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迷信

作者: 髙橋 翔太

俺の両親は本当に自分勝手な親だった。

自分たちの都合で別居だの… 離婚だのって…

俺は子供ながらに家を飛び出して好きだったおばあちゃんの家で生活していた。

でも大好きなおばあちゃんも相当の変わり者でこの蛙の子は蛙だとつくづく思うほどだった。


おばあちゃんが変わっているのは迷信が好きだと言うところだ。

好きだったのか子供の俺をなだめるのにピッタリだったのかどっちかはわからないけど迷信なんて昔の人はみんな使ってたんだろうが…

なんでもかんでも迷信でお説教ってなると少し考えりゃわかるもんで…

火遊びしたらおねしょするだとかお墓で怪我したら治らないとか夜中に口笛を吹いたら蛇が来るとか夜中に爪を切ったら親の死に目に会えないとか… その時々でドキドキはしたんだけど。

俺が大学に進学するか企業に就職するかを悩んでる時にも『考えすぎると頭が石になるぞ』ってまた迷信かよと思ったけどその迷信が俺の心を救っていた。



俺は何かが吹っ切れて大学には進学せずすぐに就職した。

そんなに大きくない企業だけど俺には丁度いいかもな。

おばあちゃんは『自分の風呂敷に入る大きさが一番だ』と言ったから『それは迷信じゃないよね?』と聞くと『本心だよ』って悲しそうにしてた。

大丈夫だよ。俺にはおばあちゃんが居るから大丈夫。『そうかい』と言ってたけど嬉しさより切なさが上回ってたのかな。



そんな大好きで優しいおばあちゃんが去年の夏に亡くなった。

俺は忙しい仕事の途中で訃報を聞いた。 それからおばちゃんの元に急いだけど間に合わなかった…

おばあちゃんの迷信を馬鹿にしないで聞いとけばよかったな。

きっと夜中に爪を切ったからだ…

親の死に目に会えなかったんだね…

なんだよ… やっぱりおばあちゃんが俺の親だったんじゃん。

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