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ロストナンバー  作者: 宇野 宙人
第二章 転校生編
49/70

第四十四話 黒幕

遅くなりました。


四十四話です。

「ぎゃあああああああああああああああああああ…………!!」


 組織のとある一室の中でハーネスの悲鳴が響き渡った。

 あまりの激痛に床をのたうち回り、喉が枯れるほど叫びまくる。

 されど、何千本もの剣で全身を串刺しされた痛みは容易には癒えず、彼の精神は発狂寸前にまで陥っていた。


「がっ……はぁーはぁー、な、何てヤツ……」


 数分程、”死んだほうがマシとも言える痛み”に悶え苦しんだ後で、ようやく正常な思考を取り戻したハーネスは恐怖の滲む声で呟く。

 完膚なきまでの敗北。絶望的な差を見せつけられ、無様に逃げかえることしか出来なかった自分。

 この上なく惨めな思いに晒されながらも、彼は自分をここまで追い詰めた一人の少年のことを考えていた


 早房景。

 書類上での彼は、特筆すべきところなど何もない普通の少年……のはずだった。だが、直に会い、精神世界で戦ったハーネスはその認識を一変する。


「……何なんだ。あいつの……あの、化け物じみた精神力は」


 今まで多くの人間に取り憑いてきたハーネスだからこそ分かる異常さ。

 願うことなら二度と関わりたくない、と恐れ戦きながら床を這いずって、出口に向かう。

 その途中で、静かな、されど威厳に満ちた声が聞こえてきた。


「……失敗したようだな。ハーネス」

「あ、貴方は……いえ、貴方様は!」


 ハーネスの顔がサーと青ざめる。目の前に立っていた人物は自分の上司であり、組織の中で最高権力を持つ八人の統括長の一人。


「お、お許しください。私は今日(こんにち)まで貴方様のお役に立ってまいりました。そもそも、今回の仕事は不破という小娘のもので、私はただの補佐役に……」

「言い訳など必要ない。私の部下に、まともに仕事も出来ない無能はいらん」


 男は懐から拳銃を取り出すと、銃口をハーネスへ向ける。


「……くっ」


 命乞いが無駄だと悟ったハーネスは、ヤケクソな気持ちで能力を発動させる。

 男の体を乗っ取り、取りあえずこの場を凌ぐつもりだったのだが…………


「あれっ? えっ?」

 

