嬉しいけども。
鑑定の、お褒めの言葉を頂きいよいよ実食だ。
「ニャハー!おーいーしそうーニャーー!」
「待たれよ!」
皿をテーブルに置いた瞬間、ジャンピング齧り付きを
しようとするニャロメの頭を掴む。
やっと食べれると思ったのに阻止された事で頭を掴まれながら
結構、本気で抵抗してくるニャロメ。
「ニャにすんニャ!?食わせろニャ!こんニャろ!!」
「あだだだ!おまっ!本気で爪立てるんじゃないっての!!
いで!それ、俺の指だわ!
ちゃんと、頂きます!ってしなさい!だから、いてぇって!」
5分ぐらい格闘して、やっと落ち着いたのか指を齧るのを
止めたニャロメに説明する。
「いいか、ニャロメ。俺達は命を頂くんだからしっかり
食材になってくれた生き物に感謝せんといかんのよ。
だから、その感謝を込めて両手を合わせてから、
頂きますって言ってから食べなさい」
「ニャ~、ザトーって馬鹿で変わり者だと思ってたけど、
しっかりしてる所もあるニャ~。
不思議な考え方ニャけど、確かに納得出来るニャ!」
よく、郷に入れば郷に従え。なんて言葉があるが
これだけは譲れんからね。食べ物は俺達の血肉になって
生かしてくれるんだ。最低限の礼儀だと思う。
勿論、その国、土地の文化は尊重するし今までも
基本的に郷に従って来たけどさ。
海外でも両手を合わせて頂きますってやると何してんだ?
って眼で見られる時もあるけど、しっかりと説明すると
皆、大体納得してくれたりする。
「そんじゃ、改めて…」
「「頂きます」」
あぁ~、久しぶりにちゃんとした料理を食べれる。
最初は…そうだな。ウォーク・キャロットを間に
挟んだネギマもどきを食べよう。
もにゅ…ホクッ…。
!!?何じゃ、こりゃ!うまっ!うんま!!
いやいや、メチャメチャ美味いんですけど!
すげーぞ!玉鳥の肉は噛めば噛む程、肉汁が溢れ出て来て
外はカリカリだ!
匂いも香ばしくて変な匂いが全然しない!
それに、ウォーク・キャロットもホクホクで甘い!
焼き鳥に合うか不安だったけど甘さと塩気が絶妙で
最高だわ!
これは、たまらん!よし!次は、ワラビーの塩和えも…。
これも、うんめぇ!柔らかくてほのかに苦味があって
癖になりそうだ。やべぇ!止まんねぇ!
「美味いニャアアアアア!美味すぎてフリカケ欲しいニャアア!!」
ぶふっ!さっきまで無心になって食ってると思ったら
いきなり叫び出しやがったな。
しかも、フリカケって!あんのかよ?この世界に。
「わかんニャいけど、急に声に出してたニャアアア!
美味いニャ!何で、こんなに美味しいニャ!
柔らかくて肉汁ニャアアア!出てニャアアア!!」
…うむ。完全にニャロメが壊れてしまったな。
兎に角、語尾が叫び声で瞳孔が開きっぱなしで
食い続けている。
さてと、食事の続きだ。
◇ ◇ ◇
カランッ。
最後の一串を食べ終わる。
「ご馳走様でした」
「ご馳走様ニャー…お腹ポンポンニャ~、幸せニャ~」
ニャロメは、丸くなったお腹を摩りながら
地べたに仰向けになり満面の笑みを浮かべている。
ははっ、此処まで喜んで貰えると作り甲斐があるってもんよ。
やっぱり料理を食べて喜んでくれる奴が居ると
嬉しいものだねぇー。
「これからも、ザトーの料理食べたいニャ~。
虫以外なら全部食べるニャー!」
いやいや、虫も美味しいから!しっかり調理すれば
病みつきになっちゃうよ?
あー、でも魔虫って魔石が散らばってるから
難しいんだったな…悪食スキルの俺は関係ねぇけどさ。
「そーいえば、ニャロメ。玉鳥に入ってた黒に近い紫色の
小石みたいなのが入ってたけど、これ魔石け?」
「そうニャ!それが魔石で色々と役立つニャよ。
それは、ザトーにあげるニャ~」
ふーん、これが魔石ねぇ。こうやってハッキリ見るのは
初めてだな。
ニャロメから有り難く頂いた事だし……食べてみよ。
ガリッ!
おもむろに魔石を口に放り込み噛み砕く。
ほほぉ~、魔石自体は、なんかピリッとするな。
例えるなら…胡椒か?なんにしろ中々良い味だ。
魔石を食べご満悦なザトーに対しニャロメは口を大きく開けて
ポカンとしている。
「ん?どうした?そんな大口開けて、ニャロメも食べたかった?」
「ニャ、ニャにしてんニャ!?魔石食べたニャ!?
魔石は毒ニャ!吐き出せニャアアアアアア!!」
「はっはっはっ、俺は大丈…ぶげらぁああ!!」
ニャロメの猫ちゃんローリングソバットを腹に喰らい
悶絶する。
その後、何発か喰らった所で魔石が食べれる特殊体質だと
説明し何とか食べた物を吐かずにすんだザトーであった。