第四話 決断の時
※本作品はフィクションです。
登場する人物・団体・企業・鉄道・駅名・路線・車両などはすべて架空のものであり、実在するものとは一切関係ありません。
『司令長、104Mは自力での運転再開が困難です。』
担当司令員の報告が司令室に響く。
モニターには、京橋駅手前で停止した104Mの位置が表示されたままだった。
朝ラッシュの時間帯。
一本の列車が止まるだけで、後続列車への影響は広がっていく。
『後続列車の状況は。』
司令長が問いかける。
『201Mを京橋駅手前で抑止中です。後続列車が京橋駅に近づいていますがどうしますか?』
『後続列車も抑止してください。』
『了解。』
『空港線の影響は?』
『現在はところは影響はありません。ただし、このまま運転再開が遅れれば後続列車の影響が出る見込みです。』
司令長はゆっくりとうなずく。
『京橋駅の状況は。』
別の司令員が受話器を置き、報告した。
『先ほどの通り駅係員が案内を続けています。』
『車内は。』
『車掌より現在も体調不良者などの報告はありません。』
司令長は一つ一つの報告を聞き受けると再びモニターに目を向ける。
モニターには京橋駅に向かう列車が表示されている。
このまま時間が過ぎれば舞洲本線ダイヤは大きく乱れる。
しかし、安全確認が終わるまでは列車を動かすことはできない。
その時、ベテラン司令員が口を開く。
『司令長』
『はい。』
『救援列車の手配も視野に入れるべきだと思います。』
司令長はすぐには答えなかった。
なぜなら救援列車を手配するのにも時間がかかる、手配している時間にも舞洲本線の遅れは拡大するばかりだ。
司令長は少し黙った後々、声を出す。
『車両センター』
『はい。なんでしょうか。』
『後続の201Mを救援列車として104Mに連結できないでしょうか。』
『一応可能ですが、安全確認が完了してからになります。』
『了解しました。』
話を終えると司令長は指示を出す。
『舞洲本線担当。104Mに連絡を入れてください。』
『了解。』
担当司令員は受話器を再び手に取り電話を始めた。』
『こちら運転司令。』
『こちら104Mです。』
『後続の201Mを救援列車として104Mに連結することになりました。安全確認が完了したらまた運転司令に連絡してください。』
『104M了解。』
この電話の隣では201Mに連絡をしていた。
『201M車掌。こちら運転司令。』
『201Mです。』
『この列車を104Mの救援列車として104Mに連結することになりました。この201Mは連結したのち、京橋駅副本線に入線します。京橋駅から回送列車として舞洲駅に向かってください。乗客にはこの状況を車内放送でお伝えください。』
『201M了解。』
201Mの車内で車内放送がかかる。
『現在、前方を走る列車の安全確認を行なっております。安全確認が完了次第、この列車を前方の列車に連結をします。突然ではありますがこの列車は次の京橋駅までです。京橋駅でお降りになりまして、向かい側のホーム普通列車にお乗り換えください。
突然のことではありますがご理解ご協力のうえよろしくお願いします。』
突然のことに乗客は少し困惑する。
司令室では104Mの新たな続報が。
『司令長!104Mから続報です!。』
『報告を…………。』
『たった今、安全確認が完了したと……』
『わかりました。』
『では、後続の201Mにも連絡を、104Mは乗客に説明を。』
『了解。』
担当司令員が連絡を入れる。
201M
104M
『了解。』
『運転司令、201M運転準備完了です。』
『わかりました。』
201Mの運転士は言う
『救援列車出発進行!』
第四話を読んでいただき、ありがとうございました。
今回は、車両故障が発生した104Mに対して、司令長がどのような判断をするのかを中心に描きました。
鉄道の運行は、一人の力だけでは成り立ちません。運転士、車掌、駅係員、司令員、車両関係者など、多くの人の連携によって安全な運行が支えられています。
次回は、201Mによる104Mの救援作業が始まります。
果たして、無事に運転を再開することができるのか。
第五話もぜひお楽しみください。