 間抜けな声を上げるハーネス。しかし、次の瞬間、その顔は恐怖と困惑に変わっていく。


「な、何故だ!?」


 ハーネスは叫ぶ。


「何故……能力が発動しない!?」


 防がれたのではなく、能力そのものが発動しなかった。


「愚か者め。我々が、お前たち能力者が反抗するリスクを予想できないとでも思ったか」

「ひぃ」


 能力という唯一の武器を奪われ、打つ手を失くしたハーネスは、なりふり構わず統括長から逃げ出した。

 その背中を、男は容赦なく引き金に指をかけて撃つ。

 タァーン、という銃声と共に、弾丸が心臓を貫くと、ハーネスは糸の切れた人形のようにドサリ、と倒れた。

 撃ち抜かれた痕からは血が滲みだし、服を、床を、じわじわと赤く染めていく。


「……後は任せる」

「はっ!」


 絶命したのを確認した男は、まるで最初からそこにいたかのように現れた一人の黒服の青年に死体の処理を託すと、用は済んだとばかりにその部屋から出ていった。







 組織の本部。

 その中の一番奥に、最も権力を持つ者、すなわち統括長のみに使用を許された部屋がある。

 円卓に座するのはこの組織を動かし、日本を裏から操る力をも持つ八人の人物。

 政治家、官僚、大企業のトップ、巨大犯罪シンジケートの元締め等々、それぞれが組織外でも途方もない権力を有する者たちである。


「すまない。少々遅れてしまった」


 扉がスライドし、さっきハーネスを始末した男が入って来た。

 既に円卓には七人が座っており、彼が席に着くことでこの場に統括長全員が揃う。


「いえいえ、構いませんよ。お互い、何かと忙しい立場ですからねぇ」

「左様。たまには骨を休めたいものですな。ハッハッハ」


 彼らは薄ら笑いを浮かべつつ、前置きもなく会議を進める。


「今回の件、あの鳳景政の孫の誘拐は、失敗に終わった。これに関わったH601はすでに処分済み。もう一人の不破という少女にも近いうちに刺客を放つ予定だ」


 淡々と機械のように言葉を紡ぐ彼に、隣に座っていた初老の男が小悪党めいた笑みを漏らす。


「ヒッヒッヒ。別に放っておいてもいいと思いますけどねえ。所詮、小娘一人がどう足掻いたところで何も出来はしませんから」

「確かに、我らの組織はそんなことで揺らぐほど脆弱ではない。だが、どんなに堅牢な要塞も蟻の一穴が原因で崩れることもある。用心に越したことはなかろう」

「ヒッヒッヒ。本当に、貴方は慎重な男ですね。そこまでいくと、むしろ臆病にすら思えますよ」

「ふん。何とでも言うがいい。だが、私はこの本部の責任者である以上、妥協を許すつもりは毛頭ない」


 ギロリ、と射潰すような目を向けられるが、初老の男は懲りずにヒッヒッヒ、と嗤っている。

 仮にも組織のトップ、統括長の一人。常人より胆力はあるようだ。


「では、彼女を始末するとして、妹の方はどうしますか?」

「当然、殺すべきでしょう。今までも、そうして統制を計ってきたのですから」

「ヒッヒッヒ。どうせならその様子を撮影し、彼女の方に送りつけるというのはどうです?」


 不気味な笑みを絶やさず、初老の男は非道な提案をする。


「ヒッヒッヒ、あの能面少女の絶望する顔が目に浮かびますね」

「……下衆め」


 隣にいた男は吐き捨てるように言う。

