現実--悪夢--一日目
何となく書いたもので、稚拙な文面が続くと思いますが、最後までよろしくお願いします。
これは夢だ。そう考えれば、この悪夢--現実--から逃げ出せると考えていたんだろうか。例えそうでも、現実--悪夢--からは逃げ出せない。悪夢--現実--はいつでも残酷なものだろう。
これは、一人の青年が少女のために躍り狂うお話。
そう。何かが狂った悪夢--現実--の歯車を、身を呈してまで直す青年の活躍劇。
自分の上見ろ、何もない。後ろ振り向け、闇が広がる。
目の前見据えて、落ちていく。虚無が広がり、しんでいく。
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「…………っ!?はぁ……また、あの夢か………」
毛布を蹴飛ばし起き上がった青年は、多量に汗をかいていた。
青年は流れ出ていた汗を、近くにあったハンドタオルで拭き取ると、置時計を確認して立ち上がる。首を回して視線を部屋に回すと、和式の簡素な部屋が視界におさまる。青年の無頓着さと綺麗好きの相反する性格の表れだろう。
無言のまま部屋を出ていく青年。部屋を出ると、廊下と縁側が組合わさった場所へ出る。縁側に寝そべる愛猫を撫で、微笑む。しかし、すぐに無表情に戻り、歩いていく。廊下を歩いていくと、突き当たりに扉があった。その扉を開けて、青年はそのまま入っていく。入ると洗濯機と洗面所があった。青年は着ていた服を脱ぎ、洗濯機へと放り起動する。そのまま、洗面所にある鏡を見る。
「まずいな……髭が……」
呟くと、洗面所の棚に手を伸ばし、カミソリを手に取る。クリームを塗り、カミソリで剃っていく。ゴウンゴウンと洗濯機が洗濯する音が聞こえてくる。青年は髭を剃り終わったのだろう、蛇口を捻って水をバシャバシャと顔にかける。少しスッキリとした表情の、シュッとした精悍な顔つきが鏡に写る。
満足そうに青年は頷き、洗面所から来た道を戻り、箪笥から黒いTシャツとトランクスを取りだし、部屋に掛けてあった制服と共に着替える。姿見に映る青年は、スポーティーなモブキャラといった、平凡な容姿をしていた。
「朝飯は……いつものとこか」
独り言が多くなった、と思いつつ玄関に向かう青年。途中、愛猫が青年の肩に飛び乗り、一声鳴く。青年は愛猫を撫でて屋敷を出る。肩に乗っている愛猫はそのままだ。ゆったりと通学路を歩きながら、ご近所様に挨拶していく。にこやかとはいかないが、爽やかには挨拶していく。それに温かく返してくれる。ありがたく思いながら、青年はゆったりと歩いていく。右手側に桜並木が現れ、青年は一度立ち止まる。愛猫が一声鳴いて、先を促す。しかし、何かをじっと見続ける青年。
やがて。青年はまた歩き出す。桜並木を。
何故だろうか。何度も通った道のはずなのに。今日はやけに、この桜並木の先の道が気になった。
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「いようっ。猫モブ!」
「その呼び方は止めてくれと言ったろう?」
とある理由で有名な秋春学園。その理由とは、猫モブと言われた青年の肩に乗る猫が物語っている。猫モブと言った彼の頭には、ハムスターが誇らしげに乗っている。
「はっはっwそのように、猫を乗っけてりゃ、そう言われるだろう」
「せめてモブ男にしてくれ。もしくはAで」
「Aはダメだ。かっこ良すぎる。モブ男もダメだ。俺がモブ男だ。となると、猫モブが一番だな」
「それは俺のサーニャがモブのようだろう?彼女はモブじゃない。この物語のメインヒロインだぞ」
「ああ、またでたよ……」
呆れたように吐いたため息は、興奮し始めた青年には届いていない。そして、彼は思う。その猫への熱意が、猫(を愛する)モブの由縁なのに……と。普通に接していれば、好感の持てる青年で、女性達の人気も高い。にも関わらず、彼の愛情は一途に愛猫に注がれており、それが、彼をモブに落とす理由の一つである。
更に、と。青年の肩に乗る猫を見る。猫にしては長い毛で、ブロンドとダークホワイトのコントラスト。まるで、狐のような猫である。尻尾もそれらしく、小さいながらもモフモフしている。しかし、猫なのだ。頭に乗っかる二つの三角は、狐のようには尖っていない。顔もまた、狐のようなシュッとした細みはなく、猫の愛くるしさが混同している。合成獣を、出会った当初は思い浮かべたのだが……。歴とした猫である。
「そんで、今日はどうするんだ?」
「でーあるから……あ?ああ。今日は寄らねぇ」
「そうか……」
「何で俺がてめぇの恋路を、応援せにゃならんのだ」
「なっ!?べ、別に俺の恋路ってわけじゃねねねねぇしっし」
はぁ。と肩を竦めて見せる青年。全くもって、いつもと変わらぬ風景。青年は、この変わらぬ日々が終わってほしくないと願う。ただ、夢の内容が、頭の中から離れない。そして、思う。今日も、間違えたのか……と。
---result,new wards----
--青年--
猫好きというよりも、自身の飼い猫にしか興味がない。
モブキャラ オブ モブキャラ。どこにでもいそうな男子学生。
改名:猫(を愛する)モブ。
--サーニャ--
青年の愛猫。狐のような猫。
いつの間にか青年のそばにいた、母であり姉であり妹。
--彼--
日焼けが似合う、野球少年。青年の良き理解者の一人。
改名:モブ男。
--ハムスター--
一般的に、ネズミと同列には扱われないが、生態系や学術的にはネズミの仲間である。チューチュー。
モブ男に乗っているのは、ジャンガリアン・ハムスター。
--合成獣--
複数の動物などを掛け合わせた存在。
この世に生まれるはずがない、存在し得ないモノ。
--屋敷--
青年が住んでいる家。
平屋だが、少々狭い。青年と愛猫しか住んでいない。
--桜並木--
桜の木々が列なった通学路。
秋春学園に続いているが、この並木道は県の管轄。
--秋春学園--
桜並木の奥にある学園。