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新しき朝。隠され続ける。

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「…………ようやく」


置時計を確認して立ち上がる。首を回して視線を部屋に回すと、和式の簡素な部屋が視界におさまる。いつも綺麗にしてくれている、彼女に感謝しながら立ち上がる。

無言のまま部屋を出ていく青年。部屋を出ると、廊下と縁側が組合わさった場所へ出る。縁側でお茶を飲んでいる少女と、少女の膝の上で丸まっている愛猫を撫で、微笑む。しかし、すぐに無表情に戻り、歩いていく。その後ろを、微笑みながら少女が愛猫を引き連れてついていく。廊下を歩いていくと、突き当たりに扉があった。その扉を開けて、青年と少女はそのまま入っていく。入ると洗濯機と洗面所があった。青年は着ていた服を脱ぎ、洗濯機へと放る。それを確認した少女は、洗濯機を起動する。そのまま、青年は洗面所にある鏡を見る。


「まずいな……髭が……」


呟くと、少女が洗面台の棚にあった、カミソリとクリームを手に取り手渡す。それに感謝し、青年は顎や頬、髭のある場所にクリームを塗り、カミソリで剃っていく。ゴウンゴウンと洗濯機が洗濯する音が聞こえてくる。青年は髭を剃り終わったのだろう、蛇口を捻って水をバシャバシャと顔にかける。少しスッキリとした表情の、シュッとした精悍な顔つきが鏡に写る。それを見ていた少女が微笑み、青年にタオルを当てて水をぬぐっていく。

少女に感謝するように青年は頷き、洗面所から来た道を戻り、箪笥から黒いTシャツとトランクスを取りだし、部屋に掛けてあった制服と共に着替える。部屋にある姿見に映る青年は、スポーティーなモブキャラといった、平凡な容姿をしていた。

共にいた少女は、青年と違う方へ歩いていく。青年と来た道を途中で逸れて、台所と居間が繋がっている場所へと来る。


「ん~……今日は焼き鮭。お味噌汁は……ほうれん草と……」


少女が一人言を呟きながら、朝食を用意していく。出来上がる少し前に、すでに青年は席についてぼーっとしていた。ふふ、と少女は微笑む。愛しい青年が、そこにいることに……ただ。幸せを感じる。配膳を済ませて、青年と、いただきますと合掌する。ゆったりと食べながら、少女と青年は談笑する。朝のちょっとしたヒトコマ。


朝食も登校準備も済ませた二人は、家の鍵を閉め、手を繋いで歩き出す。少女の鞄からは、愛猫が顔を出して二人を見ている。ゆったりと通学路を歩きながら、ご近所様に挨拶していく。にこやかに少女は挨拶し、爽やかに青年が挨拶していく。それに温かく返してくれる。途中で何度か冷やかされてしまうが、まんざらでもない気持ちだ。ありがたく思いながら、青年と少女はゆったりと歩いていく。右手側に桜並木が現れ、青年は一度立ち止まる。少女が繋いでいる手を引っ張って、先を促す。


「行こう。今日で、快復できたこと。報告しに」


「……ああ。そうだね」


そして、青年は歩き出す。少女のために、嘘をつき、自らが死ぬ間際に立とうとも、彼女の幸せを願い続ける。今日でようやく、終わりがきた。


「……にゃあ」


「ふふ……そうね。良かったわね」


「なんだよ、サーニャ。まだあれか?俺の嘘を根に持ってんのか?」


「それはそうよ。危ない状態なのに、ずっと大丈夫って……」


「実際大丈夫だったろ?変な夢を見続けてただけだから」


これもまた、嘘である。しかし、これで良いのだろう。現実(悪夢)、真実(虚実)はいつだって、残酷なのだから。


一気にだばっと書きました。

正直自分でも何かいているのか判らない。

だが、読む人にとって、どう写るか。

私は解説はしない。何せ、青年が隠し続けるのだから。

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