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剃刀  作者: パラ
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第四話

 飛鳥と暦さんが出会ってから一週間。今までの平和な日常はとんでもなく騒がしくなった。それはもうありえないくらいに…彼女たちが顔を合わせればとりあえず喧嘩。果ては殺し合いに繋がるのだから、止めるこちらとしても非常に厄介な二人である。

 

 そんな二人は仲がいいのか悪いのか、喧嘩した後はいつも通り話をするというのだから、まったく女心というものはわからない。

 「凛太郎から離れろ!!」

 「嫌よ。あなたこそどっかいって」

 ……まあ今は絶賛喧嘩中なのでものずごくうるさいです。昼休みに屋上で飯を食ってたのだが、いつの間にか喧嘩していたらしい。

 「あ~とりあえず、暦さんは離れてね。」

 「…わかったわ…」

 暦さんは俺の言うことは素直に聞いてくれるので、今はなんとかなっているが…暦さんと飛鳥が暴走したら、俺には止められないと思う。……情けないかもしれないが、暴走した二人を止めるのはそれほど困難なのだ。命が惜しい俺は、そんな勇気のいることはできない。

 「そういえば、暦っていっつも剃刀もってるわよね?なんでそんな危ないもの携帯してるわけ?」

 「護身用よ。いつでも自分を守れるようにね。それに…これを持ってると安心するのよ」

 「ふ~ん?変わってるわね」

 「それに、いつでも凛くんと心中できるようにするためでもあるわね」

 「あ~なるほど~」

 「あ~なるほど~じゃないって!!!暦さんはそんなもん携帯しないでください!!飛鳥もそこで納得すんなよ!!!」

 二人の思考回路はまったくわからない…なんで危険思想を語ってはずの暦さんの意見に飛鳥は納得できるんだ…?

 「まあでも、あたし心中はしたくないかなー」

 「そう?心中が一番愛を表せると思うけど…」

 「いや、あたしだったら監禁するわね!監禁してずっとあたしのものにするわ!!そうしたらずっと一緒にいられるし、死ぬときも一緒!!まさに一石二鳥!!!」

 「な、なるほど……それは盲点だったわ……でも、監禁だといつか逃げられるるかもしれないわ」

 「む、たしかに…それに、監禁だといつ他の雌どもが凛太郎を横取りするかも心配ね…」

 「そうね。監禁は夢がいっぱいだけど、失敗したときに失うものも大きいわ」

 「むむ…得るものも大きいけど、それ相応のリスクがあるわね…」

 もういやだ…なんでこんな危険なことを考えているんだ…?外から見れば可愛らしい女子高校生のはずなのに、中は真っ黒だ。黒じゃないな、もっとどす黒くて濁ってるな…なんでもっと健全な考えができないのかね…この二人と付き合うっていう猛者がいたら一目見てみたいものだ。

 「むむぅ…ねえ凛太郎?監禁と心中どっちがいいかしら?あたしは監禁が一番効果的だと思うんだけど……」

 「その話をこっちに振らないでください。俺はなにも聞いてません。いや聞こえません」

 「なによ!凛太郎のことを話してるんでしょ!!」

 「そうよ。今話してることは凛くんの行く末なの。ちゃんと凛くんの意見も聞いておきたいわ」

 「俺は監禁も心中もごめんです。普通にすごせればそれでいいんです。そんな危険思想に俺を巻き込まないでください」

 まったく…なんで俺の行く末なんだよ…そんなこと他の誰かにやってくれ…俺はごめんだ。自由に生きていたいのだ。

 「だめね。凛太郎に聞いても意味無いみたい」

 「そうね…凛くんの意思を尊重しようと思ったけど、やっぱり強攻策が一番効果的な用ね」

 「そうみたいねー。やっぱりスタンガンで気絶させて運ぶのがいいかな?」

 「さすがに人目につくんじゃないかしら?真夜中にやったとしても、誰かに見られる可能性が高いわね」

 「あーそっかー。じゃあやっぱり家に連れ込んでから気絶させるのがいいかな?」

 「そうね。ただ自分の家でやった場合だと、ご近所さんに見られてる可能性があるから、捜索願が出たときに面倒くさくなると思うわ」

 「なるほどね…そうすると、どこか都合のいい場所に連れ出すしかないわけね…」

 「そうなるわね。やっぱり監禁はリスクがたかいわ。一気に心中したほうが効率的にはいいと思うわ」

 「でも、それだとあんまり楽しむ時間がないんだよなー」

 「そこは我慢するしかないわね…」

 ……そろそろ普通の会話に戻ってほしいと思うのだが…首を突っ込んでしまったら、そのまま監禁・心中のどちらかに陥ってしまいそうで話しかけられない……あーなんかいい手はないだろうか?もういっそのこと意見してみるか。

 「あのさー普通に付き合って、普通に結婚すればよくない?そうすれば一緒にもいられるじゃん。」

 「それはダメね。恥ずかしいし」

 「そうね。恥ずかしいからそれはダメね」

 「なにが恥ずかしいの!?監禁とか心中とかよりも全然いいと思うんですけど!!」

 「わかってないわねー凛太郎。そんな恥ずかしいことしたら、私たち壊れると思うわ」

 「そうね…そんな恥ずかしいことしたらと思うと…夜も眠れなくて狂ってしまうわね」

 「それが普通なんですよ!?あんたらの考えのが間違ってるんだからな!?」

 「とりあえず、それはダメなの!まったくなに考えてんだか…」

 「凛くんだから、これぐらいは仕方ないわ」

 「そうね。気にしたら負けよね」

 ……なんか、俺が悪いことを言ってるような流れになっとる……でもこれ以上なにかを言っても仕方ないか…今だ彼女たちは監禁・心中について色々と議論しているが、関わらないほうがいいだろう。そろそろ昼休みも終わるし、先に戻ってるとするかー


 なんだかバカらしくなったので、放置する凛太郎だった。今日もいつもと変わらず、少々騒がしいだけの日常だったとさ。


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