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剃刀  作者: パラ
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第十話

 先生との進路相談から一週間。特に日常の変化はないと思う。平和な日常って素晴らしいよね!!まあ暦さんたちは相変わらず危ないんだけど……

 今日はうちの高校の創立記念日で授業は休み。学校の休みの日ってのは心が休まるな。毎日あの三人の相手をしてるからか、とてもそう思うな!!今日はこのまま惰眠をむさぼることにしよう!今決めた!!

 「凛。さっさと起きろ」

 ……これで姉さんがいなかったら本当に素晴らしいのになーこのまま狸寝入りでもするとしよう。

 「ふむ、起きないな……ああ、これは私を誘ってるわけか。まったく、可愛いやつだな///」

 そういって姉さんの顔が近づいてくる気配がする。って!!ストップストップ!!

 「わー!わー!起きてます!!起きてるって!!」

 そういって俺はすぐに目を開ける。目の前には姉さんの顔。あぶねぇ……もうすぐ何かされるとこだった……

 「なんだ、起きてたのか……キスで起こしてやろうと思ったんだが……」

 「必要ないです!!もう完璧に起きましたから!!」

 やっぱりキスしようとしてたんですね!!わかってたけど!!

 「ふむ……少し勿体無いな……このままキスはするとしよう」

 そう言ってそのまま近づいてくる姉さん。ちょっと待った!!!なんでそのままキスするんだよ!!おかしいって!!俺おきてますよ!?

 「姉さん!?起きたからもう大丈夫!!ていうかやめて!!」

 「こら、暴れるな。ちゃんとできないだろう」

 ちゃんとできなくていいです!!まってやめてぎゃーーーーー!!!!!!

 チュッ

 「チッ、お前が暴れるから頬に狙いがずれただろう」

 「頬で充分ですよ!?いやー朝から姉さんにキスされて嬉しいなアハハー!!」

 「そうか?可愛いやつだな///ならもう一回してやろう」

 「もう大丈夫!!そんなにされたら有難みがなくなっちゃうし!!」

 「気にするな。何度だってしてやる」

 「いや大丈夫だって!!また今度お願い!!!」

 「そうか?なら今度にするか。朝食ができてるから早くこい」

 「わかった!!着替えてから行くよ!!」

 「なんなら着替えを手伝おうか?」

 「大丈夫!!姉さんは先に行ってて!!」

 「そうか……じゃあ先に行ってる。早くこいよ」

 そういって姉さんは部屋を出て行った。ふう……行ったか……。一応説明するがさっきのあれが俺の姉さんだ。言いたいことは色々あるだろうが、とりあえず聞いてくれ。名前は大山おおやま らん大学生だ。さっきのを見ればわかると思うが、超がつくほどのブラコンである。平気で姉弟の一線を越えようとしやがる……それを除けば本当に人類なのか?って思うほどの完璧超人である。勉強、スポーツ、芸術、家事、あらゆる面でトップをとれるほどの実力がある。そういやこの間発表した論文が素晴らしいものだったらしく、なんかの賞もとってたな……まあ、俺にとってはただのブラコンの姉なんだが……早く弟離れしてくれ……


 着替えが終わり、姉さんと一緒に朝食をとる。姉さんは大学の研究とかで休日も忙しいので一緒に朝食をとるのはまれだ。ちなみに両親はいない。ああ、いないって言ってもちゃんと生きてるから。一年前に父親が外国に出張するということで、母親もそれについていったのだ。だから今現在俺は、姉と二人暮らしということになる。まあいつもは姉さんもいないんで、実際は一人暮らしみたいなもんだが。

 「凛。今日は暇なのか?」

 「ん?まあ、そうだよ。これといってやることはないかな」

 「ならちょっと話しがある」

 「……なに?」

 なんだか姉さんの雰囲気が威圧的だぞ……これは逆らわないほうがいいな。別に俺が姉さんに頭が上がらないってわけじゃないぞ?ただ姉さんに逆らうと後が怖いだけだからな!!勘違いすんなよ!!