 統括長という立場に誇りを持っている彼は、こんな品性の欠片も無い奴が自分と同じ立場ということに、いつも腹立たしさを覚えていた。


「そんな話は、後にしろ! 始末などいつでも出来る。今は、あの鳳景政の孫を捕らえる方法を模索するのが先だ」


 男はやや苛立ちを含んだ声を上げる。


「そうでしたな。しかし、あまり期待してなかったとはいえ、奴らが失敗するとは」

「存外にもあの二人が役立たずだったということであろう」

「まあ、所詮は捨て駒ということでしょう」


 誘拐が失敗したというのに、彼らは焦った素振りを一切見せず、むしろ余裕の表情で互いの顔を見渡している。

 統括長である彼らには、有り余る手駒と法や正義すらねじ伏せる権力を自由に操ることができる。

 今回の件も、彼らにとっては数ある手の内の一つに過ぎず、別に失敗したところで何の不利益も被ることはない。


「いっそのことあの学校の理事に、手を貸してもらってはどうです? 彼らのうち何人かは我々と利害関係にあるのですし」

「だが、それではあの理事長に気付かれる恐れが……」

「はっ、あの研究者風情に何が出来ると?」


 色々と意見が出る中、突如、壁に埋め込まれた長方形の通信装置が鳴りだした。

 この部屋は統括長しか入ることが許されないため、何かあった時は部下がこの通信装置を介して、彼らに知らせる仕組みとなっている。


「私だ。何があった?」


 近くにいた統括長が席を立ち、通信装置に触れる。


『はっ。先程、巡回していたところ、見張り数名が倒されていました。どうやら、何者かがここに侵入した模様です』


 装置を介して、部下の声が部屋に響き渡る。


「侵入者だと? この本部にか」

『はっ。しかし、形跡から見て、おそらく一人だと思われます』

「一人か。なら、見つけ次第、始末しておけ」


 はっ、と威勢のいい返事を最後に、通信は切れる。


「いやはや、この本部に侵入者など、一体何年ぶりになりますかね」

「しかし、一人とは……何と無謀な」


 侵入者の情報に、統括長たちはざわめく。

 しかし、例によって彼らの顔には深刻さが窺えず、まるで世間話をするかの如く、気楽な様子だった。


「ヒッヒッヒ。久しぶりに、面白いことが起きましたね。どうです、みなさん。侵入者が始末されるまで何分かかるか、賭けません?」


 浅ましく笑う初老の男に、彼は再び顔をしかめる。


「不謹慎なことを言うな。この本部に侵入を許したのは、我々の不手際だ」

「おやおや、まさか本部の責任者である貴方が、侵入者一人に怯えているのですかな?」


 正面にいる統括長が茶化すと、彼はギリッと奥歯を噛みしめた。


「そんなわけがあるか。この本部の防衛力を何より信頼しているのはこの私だ」


 彼は心外とばかりに、強い口調で言い切る。この本部を預かっている彼には、組織の拠点となるこの場所の隠蔽と防衛には過剰なほど力を入れていた。

 現に、今までもその隠蔽をかろうじて見破り、侵入に成功した手練れの猛者ですら、ただ一人の例外も無く、全て十分以内に始末されているほどだ。


「この本部を守っているのは、組織の中でも精鋭揃い。しかも、全員能力者だ。例え誰が来ようとも、立ち向かえるはずがない。もし、万が一侵入者がここまで来るようなことがあれば、私は―――――」


