茶々が泣いている
「あ…異母兄上が、なぜ…ここに…長浜にいるはずでは」
「はっ……赤ちゃん…」
茶々は思わずお腹を押さえました。
「おまえの子は一足早く父上と義母上のもとへ旅立ってしまったよ」
「そ…そんな…嘘よ…」
目が覚めるとい異母兄の姿はなく、複雑そうな顔をした秀吉がいました。
「そなたもつらいだろうが、わしもつらい。せっかくのわが子を」
「申し訳ありません。城まで建てていただいたのに」
「いや、ないないに関白にと朝廷から打診があってな。茶々に知らせようとここまできたのだが、こんなことになっていようとは」
茶々は泣くことしかできないでいました。
「泣くな。おことはまだ若い。これからいくらでも子を作れる」
「そうでしょうか」
自分はともかく秀吉はもう年だ……これから果たして子を授かることなどできるのだろうか
その頃、万吉も夢を見ていました。
「茶々が泣いている。あの気丈な茶々が」
「万吉さん、どうしたの?茶々って誰?」
「異母妹だ。異母妹はとても気性が激しくて…泣くなど考えられない。何かあったに違いない」
「長浜と茶々のいる淀城は遠い。行ってやりたいが。いや、行ってやろう」
「お袖、私はしばらく留守にする。千吉によく頼んでおくから、困った時は頼るんだよ」
「う…うん……万吉さん…帰って来るよね。きっと帰って来てね」
「ああ…異母妹に何もなければすぐに帰って来るよ」
そうしてとるものもとりあえず万吉は淀に向かいました。




