神々の賭け
よお!ハヤトって冴えない二軍球児が、なんか変な「野球神」に絡まれて、RPGみたいにバットを振る話。甲子園?夢だろ?でも、こいつの「ふざけんな!」がどうなるか、見てみねえ?
星明かりの領域、揺らめくダイヤモンドの上空
星屑の霧の中、神々がくつろぎ、輝く球体に視線を注いでいた。それはほぼ無人の薄暗い高校の野球グラウンドを映し出していた。そこには少年が一人、黄昏の中でバットを振り続け、額に汗を浮かべていた。
白無垢の衣をまとったツクヨミが、指をせわしなく叩いた。「ハヤト、だったか? 振り続けるその姿には力強さがあるが、繊細さに欠ける。我々の加護に値しない。」
武士のような佇まいで腕を組むハチマンは、目を離さなかった。「その努力は無意味じゃない。」
狐のような鋭い笑みを浮かべたイナリが、擦り切れた野球ボールを指先で回した。「天才ではないが、貪欲だ。すぐにスターにするのではなく、努力で勝ち取らせてみるのはどうだ?」
乱暴な笑みを広げたスサノオが身を乗り出した。「試練だと? 放り込んで溺れるか見るのか? いいね、その調子だ!」
ツクヨミが眉をひそめた。「我々は最高の者を選ぶ。この少年は努力しているが、努力だけで—」
「—才能より稀有だ」とハチマンが遮った。「時にそれが強い。」
イナリがさらに踏み込んだ。「彼にシステムを与えよう。ステータス、クエスト。人間が愛するゲームのようなものだ。努力を続ければ成長する。怠ければ消える。」
スサノオが笑い声を上げた。「賭けのあるゲームか。もう最高だ!」
ツクヨミがためらった。「もし慢心したら?」
「なら失敗する」とハチマンがきっぱり言った。「だがチャンスは与えるべきだ。」
イナリがボールを宙に放った。「試練だ。勝ち取るか、土にまみれるか。」
神々は頷いた。賭けは成立した。
中野高校野球グラウンド、早春
木曜の黄昏がグラウンドに沈んだ。中野ハヤトは、ちらつくフラッドライトの下で一人、バットを握りしめていた。細身の体に少し大きすぎるユニフォームがだらりと下がり、長い練習で擦り減ったスパイクが埃にまみれていた。一軍の連中は彼に気づかない。誰も気づかなかった。
再びバットを振った。打球音が響く。(フォームはまだ粗削り、遅すぎる—それでもやめなかった。)
「上手くなってる」とハヤトは呟いた。「ならなきゃ。」
その言葉は虚しく響いた。カントクの声がまだ耳に残る:(中野、チャンスが欲しければもっとやれ。)
ハヤトはバットを握る手に力を込めた。今日もまた、外野でボールを落とし、打撃練習では空振りばかりだった。甲子園予選は遠く、彼は二軍のまま、誰の目にも映らない。(辞めようか—その考えが一瞬よぎり、胸を締めつけた。) 彼は首を振って追い払ったが、影のようにまとわりついた。
冷気が急に吹き抜け、肌を刺した。ハヤトは凍りつき、息を止めた。ダグアウトに人影—背が高く、鋭い目、動かない。
「誰だ?」ハヤトの声が震え、心臓が跳ねた。後ずさりし、バットを盾のように構えた。「ふざけんな—出てこい!」
人影は微動だにしなかった。「中野ハヤト。私はイナリ、野球の神だ。」
ハヤトの手が緩み、バットが下がった。「神?」震える笑いが漏れた、半ば錯乱したように。「は、終わった。寝不足か、プレッシャーか—幻でも見てるんだろ。」目を擦ったが、人影は消えなかった。
イナリの視線は揺らがず、唇に微かな笑みが浮かんだ。「お前は目覚めている。」
「目覚めて頭おかしくなったんだろ」とハヤトは叫んだ、思ったより声が大きかった。「なんだこれ? 三年生のイタズラか? 田中が仕組んだのか?」グラウンドを見回したが、スタンドは空っぽ、フラッドライトが静かに唸るだけだった。
イナリが手を上げた。光るスクリーンが現れた—ゲームのUIのようだが、鮮やかで、生きているようだった。ハヤトの笑いが喉で止まった。
「な… なんだこれ?」後ずさりしたが、目はスクリーンに釘付け。名前が浮かんでいた:中野ハヤト。光のいたずらじゃない—バットと同じくらい本物に浮かんでいた。
「野球神のシステムだ」とイナリが言った。「お前は選ばれたわけじゃない。試されている。努力で成長するか—さもなければ何もない。」
ハヤトの口が乾いた。「ふざけんな」と呟いたが、近づいた。「マジでふざけてるだろ。」スクリーンを見つめた。チラつかなかった。
「お前は疑っている」とイナリが言った、笑みが広がった。「いいだろう。よく見ろ。」
ハヤトの手が震え、ためらった。スクリーンに触れると—温かく、硬く、かすかに脈打つガラスのようだった。手を引っ込め、心臓がドキドキした。「ありえねえ… なんでこんなものが?」イナリを見て、声が上がった。「お前、なんか変なテック野郎だろ? 俺のスマホハックしたか?」
「ハックじゃない」とイナリが言った。「ただの機会だ。」
ハヤトは鼻で笑ったが、スクリーンのタブに目が引き寄せられた:ステータス、スキル、クエスト、装備、進行状況。ステータスをタップすると、数値と進捗が流れ出した—各上限100:
ピッチング
• ストレート速度:12(ストレート投球:0/100)
• ストレート制球:10(ストレート投球:0/100)
• ストレート変化:8(ストレート投球:0/100)
• 新球解放:ロック(進行状況が必要)
バッティング
• コンタクト:11(スイング:0/100)
