悪役令嬢ですが冤罪です! 婚約破棄の断罪劇はヒロイン追放のざまぁ展開に変わりました
こんにちは、これを読んでいるあなた。
本作は 悪役令嬢・冤罪・婚約破棄・断罪・ざまぁ をテーマにした物語です。
婚約破棄パーティーで断罪されるはずだった令嬢が、
むしろその舞台を利用して“逆転の一手”を放つ――そんなお話になっています。
転生者同士の思惑がぶつかり合い、最後に笑うのは誰か。
どうぞ最後までお楽しみくださいませ。
私――フェリシア・ド・ラングレーは侯爵令嬢。
王太子の婚約者として日々を過ごしていた。
そこへ転入してきたのが、辺境伯の娘マリアーネ。
前世の記憶を持つ私はすぐに気付いた。
彼女こそ、このゲームにおける“ヒロイン”だと。
だが私は彼女を虐めたりしなかった。
破滅フラグを回避するため、むしろ距離を取り続けた。
……それでも。
「ひどいんです! フェリシア様にドレスを破られました!」
「この脅迫状を受け取ったんです……震えが止まらなくて!」
彼女は涙ながらに訴え、周囲の視線は次第に私に冷たくなっていった。
机に仕込まれた虫、舞踏会用の靴に塗られた油。
どれも私がやったと彼女は叫んだ。
もちろん私は無実。
けれど、王太子殿下までが彼女の言葉を信じ、私を疑い始める。
――冤罪。
私は黙って耐えるしかなかった。
だが、泣き寝入りするつもりもなかった。
◇
「フェリシア様……本当に、なさっていないのですか」
従者セシルの問いに、私は微笑む。
「当然でしょう。だからこそ、証拠を揃えるのです」
私は水面下で調査を進めた。
マリアーネに取り入った商人を買収し、偽造ドレスの領収書を入手。
脅迫状を書いた使用人を突き止め、証言を録音水晶に収める。
学園内では表立って反論せず、むしろ“いじめられる役”を演じた。
すべては、この瞬間を待つために。
――そう、婚約破棄の断罪イベント。
ゲーム知識を持つ私にとって、これが最も劇的に真実を暴ける舞台だ。
◇
舞踏会の大広間。
王太子殿下の宣告に続いて、マリアーネが涙ながらに訴える。
「フェリシア様はいつも私を睨みつけて……! ドレスを裂いたのも、この脅迫状も……全部フェリシア様が!」
私は微笑み、扇子を開いた。
「まあ。殿下。証拠はございますの?」
ざわめく会場。
殿下の顔は赤くなる。
「証拠など不要! マリアーネの涙が真実だ!」
――待ってました。
私は合図を送り、従者が証拠品を並べていく。
偽造の領収書、買収の記録、証言の水晶。
「ま……まさか……」
「マリアーネ様が……?」
会場は騒然とし、殿下は言葉を失った。
マリアーネの顔は真っ青。
それでも必死に叫ぶ。
「ち、違う! これはフェリシア様が仕組んだのよ!」
――いいえ。
仕組んだのは、あなた。
ただし私は、その舞台を利用させてもらっただけ。
◇
数日後、王城での裁判。
マリアーネは泣き叫び、必死に私の罪を訴えた。
だが証拠はすべて彼女を指し示す。
証人たちの証言も揃っていた。
追い詰められた彼女は、ついに口走った。
「いや……こんなはずない! 私はヒロインなのよ! ゲーム通りなら王太子様と結ばれるはずだったの! こんなバッドエンドじゃない!」
会場は凍りつく。
「ゲーム?」「ヒロイン? 一体何を……?」
私は静かに告げた。
「あら。ようやく吐きましたわね。……あなたも転生者でしたのね」
マリアーネの瞳が大きく見開かれる。
「あなた……も……?」
「ええ。ですが私は冤罪を避けるために動きました。
一方、あなたは“ヒロイン”を演じて人を陥れた。
結末がどうなるか――考えなかったのですか?」
王の判決が下る。
「マリアーネ・エルンスト。お前を国外追放とする」
近衛騎士たちに取り押さえられ、泣き叫ぶマリアーネ。
王太子は顔を背けることしかできない。
◇
「こんなの……間違ってる……私はヒロインなのに……!悪役令嬢のお前が!!!!!」
マリアーネの絶叫は、もはや狂女の戯言にしか聞こえない。
だが、彼女の言葉の意味を理解できるのは私だけ。
“二人目の転生者”は、こうして舞台から退場する。
私は扇子を閉じ、低く囁いた。
「――ざまぁ、ですわ」
◇
こうして私は冤罪を晴らし、悪役令嬢の汚名を返上した。
ヒロインを気取った転生者は、断罪され、国外へ追放された。
誰も知らない。
この世界には二人の転生者がいたことなど。
私は鏡の前で微笑む。
「悪役令嬢に仕立てられた私が、結末を奪い返した。
……皮肉なものですわね」
シャンデリアの光が揺らめく中、私は新しい未来へと歩き出した。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
悪役令嬢として断罪されるはずのフェリシアが、
むしろ冤罪を跳ね返してざまぁ展開に持ち込む――そんな逆転劇を描きました。
「悪役令嬢=断罪される側」という定番を、少しひっくり返して楽しんでいただけたなら幸いです。
ブックマークや感想で応援していただけると執筆の励みになります。
次の物語でまたお会いしましょう。
すべての読者に心から感謝を込めて
一ノ瀬和葉




