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ある薬師の一生  作者: 杉勝啓


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ある老婆

茶々を説得するのは難しいと思った万吉はそれなら秀吉にと思ってあと先考えずに大坂まで来たのでですか…

あまりの大阪城の大きさに圧倒されました。

デカい…広い…小谷城や淀城など比べ物にならない。これじゃあ淀城のように忍び込むのは無理だ…かと言って、門から入ろうとしてもただの薬師では取り次いでくれんだろう…

どうしたものかと大阪城のまわりをウロウロしていると…ある老婆が畑仕事をしているのが見えました。

なんだ…あんな年寄りに畑仕事をさせて…家族は何してるんだ。よし、手伝ってやろう。

「おばあさん、手伝おうてやるよ」

「おや、親切にすまんのう」

二人一緒に畑を耕しはじめました。

「なかなか、腰が入っておるのう」

「ええ…薬師の傍ら農家の手伝いもしてましたから」

「ほう、お前さん、薬師なのか?」

「ええ…一応は…」

「働きもんじゃのう。倅は畑仕事を、嫌がってのう。倅の親父いもいつか出世して楽させてやるなんて言ってたが、結局、戦でおっ死んじまった」

「それは、おばあさんも苦労したんですね」

「いや、わしは、その後、いい男にもろうてもらった。戦なんかに出るなんて言わんで側にいてくれた。なのに倅はその男に懐かんでのう。あのとき、その男にもろうてもらわなんだら、乳呑児の倅とその姉をかかえてどうなっていたか」

「私とは反対ですね。私は父が結婚式していた人とは血の繋がりはありませんが、今でも慕っています」

「ほうか。それで…そのおっかさんは」

「亡くなりました」

「悪いことを聞いたかのう」

「いえ…その方は父の死後、再婚したのですが、その方と一緒に亡くなりました」

「戦でか?」

「ええ…だから、天下を統一して、戦を無くしてくれた関白殿下には感謝してたんですけどね」

「関白?あの阿呆か」

「関白殿下を阿呆だなんて…でも…阿呆ですね」

「ははは…なんかお前さんとは気があいそうじゃ。で、関白が阿呆というのは?」

「そりゃそうでしょう。自分がやっと苦労して天下を盗ったというのに、今度は明を従えようなんて、皆、もう戦なんか望んでいませんよ」

「何じゃ、また、戦があるのか。」

「明に戦を仕掛けるっていうんです」

「しょうがないのう。あいつは…で、明ってどこじゃ?」

「あはは…」

万吉は小枝を広い地面に地図を書きました。

「ほう、これがわが国か。小さいもんじゃのう。で、こんな大きなところと戦をしようというのかい?阿呆じゃのう」

「で、殿下に何とかやめてもらえないかと言おうと思って来たものの、ただの薬師では、会うのも難しいなと大阪城のまわりをウロウロとしてたんですが…」

「わかった。わしがあの阿呆に言ってやる」

「ええ…!」








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