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第七話 あれ?日が昇ってきたようだね

第七話

 僕の声が響き渡る………そして、その後に霜崎さんの声が返ってくる。窓の外に昇っている月はいつの間にか消えていたのだが朝日が昇ってこようとしているのかうっすらと光が地平線のかなたに確認することが出来た。

「………え?漸増さんも鬼面をつけたって?」

 僕の声が響き渡り、まだ僕ら以外誰もいない校舎に一瞬の喧騒を生み出す。

「うん、霜崎家じゃ有名な話………唯一戻ってこれた人だって聞いてるよ?漸増さん自身も物凄い剣の実力者だし、鬼面をつけることによって人とは違った動きも体得できるって聞いているからね。だから自分の力で鬼面をどうにかしたんだろうって噂……けどさ、木曽家じゃ知られてないみたいなんだ。私たちの方だってそのことについては詳しく知らないし、知っていることはさっきも言った通りで漸増さんが鬼面をつけてこの学校に入り、戻ってきたって言うだけ………」

 だけど、僕の記憶では漸増さんは鬼面をつけたことが無いって言っていたっけな?う〜ん、結構なお年みたいだったし、そろそろ物忘れしはじめたんじゃなかろうか?そのことを伝えたのだが霜崎さんは首を横に振った。

「ぜ〜んぜん、あのおじいさんは殺しても死なないって有名な上に何でもかんでもこなせるよ?姿勢も正しいし、記憶力だって私らより上なんじゃない?」

 まったくもってこの鬼面よりもミステリアスな人がまさか同じ屋根の下に住んでいるとは思ってもいなかった………それなら何故、僕を助けてはくれないのだろうか?う〜ん、もしかしたら嫌われているのかもしれないなぁ………

「………一体、どういうことなんだろう?あれ?」

 霜崎さんは狐面を再びつけていた。

そして、気がつけばそこはずっと同じ廊下が続く一つの道………奥を見渡そうにもずっと同じ光景が続いているだけで廊下、トイレ、他の教室などなど………そんなものはどこにもなく、外に見えるのは永遠と続く校庭のちょうど半分の向こう側からこちらに来ようとしているのだが一向に来ることができないジレンマしている鬼たちだった。

『さてと……もうちょっとその話について色々と聞いておきたかったんだけど……私たちの出番がやってきたみたい』

「え?」

 呟いた僕の耳に聞こえてくるのは風の音………いや、悲鳴の音だった。とてももの悲しく、心が悲しみで満ちていくのが手に取るようにわかるという不思議な音だった。

「だ、誰か………この奥にいるの?」

『いや……違うよ、これは声なんかじゃない………校内から吹き出る風だよ、風。この高校には七不思議がいくつかあってね、これも昨日剣治から教えてもらったんだけど………』

 話を聞こうとして霜崎さんに若干近づいたのだが………

「ん?……って!うぉう!?」

 何かがすごいスピードで転がってきたとおもって飛び上がる。そして、止まったそれを見るとそれはなんと!

「ず、頭蓋骨!?」

『そう、頭蓋骨が……転がってくるんだって、剣治がいなかったら私たちも今頃こうなっていたかもね…………ああ、それが鬼面保持者だった人たちかどうかはわからないよ。私、確かに恐い話は好きだけど噂になっている場所とかにいったりしてそれを実際にやってみようとおもうほど勇気はないからね』

「ぼ、僕もそうだよ」

『警察に教えようにも信用してくれないし………下手にその頭蓋骨を外に持ち出したりしたら私らがどうにかなっちゃうよ』

 それはまったくもって洒落にならない……のだが、すでにどうにかなっているであろうこの状況はカウントされないのだろうか?ま、まぁ………僕はまだまだ若いのだ、こんなところでくたばるわけにはいかない………そのためにもするべきことはただ一つ………

「僕はどうすればいい?」

『そうだね………ともにこの奥に行って神様を起こすことだけじゃない?』

 震える両足を叱咤して僕と霜崎さんはともに床を蹴って疾駆し始めたのだった。

――――――

 一キロは走っただろうか……だが、見えてくる景色は先ほどとまったく一緒のもの。

「う〜ん、気が狂いそうだね」

『ま、そんな仕掛けもあるって剣治は言ってたっけなぁ?この校舎を一回剣治と一緒に下見に来たとき私、結構いい名前をおもいついたんだ』

 のんきにもそんなことをいいながらこちらに狐面を見せる霜崎さん。まったく緊張感が無いにも程がある。

「どんな名前?」

 しかし、走ることしか今の僕らには選択肢が無いのでそれを聞いて見ることにした………今、隣の壁に貼り付けられている虫歯予防と痴漢予防のポスターを見るのは何百回目だろうか?

『その名も無限回廊』

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