 「最近、凛の近くに女の子が増えたみたいだな?」

 ギクッ

 「……えっと、そ、そうかなー?いつもと変わらないと思うけど……」

 やばいぞ……どこからか暦さんたちの情報がばれてるみたいだ……姉さんにばれたらやっかいだから隠してたのに……

 「ふむ、その様子をみると、どうやら本当らしいな。まったく、だから言ったんだ。学校なんて行かなくていいと。凛は私が一生食わしてやるから外に出る必要が無いんだ」

 「いや、姉さん。俺だって自分で仕事くらいはしたいよ!てか何で俺の将来が姉さんのヒモなんだよ!?」

 「なにを言ってる。凛は生まれたときから私の物だと決まっていたじゃないか。心配するな。お前をヒモだとか言うやつは全員私が殺すから」

 「そんなこと決まってませんから!!というかさり気に物騒なこと言うなよ!?」

 「なんだ?反抗期か?そんなところも凛は可愛いな///」

 「話聞けよ!?」

 やばい、話が通じない……この人エイリアンか……なんとかしないと俺が学校に行けなくなるかもしれない。

 「ちゃんと話きいてくれって。俺はちゃんと自立した大人になりたいわけ。だから学校に行く。わかった?」

 「それは、高校に入学するときに聞いた。だが実際、お前に害虫がつくのは我慢できない」

 「害虫とか言うなよ姉さん……全員俺の友達なんだから」

 「お前が友達と思っていても、相手はそう思ってはいない」

 「あーうん。それはわかってるよ……」

 みんな俺のことが好きらしいし……何とかしなくちゃいけないけど、なんも思いつかないんだよね。心中か監禁とかだし答えがでないのは当たり前なんだけどね。

 「……やっぱりお前に学校に行かせたのは失敗だったな。凛、お前学校辞めろ」

 「辞めないから!!ちゃんと話聞いてくれって!!」

 「お前が何て言おうと学校は辞めさせる。これは決定事項だ」

 くそ……このままじゃ本当に辞めさせられちまうな……こうなったら奥の手だ。あまり使いたくはないが……仕方ない。

 「本当に学校を辞めさせるって言うのか姉さん……」

 「ああ、そうだ。このままでは、お前にいつ害虫が手を出すかわかったもんじゃない。そうなる前にお前には学校を辞めてもらう」

 「本気なんだね?」

 「ああ、冗談でこんなこと言わない」

 「なら……姉さんなんて嫌いになってやる」

 「なっ!!」

 これが俺の奥の手!!「姉さんなんか嫌い!!」だ!!かっこ悪いかもしれないが、姉さんにとってはこれが一番効果があるのだ。情けないが使うしかあるまい……

 「学校を辞めさせるっていうなら……姉さんなんて嫌いになるからな……」

 「ちょ、ちょっと待て!!私は凛のことを思って!!」

 「俺は学校に行きたいんだよ。そうしないと自立した大人になれないからな。それを邪魔するって言うなら……姉さんなんか嫌いだ!!」

 「り、凛が私のことを嫌いになるなんて……そんな……ウソだ……どこで育て方を間違えたんだ……小さいころはおねえちゃんと結婚するって言ってくれたのに……」

 「さあ、どうする姉さん?学校を辞めさせるっていうなら、本当に嫌いになるからな」

 「うぅ……り、凛、ウソだよな?おねえちゃんを嫌いになったりしないよな?」

 よし、いい感じに動揺してきたな……そろそろ止めを刺すか……

 「姉さん次第だな。このまま学校に行かせてくれるなら、俺は今まで通り姉さんのことが大好きだよ」

 これが俺の決め手!!!「姉さん大好き!!」だ!!!ふっふっふ……今までこれを出して姉さんが屈しなかったことはない!!!汚い手だが、俺が学校に行くにはこの方法しかないからな。

 「………」

 「えっと……姉さん?」

 まずい、タイミングを誤ったか?この「姉さん大好き!!」は効果が絶大だが使いどころを誤ると暴発しかねないからな……失敗したかも……

 「……凛、さっきのもう一回言ってくれ」

 「え?」

 「もう一回言ってくれ」

 「あ、ああ。姉さん大好きだよ」

 「もう一回」

 「姉さん大好き」

 「……ああ、凛が私のことを大好きって///やばいな、さすがの私もこうやって愛する弟に面と向かって大好きと言われてしまうと照れてしまう///」

 「え、えっと……それで、俺は学校辞めなくてもいいかな姉さん?」

 「ん?ああ、辞めなくていいぞ。そんなことより、もう一回言ってくれ」

 「おお!ありがとう姉さん!!」

 よっし!!成功したみたいだ!!これで学校を辞めるようになることはもうないだろう。

 いやーよかった。一時はどうなることかと思ったけど、上手くいってよかったな!

 「凛、早くもう一回言ってくれ」

 「ああ!姉さん大好きだ!!愛してる!!」

 むぎゅうー

 そういって俺は力いっぱい姉さんを抱きしめる。

 「!?え!?ふえぇ!?」

 おっと嬉しすぎて調子に乗りすぎたみたいだ。このままじゃ姉さんがオーバーヒートしてしまう。

 「おっと、ごめん姉さん。大丈夫?」

 「……………………」

 「姉さん?」

 なんだ?もしかして抱きついたショックが強すぎて、どっか壊れたかな?

 「……凛が私のことを愛してるって……ふ、うふふっふうふふっふうふうふっふうふ」

 ……どうやら本当に壊れたらしい。このままいると危険そうなのでとっとと逃げるかー

 ガシッ!!

 ……逃亡には失敗したみたいだ。

 「凛がそんなに私のことを愛してくれているなんて知らなかったな///これから私の部屋に行こう!!そこで二人の愛について語り合おうじゃないか!!心も体も一つになろう!!うふっふふうふっふ。やっぱり学校はダメだな。これからは私の部屋でずっと一緒に暮らそう。ずっと一緒に愛し合っていよう///先のことは私が何とかするから心配しなくていい。これからは一秒たりとも離れないで一緒にいよう///」

 そういってズルズルと俺を姉さんの部屋に運ぼうとする。やばい、あの部屋に入ったら俺の人生が終わる!!

 「ちょ!!まって、姉さん!!話しが違うよ!?」

 「ダイジョウブダ、何も心配しナクていい。これカラは二人だケの世界で生きていコウ」

 えまーじぇんしぃぃぃぃ!!!!!誰か俺を助けてくれ!!!!頼む!!!ちょ、まって!!だれかーーーーー!!!!!!


 そういって凛太郎は蘭の部屋に連れ込まれてしまうのだった。

 ……まあ凛太郎のことだからなんとかするだろう。……たぶん


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