お金の使いみち
「コンニチハ」
「はい。あ…あなたは先日の南蛮の方?えっと、そういえば名前を聞いていませんでしたね。お仲間の方とは会えましたか?」
「エエ…オカゲサマデ、ア、ワタシ、ジョアンと申します」
「で、今日は何かご用ですか?」
「イエ、センジツハ、ナンノオレイモデキナカッタノデ」
「いえ、貴重な本を譲ってくれましたし、毎晩、女房と楽しく読んでいますよ」
「ソウデスカ。キョウハコレヲモッテキマシタ。コンペイトウイイマス」
「あら、可愛らしい」
「ドウゾ」
一口食べると甘さが口に広がりました。
「ほら、お袖も…」
「本当に甘い。こんなに甘い物があるんだね」
「ソレニシテモココノリョウシュサマハスバラシイ」
「山内一豊様のことでしょうか?」
「エエ、コノクニノケンリョクシャトイウノハナンニンモノツマヲモッテイルトキキマシタガヤマノウチサマハオクサマヒトリヲマモラレテイルトキキマシタ」
「そう言えば、そんなことを聞いたことがあります」
「ソノオクサマモスバラシイ。ナンデモ、ゴシュジンノタメニオカネヲタクワエテウマヲカッタトカ」
「ねえ、馬を買うとどうして素晴らしいの?」
「ああ、それはね、かの信長が馬揃えをした時に、一豊公が素晴らしい馬が売られたているのを見つけたんだ。でも、一豊公にはお金がない。それを聞いた奥さんが実家から持たされていたお金を用立てて馬を買うことができたんだ。それを見た信長に見出されて出世したっていうことだよ」
「ふうん……あたしにはよくわからないや。あたしだったら使ってしまうな」
「はは…お袖は何を買うんだい。欲しいものがあるなら」
「えっとね、万吉さんがいない間、千吉さんのところにいたでしょ。お遍路さんがきたんだ。とてもお腹が空いてたみたいだったから、小夜姉さんたら家にあった食べ物、全部、そのお遍路さんにあげちゃたんだ。あたし、その一豊さんって人の奥さんより小夜姉さんの方が素晴らしいと思うな」
「そんなことがあったのかい。じゃあ、その後、困ったんじゃないのかい」
「小夜姉さんが縫い物をして稼ぐからって千吉さんを納得させていたよ」
「その一豊って人の奥さんってさ、小夜姉さんみたいにお金を使わないんだ。そうだこの前、読んでもらった蟻とセミみたいだね」
蟻は夏の間も一生懸命、冬に備えて働いていました。でも、セミは遊んでばかりいました。冬になり、蟻は夏に働いて蓄えていたので、困りませんでした。でも、なんの蓄えもないセミは死んでしまいました。
「蟻はセミを見捨てたけど、小夜姉さんならそんなことしないと思うなあ」




