豊家を滅ぼす悪女
家康が淀殿と秀頼に戦勝報告を告げ、それからしばらく経った日、秀頼は大坂の池の鯉を眺めていました。
「私は間違っていたのだろうか。私が戦場にいけば三成は…」
「秀頼」
声をかけたのは万吉でした。
「伯父上…じいが大好きな江戸のじいが三成を殺した。いや…違う…私が…私が殺した」
秀頼は万吉に駆け寄ると泣き出しました。万吉は秀頼の背中を撫でながら言いました。
「秀頼…それは…決してお前のせいではない。石田殿は石田殿の大義を守るために戦っていう散っていかれたのだ。誰のせいでもない」
こんな幼い子にこのようなことを背負わせて…間違っている
「異母兄上、いらしてたのですか」
「茶々…」
「母上」
秀頼は淀殿に駆け寄りました。
「手習いの時間ですよ。いってらっしゃい」
「はい…では、伯父上」
涙を止めて秀頼は手を振り明るく去っていきました。
「茶々、私は秀頼を大阪城に帰したことを後悔している」
「秀頼が決めたことです」
「あんな幼い子にどれだけのことを背負わせるのだ。お前も秀頼も逃げてよい。長浜へ行こう。お前の初恋の君も、きっと暖く迎えてくれる」
淀殿はゆっくりと首を振りました。
「茶々」
「かって太閤殿下は内府殿に天下を譲るつもりでした。ですが、豊臣家は、天下にとって、邪魔な存在なのです」
「どういうことだ?」
「こたびの関ヶ原の戦で多くの家が取り潰されました。それに伴い浪人の数も増えるでしょう。その彼らが頼るのは豊臣家でしす。私は彼らと共に滅びます。豊臣家が滅びれば、後は内府殿が平和裏に天下を治めてくれます」
「茶々…そのために秀頼を巻き込むのか」
「秀頼には…逃げて…逃げて…逃げて欲しかった。でも…あの子は選んでしまった」