 絶対の自信を持って、本部の防衛力に対する信頼を語っている最中、いきなり入口の扉がそっくりまるごとぶち抜かれた。

 扉はそのまま勢いを殺すことなく彼にぶつかり、向こうの壁とサンドされ、その衝撃で意識を失う。


「だ、誰だ!?」


 誰かが発したその言葉を引き金に統括長全員が立ち上がり、入り口の方に視線を向ける。

 するとそこにいたのは、白い野球帽を目深にかぶり、ジャケットにジーンズという極めてラフな格好をした十代くらいの少年だった。


「おじゃましまーす」


 その少年はポケットに手を突っ込んだ状態で軽く挨拶すると、無理やりこじ開けた入口から悠然と部屋の中へ歩いてくる。

 まだ声変りはしていないのか、まるで女性のようにやや高めの声音だった。


「貴様、一体何者だ?」

「ん? 僕はただの学生だけど」

「学生……光輪の生徒会か? いや、それはないな」


 統括長である中年の男は一瞬、頭に浮かんだ考えを、しかし即座に否定する。

 Aランクを揃えた生徒会ならば、ここに侵入することも可能だろうが、生徒会が外で活動するのは、政府か警察の依頼があった場合のみ。

 もし、組織に対する依頼がどちらかから出たとしたなら、国の中枢にも影響力を持つ彼らの耳にその情報が入らないはずがない。


「うん、僕は生徒会の人間ではないよ。光輪の生徒ではあるけどね」


 少年もまた、生徒会ではないと証言する。

 それを知って、やはりと思う一方、ではどうやってこの場所を突き止められたのかという疑問が生まれる。


「ちっ、おい! 他の奴らは何をしている。とっとと、このガキを始末しろ!」


 侵入者を排除するために、統括長の一人が通信装置を起動させ、本部内にいる部下たちを招集しようとした。

 だが、奇妙なことに誰一人反応がない。


「おい、どうした!? 返事をしろっ!」

「あ~、多分、それは無理だと思うよ」


 通信装置に怒鳴る統括長を見て、少年は嫌な笑みを浮かべた。


「な、何故だ?」

「だって、僕がほとんど倒しちゃったからね」


 少年は無邪気にそう言うと、彼は絶句する。


「ハッタリだ! ここには三〇〇人以上の能力者がいるんだぞ。それを、貴様一人で倒せるわけないだろ」

「ふ~ん。まあ、信じないなら、それでもいいけど」

「な、何ィ!」

「落ち着け。お前も統括長なら、みっともない姿をさらすな」


 年配の統括長がたしなめた時、円卓の下でこそこそしていた男が何かを取り出すと、それを少年に向ける。


「くたばれっ!」


 男が手に持っていたのは、一丁のマシンガン。円卓を支えに引き金を引くと、耳を塞ぎたくなるような銃声と共に、何十発もの弾丸が少年を襲う。

 しかし、その弾丸は一発たりとも少年の体に届くことは無かった。


「無駄だよ。そんな武器じゃ、僕に傷一つつけられない」


 マシンガンによって撃ち尽くされた弾丸は、全て少年の目の前で停止していた。

 まるで見えない壁、というよりはゼリーの塊に突っ込んだような感じで、弾丸は動きを止められていた。


「その力……やはり念動力(サイコキネシス)か」

「正解」


 少年がニヤリと笑ってみせる。


 瞬間移動(テレポート)念話(テレパシー)と並んで、最もメジャーな超能力の一つ。

 触れることなく物体を動かすという、至極単純な能力だ。しかし、単純であるが故に能力としての優劣がはっきりと分かる。


「さーて、最初に生け贄になるのは誰かな~」


 少年は完全に遊んでいた。

 ちなみに、ここに入って来た時、すでに統括長を一人押しつぶしているのだが、そのことについて触れる者はこの場に誰もいなかった。


「……ヒッヒッヒ。“生け贄”ですか?」


 初老の男が一歩前に出る。


「ん? おじさんが立候補してくれるの?」

「まさか。生け贄になるのは君の方ですよ。少年(ボーイ)


 薄気味悪い笑みを浮かべたまま、男は少年と対峙する。


「君は疑問に思わなかったのですか。どうして、能力者でも無い我々が強力な能力者を部下にし、まとめることが出来たのかを」

「どうせ、お金でしょ。あ、言っとくけど僕は買収されないからね」

「ヒッヒッヒ、違いますよ。まあ、それも一つの手なんですが」


 初老の男が笑いながら、切り札となる言葉鍵(ワード)を口にする。


「ヒッヒッヒ。“アンチシステム”起動」


 ピピッという音が聞こえ、何かの機械が彼の声を認識して起動した。

 すると、少年の前で宙に浮いていた何十もの弾丸が地面に落下し、甲高い音を響かせる。


「これは……」

「ヒッヒッヒ。どうです? これこそが本部の隠し玉。どんな能力も一瞬で無効果する“アンチシステム”の力です」


 アンチシステム。


 それは理論上、完成したものの、開発にかかる莫大なコストとそのあまりの巨大さから実用不可とされた秘蔵の技術。

 しかし、あらゆる権力と潤沢な軍資金を有する組織は、人知れずそのシステムを作り上げることに成功した。

 唯一ネックだった巨大さについても、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()にすることで解消されている。


