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グルメ舌手術

作者: さきら天悟

2030年に入ると、急速に脳の構造解析が進んだ。

もちろん人間の脳である。

これによりアルツハイマー病の治療は劇的に進み、

昏睡状態から意識を取り戻す人も続出した。

その副産物としてグルメ舌手術が流行したのだった。


グルメ舌手術、文字通りグルメな舌にする手術だった。

脳にマイクロチップを入れ、小脳のある活動領域に刺激を与えると、

舌の味覚解析力が千倍以上になった。


これにより、本物志向になった資産家らは、

金に糸目をつけず、より本物を追及し始めた。

一方、中流家庭の人でこの手術を施した人は悲惨だった。

家庭は崩壊し、破産した。

彼らには本物を求めるあまり、家庭や家計を顧みなかった。

下流の人は初めから諦めていた。

グルメになっても、本物の食材を手に入れられないとこは分かっていたからだ。

ただ、手術自体は容易だった。

ほとんどの人には脳にチップが埋め込まれていた。

アルツハイマー病の予防のためだ。

グルメ舌はそのチップのある機能をオンするだけで良かった。



グルメ舌手術は上流階級の人らの間で流行した。

その手術を施していないと認められないという雰囲気さえあった。

彼ら以外では、当然、料理関係者や生産者ら手術を行った。

本物を調理、生産するためには必須だった。




そんな中、ある男が医者に言った。

「舌の感度をよくすることができるなら、

逆に悪くすることもできるでしょう」と。


えっ、と医者は聞き返す。

「味覚音痴に?」


男は大きく頷いた。

「彼女の手料理を食べる自信がないんです」


医者は身を乗り出す。


「まずいとすぐに顔に出るようです。

これまで何度も母に注意されました」



医者は大きく頷く。

彼の意図が分かったようだ。


「いいの?

バカ舌にして」

医師は最後の確認した。


手術は成功し、ニュースになった。

そのニュースに接し、皆はバカにした。

でも、何でも美味しそうに食べる彼を見て羨ましがった。

それから、一人、二人と彼と同じようにバカ舌手術を施す人が現れた。

そして、ブームになった。

グルメ舌以上に。


究極の選択です。

あたなはあなた自身が幸せになるために、

グルメ舌、バカ舌手術、どちらを選びますか?






グルメ舌、これはあなたが行う作品に対する評価と同じです。

少しでも良いところを見つけ、楽しんだ方が、幸せだと思いませんか。

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