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運命の人は以外と近くに?

美麗は押し付けられた仕事を終え帰宅した。

「疲れた。ホントにあの社員Aは何なの!ムカつく!私の魅力に崇拝する奴隷になる妄想してやろうか!?」

美麗はブツブツ文句をいって眠りについた。


カーテンの隙間から朝日が差し込む。

「ゔ〜お休みしたい。お布団さんが私を離してくれないよ〜・・・はぁ。起きよ。」

美麗は体の不調を感じたが、身支度をして、会社に向かった。

会社のゲートの前まできたとき、体がふらつくのを感じ、近くのベンチに座った。

「まずい。熱があるかも。フラフラする〜。」

「どうされましたか?」

美麗が顔を上げると、そこには白衣をまとったイケメンが立っていた。

「ちょっと体調がすぐれなくて。」

「それは大変だ。」

白衣の男は、医者の様だった。

美麗のおでこに手を当て、

「熱が大分高いですね。うちの病院より、家の方が近いな。ちょっと失礼。」

「きゃっ。」

美麗は白衣の男にお姫様だっこされ、連れて行かれる。


「あー!イマイチだな!ロマンチックじゃない!」

美麗は会社のデスクに座り、朝の妄想の最中だった。

いつも早く出社しては、朝の日課にしていた。

「私、どうしたんだろ?妄想力が下がってる気がする。なんだか頭もぼっとするし。」

何かの兆しか、美麗は今までの様に幸せになれるくらいの妄想ができなくなっていた。

「はぁダメだ。私の生き甲斐が・・・」

美麗は諦めて仕事を始める。

「おぃ!白河!」

また社員Aが近付いてくる。

「何?今日は体調が悪いから自分の仕事は自分でしてね。」

「違うよ。お前、ホントに顔色悪いぞ!」

「そんな事ない。」

資料を作り終わった美麗は、立ち上がろうとするが、体がふらついて床に向かって倒れ込む。

「危ない!」

社員Aは美麗を抱き支えた。

「大丈夫か?大丈夫か?だぃ・・・」

美麗は気を失ってしまった。

しばらくして美麗はゆっくりと目を開いた。

「ここは?どこ?」

美麗は会社の休憩所にいた。

まだ意識が妄想としている。

「あれ?社員A?」

美麗が目を開けると、休憩用ソファーで寝ている美麗の横に社員Aが座っていた。

「社員A?人の事言えないけど、お前ひどい奴だな。同期の名前くらい覚えろよ。」

「ごめん。どうせ私は一人ぼっちだから。」

「俺は、奏唯人だ。俺はお前の名前知ってるぞ。白河美麗。」

「唯人・・・?嘘でしょ?」

「何?なんか文句ある?好きなアニメキャラと被ってるとか?」

「インキャがみんなアニメ見てると思わないでよ。私は小説派だから。」

「どっちでもいいよ。俺、お前に頼りすぎたってちょっと反省した。すまん。」

「ちょっと?いっぱい、全力で反省してよ。」

「ははっ。そうだな。今度お詫びに飯でもおごるよ。」

「ご飯おごったから押し付ける仕事増えたりしない?」

「頑張る。でも助けて欲しい。俺、ホントは彼女なんかいないんだ。それに・・・。」

「それに?」

「俺、白河の事・・・す・・き・だ。」

「なんですと!?あんなひどい事しといて私も好きでしたとか言うとでも?」

「分かってるよ。でも好きなんだ。実は、少し前に、父さん、母さんが交通事故で死んじゃったんだ。俺と小学校の妹だだけで生きて行かないといけなくなってさ。だから残業とかできなくなったんだよ。」

「大変だったね。」

「なんで白河か泣いてんの?」

唯人も美麗の涙を見て、涙を流した。

「俺、白河の事ずっと気になってたんだけど、正直にいったら、白河は気にして自分を犠牲にして助けようとしてただろ?お前!優しいからさ。だからあんな風にしか頼めなかった。ごめん。」

「そういう理由があるなら言って欲しかった。見直したよ。まだ好きとかまではいかないけどね。」

「ありがとう。もう、定時だぞ。俺帰るけど、送ろうか?車通勤だし。」

「えっ?いいの?お迎えとか間に合う?」

「先に妹のお迎えには行きたいんだけど、電車で帰るよりはマシだろ?」

「うん。じゃあお言葉に甘えて。」

唯人は美麗を車に乗せ妹の保育園に向かう。

「おにぃ〜ちゃん!」

唯人の妹は唯人に抱きつく。

「あれ?このおねえさんだぁれ?」

「会社の人。体がしんどいしんどいなんだって。」

「じゃああたしがかんびょうする!」

「はははっ。よろしく頼むな。」

「白河、って事だから、うちに来い!」

「えっ?風邪うつるといけないし。」

「大丈夫だよ。一人だと心配だ。」

「う、うん。ありがとう。」


美麗は唯人の家で横になっていた。

「白河。これ食えるか?」

「おかゆ?ありがとう。」

「食べさせてやろうか?」

「さすがに自分で食べれます。でも、ありがとう。」

美麗はおかゆを食べて少し眠った。

夜中にふと目が覚めて、立ち上がる。

「体楽になった。良かった。」

美麗は隣りの部屋に明かりがついているのに気づいて覗き込む。

「もう夜中の2時なのにまだ何かしてるのかな?」

唯人は何やら丸くなって集中している様子だ。

「いたっ!いって〜。」

ガチャ。

「大丈夫?何してるの?」

美麗は唯人に近づく。

「白河、寝てないと!」

「大丈夫。もう熱下がったみたい。」

「そっか良かった。いいから寝てこい!」

「刺繍?」

「あっ、うん。明日妹の保育園に持ってかないといけなくてさ。刺繍なんかやった事ないし。あ~小学校の授業ちゃんとしといたら良かったな。」

「貸して!」

美麗は慣れた手つきで雑巾をあっという間に作りおえた。

「白河すごいな!刺繍もできるのかよ!」

「これくらい大体誰でもできると思うけど。」

「そっか。俺、ダメだな。母さんがいてくれたらな。」

唯人の目から涙がこぼれる。

「大丈夫。奏くんは頑張ってるよ。」

美麗は気付いたら唯人を後ろから抱きしめていた。

「あっ。ごめん。つい。」

「白河は優しいな。俺、もう好きが抑えられない。」

唯人は振り返ると、美麗を強く抱きしめた。

「痛いよ・・・」

「悪い。」

唯人は美麗を離した。

「キスしたい。」

「えっ?」

「ダメ?俺、白河と付き合いたいです。」

「だっだめだよ・・・お友達からなら・・・でも・・・」

美麗は目を閉じる。


「お〜い!白河〜!」

社員Aが話かけてきていた。

「何?」

(ふふっ。私の事を好きな社員A君ではないかね?何か用かい?)

「今日もこの資料まとめるの頼むわ!彼女が会いたい会いたいうるさくてさー!よろしくなっ!」

「はぃはぃ。」

(何この優越感!資料くらいまとめといてあげる。)

美麗はいつも仕事を押し付けられて不快な気持ちだったが、今日は優位に立った気持ちだった。

「っていってもいつもと何も変わらないのよね。さっさと終わらせて帰ろ。」

美麗は今日も社員Aの業務を代わりにこなすのだった。


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