「……驚いた。ホントに能力が使えなくなってる」

「ヒッヒッヒ。理解しましたか。これで君は無力な一般人。これ一つで十分始末出来ます」


 懐から拳銃を取り出すと、銃口を少年に向けて躊躇いもなく引き金を引く。

 世界で最も広く使用されているドイツ製の9mmパラベラム弾が音速を超えたスピードで射出され、少年の眉間をぶち抜く―――――寸前で止まった。


「…………は?」


 男の笑みが凍りつく。

 一方、少年は何事も無かったかのように指をくいっ、と上げると、男の体が天井にめり込む勢いで跳ね上がった。


「ぐおっ!?」


 凄まじい衝撃を受けた初老の男は、白目をむいて気絶。重力に従って落ちていく体を、少年が念動力で受け止める。

 その直後、アラート音が部屋中に響き渡った。


「な、何だァ!」


 事態の急変に、統括長の一人が叫ぶ。うろたえているのは彼だけでなく、他の統括長も同様だった。

 その隙に、少年は念動力で三人程ぶっ飛ばす。


「ふげっ!」

「ぐほっ!」

「ぼげっ!」


 壁にぶつかり、三者三様の呻き声を上げた彼らは、そのまま動かなくなった。


「やれやれ。いくら能力者じゃないからといっても、流石に弱すぎじゃない?」

「だ、黙れェ! 大体、貴様は分かっているのか。我らはこの国の闇そのもの。

一万人を超える部下を持ち、政治、経済を裏から動かす巨大組織なのだぞ。その我らに逆らって、ただで済むとでも――――」

「ほい」


 まくし立てる男に、煩わしくなったのか少年は念動力で彼を持ち上げ、円卓に激突させて、強制的に黙らせる。


「ただで済みそうだね」

「ひぃぃぃ」


 恐怖のあまり錯乱した統括長の一人が、少年の脇をすり抜け、逃げようとした。だが、少年の念動力に捕えられ、男は宙に浮き上がる。


「悪いけど、僕は一人も逃がさないよ」

「や、やめろ。やめろォォ!!」


 じたばたと空中でもがき続ける男を上に飛ばし、思いっきり床に叩きつけて意識を奪う。


「これで残りは、オジサンだけだね」

「ぐっ…………」


 統括長、最後の一人になった男は、果てしない無力感に包まれながら目の前の少年を見る。

 国を動かせる程の権力も、一万人以上の人間を支配する組織力も、名も知らない少年の持つ単純な、ただ単純な力に捻じ伏せられていく。

 それは、今まで自分が必死で築き上げ、守り抜いてきた統括長の地位が呆気なく崩れた瞬間だったが、その不条理な現実を男は認めたくなかった。


「……何なんだ! 一体、お前は何なんだ!?」

「いや、だから最初に言ったじゃん。僕は光輪の生徒だって」

「ふざけるな! お前のような男が光輪にいるなんて……そんな話は今まで聞いたことがないぞ!」


 声高に叫ぶ統括長に、少年はハァ、とため息をついた。


「まあ、途中から突っ込みたかったんだけどさ……」


 少年はおもむろに帽子をとる。露わになったのは、短めの髪をしたボーイッシュな顔立ちで、唇を少々とがらせていた。


「僕は女だよ。名前は逆倉葵(さかくらあおい)

「へ……?」


 呆けた顔で少年、改め少女の顔を眺める統括長。だが、すぐにその顔から血の気が引いていく。


「ま、まさかお前が、あの『光輪最強』の……」

「まあね」


 葵は何の気なしにそう答えると、念動力で最後の統括長を吹き飛ばす。ぐぇ、という潰れた声を上げて、男は気を失った。


「よし。後は……」


 統括長全員を仕留め終えた葵は、耳に取り付けられた小型の通信機を使って声を送る。


「アー、アー。聞こえる?」

『問題ない』

「ああ、なら良かった。取りあえず、こっちは片付いたよ」

『侵入してから十分も経ってないのに、流石」

「この本部を見つけた上に、数分でアンチシステムを乗っ取った君ほどではないよ。それにしても、まさか世界最高と謳われた伝説のハッカーが、君みたいな中学生だったとはね。本当、凄い人たちとばっかり知り合いだなぁ、彼は」

『アナタも、その一人でしょ』

「かもね」


 気だるさが声に滲む通信相手に、葵は「えへへ」と楽しそうに話す。


「じゃあ、また連絡するから」

『りょ』


 通信を止めると、葵は目的の為に動き始める。


 こうして、誰にも知られず国を裏から操って来た組織は、最後まで誰にも知られることなく、「光輪最強の能力者」と呼ばれる彼女の手によって壊滅を迎えることとなった。


 光輪高校序列2位、逆倉葵。能力名“自由自在(フリーコントロール)”。

 彼女の偉業、もとい異業はまた一つ、知られざる功績として一部の人間を震撼させることになるのだった。



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