1.2古巣
1ページでこれだけしか稼げないのは絶望
古巣は移動車両で基地から30分程のところにある。
基地の周囲は道路が一応整備はされていいるものの、基地を離れると道路も建物も壊れ荒れ果てている。古巣は昔ビルが多く立ち並んでいた場所にある。巣といっても色々な種類があるが今回の巣はドームの天井がない物だ。
「中には何があるか分からないから常に戦闘態勢でいてね」
優子は兵たちに声かける。
因みに言うが分隊の兵たちは【A.D】を持っていない。そのためバトルライフルを装備している。
「計画通り入口から二手に分かれて小部屋を制圧した後中央広間を制圧するのが今日の流れだから」
優子がいると指揮はやってくれるから凄い楽である。
まぁ、何もいないだろう。なぜなら、ここに来るのに一体として【D】に遭遇することがなかったからだ。
そんな感じで探索は順調に進んでいた。小部屋に【D】がいることもなかった。
「あいつらは良いよな~。俺も優子さんの分隊が良かった」
凄い失礼な言葉が後ろの分隊員から聞こえてきた気がするが気のせいだろう。そんな小声になったところで聞こえているからな。
「うるせぇよ……」
俺は誰にも聞こえないようにボソッと呟く。
そんなことをしているうちに最後の一部屋になっていた。
「とりあえずここの部屋で最後だ」
俺は入り口に張ってある薄膜をククリで切り、手で割いて部屋の中に入る。予想通り何もいない。どの部屋も何かがいた痕跡はあるものの何もいない。昔の痕跡だろうが少し気になる。
「全部屋制圧。合流するか」
「「了解」」
分隊員は声を揃えて言う。
――その時、古巣が揺れた。
「な、なんだ!?」
揺れとともに優子の悲鳴と、無線が入る。
『……こっち……早く……中央……みんなが……』
ところどころが周囲の音でかき消されて聞き取れない。が、危機が迫っているのはどう考えてもわかることだ。
「中央広間に行くぞ!」
俺は分隊員に呼びかけ走りだす。
中央広間はここからすぐだ。【D】がいたとしても優子が取り乱しすぎている。俺の中で何か嫌な予感がした。
中央広間に着いた時俺が目にしたのは
「なんだ……あれ……」
黒く岩のようにゴツゴツした肌に10メートルはありそうな巨体、どこかの昔話で出てきそうな鬼のような黒い顔で、目だけがギラギラと光っている。筋肉質な体、黒い肌、10メートルの巨体。どこかの資料でこんな【D】を見た気がする。いや俺はその事実を信じたくなかっただけだ。東京に甚大な被害を与えたLv4の【D】。
「オーク……!?」
次回投稿は11月12日水曜日の21時です