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ある薬師の一生  作者: 杉勝啓


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竹阿弥という男

「わしは何年経っても弥右衛門殿には勝てんのう」


万吉と二人になって、竹阿弥がつぶやきました。

「ですが、大政所様はいい男にもろうてもらったと」

「いや、仲がわしに尽くしてくれるのはわしに恩を感じているからじゃ。愛や恋というものとは違う」

「恩ですか?」

「………」

「その話は聞かないほうが良さそうですね」

「そうじやの。墓場まで持っていく。誰にも話ずつもりはない。特に殿下にはな」

「わしは、仲が、わしに恩を感じてくれていることをいいことに仲と夫婦になった。仲が死んだ弥右衛門殿をずっと思っているのを知りながらな。だからバチが当たって、秀長も旭も失ってしまった」

「大政所様はちゃんと竹阿弥さんを愛していると思いますよ」

「優しい人じゃの。万吉さんは…」

「………」

「どうかしたのかの?」

「いえ、亡くなった妻が言ってくれたんです。私が優しいのは亡き父と義理の母のおかげだと」

「万吉さんも悲しい思いをしてきたんじゃの」

「でも…私は優しくなんてありませんよ。薬師として戦場を走り回っていたときには、まだ息のある人を見捨てました。お師匠様は助かる見込みのないものより、助かるものを一人でも助けろと、慣れるまで、随分かかりました。千吉はわりと早く慣れたようですが」

「千吉さん?」

「父が亡くなってから兄のように寄り添ってくれた人です。お師匠様と千吉がいてくれたから私は生きてこれたんです」

「千吉の女房の小夜殿は言ってましたよ。困った人がいて何もしないでいるのは自分に恥ずかしいと。私の妻も。私は秀長様と言う方も旭と言う方も存じ上げませんが、きっとお二人とも、自分にできることがあるから、できることを成して、亡くなられたのではと思います。けっして竹阿弥さんのせいではないと思いますよ」

「やっぱり、万吉さんは優しい人じゃの」


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