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前編
涙が渇ききるまで一晩中泣き続けた結果、声が枯れた。
目元も赤く腫れ上がり、体はまるで重い石になったかのように、疲れ切って少しも動けない。
周囲には帰って来た時に暴れて投げて壁に当て、蹴り飛ばされて壊れてガラクタ同然になったモノがゴミ捨て場の山みたいに、秩序無く無差別に転がってる。(…お父さんとお母さんが居なくて良かった)
父は三日前から東北に出張、母は昨日から叔母さんと温泉旅行に行っている。
グットタイミングとはまさにこの事だ。
もし二人とも家に居れば、半狂乱に近かった自分を見て、理由を問いただし、必死に止めようとしただろう。
そんな事をされたら頭に血が上ってうた自分は何をしたか分からない。
下手をしたら傷付けていたかも知れない。
それを思うと本当に二人とも不在で良かったと改めて思った。
それにしても―――
(どうしてこんな事になってしまったんだろう)