• パワー:9(スイング:0/100)
• 選球眼:8(ピッチ認識:0/50)
• バント:7(バント:0/50)
守備
• キャッチング:12(捕球:0/100)
• 送球距離:10(スロー:0/100)
• 送球速度:11(スロー:0/100)
• 送球精度:9(スロー:0/100)
フィジカル
• 走力:10(スプリント:0/5km)
• 敏捷性:9(スプリント:0/5km)
• ジャンプ力:8(ジャンプ:0/500)
• 反応速度:10(ノック:0/100)
• スタミナ:13(ジョグ:0/5km)
• 耐久性:12(クエストポイントのみ)
メンタル
• 冷静さ:10(クエストポイントのみ)
• 集中力:12(クエストポイントのみ)
• クラッチ:8(クエストポイントのみ)
ハヤトは目を瞬かせた。「100のうち12?」と呟いた。「これ… ほとんど何もないじゃん。」スクロールした。「ストレートのステータス? 俺、ピッチャーじゃねえよ。スイング0/100って何だ?」スキルに目が止まった:
• バント精度:レベル1(バント:0/50)
• ナックルボール基礎:ロック(ストレート制球25が必要)
クエストに切り替えた:
• デイリー:正しいフォームで100スイング — 1スキルポイント
• ウィークリー:ジョギングとスプリント合計50km — 3スキルポイント
• マイルストーン:練習でアウトを記録 — 5スキルポイント
装備:
• 使い古したグローブ:キャッチング+0.5
• 古いバット:ボーナスなし
• 使い古したスパイク:走力+0.5
進行状況:
• ??? — ロック(必要:試合出場)
ハヤトの息が詰まった。「これ… 全部数えてるの?」イナリを見た、疑い深いが動揺していた。「スイング100回でバッティングが上がるってこと?」
「その通り」とイナリが言った。「一部は自動で上がる。選択が必要なものは選ぶ。だがやりすぎれば体が壊れる。」
ハヤトの笑いは鋭く、緊張していた。「壊れる? 俺、すでに限界だよ! ベンチ暮らしだ!」スクリーンを指した。「なんで俺? お前は何を得るんだ?」
「お前の努力」とイナリが低い声で言った。「または失敗。我々は見ている。」
ハヤトの目が細まった。「失敗を見たいってことだろ。俺は一軍じゃない。誰もだ。なんで俺なんだ?」ストレート速度:12(ストレート投球:0/100)にスクロールし、頭に引っかかった。(確かに—スローは弱く、練習でも通用しない。) 正確すぎてイタズラとは思えなかった。
「お前は誰もじゃない」とイナリが言った。「お前は問いだ。システムは答え—もし挑むならな。」
ハヤトの腹が締め付けられた。「挑む? 頭おかしいだろ。」進行状況をタップし、「???」を睨んだ。「これ何? なんでロックされてんだ? この『新球解放』って何だよ?」
「地図だ」とイナリが言った。「すべての行動—スイング、投球、走る—それがお前を形作る。小さく始めろ。」
「小さく?」ハヤトは半ば自分に呟いた。「スパイクにまでステータスあんのかよ。」使い古したスパイク:走力+0.5に目が止まった。(もっと速く走れる?) 心臓がドキドキした。「仮に信じるとしたら、どうやってこれが本物か分かるんだ?」
「試してみろ」とイナリが言った、姿が影に溶け始めた。「またはやめろ。」
「待て!」ハヤトが叫んだが、イナリは消えた。スクリーンは残り、柔らかく光った。ハヤトは凍りつき、グラウンドは静寂に包まれた。頭は混乱した—(イタズラ、幻覚、詐欺。) だがあのスクリーン… 彼を知っていた。コンタクト:11(スイング:0/100)。(スイングは確かに不安定だ。) スタミナ:13(ジョグ:0/5km)。(練習で早く疲れる。) 本物すぎた。
バッグを肩にかけ、家路についた。スクリーンは消えたが、その映像は頭に焼き付いていた。狭い部屋で布団に倒れ、天井を見つめた。「野球の神」と呟き、鼻で笑った。「ありえねえよ。」だが心臓は止まらなかった。(もし本当なら? もし… 変われるなら?)
ハヤトは起き上がり、隅のバットをつかんだ。スクリーンがまた現れ、机の上に浮かんだ。彼は凍りつき、クエストをタップした。デイリー:正しいフォームで100スイング — 1スキルポイント。(今日もスイングしたが… もう一度やってみるか?)
「よし」と囁き、狭いスペースに立った。「試してみよう。」バットを握り、構えを確認—肘を上げ、腰を据え、カントクの教え通りに。ゆっくり、丁寧に振った。「1… 2…」
50で腕が痛み、80で首に汗が滲んだ。100で息を吐き、胸が上下した。(肩に軽い張りを感じた—やりすぎたか?) スクリーンが鋭く鳴った。クエスト完了:正しいフォームで100スイング。報酬:1スキルポイント。進行状況:バッティングアップグレード可能。
ハヤトの目が見開いた。「まじか…」ステータスをタップし、プロンプトが光った:選択:コンタクト、パワー。迷った後、コンタクトを選んだ—スイングの安定が欲しい。コンタクト:11 → 12。スキルポイントは残り、使うのを待っていた。手が震え、思わず笑みがこぼれた。「本物だ。」
布団に沈み、スクリーンを見つめた。(まだ疑いは消えない—神、システム、試練—だがこの12は彼のものだった。) 自分で勝ち取った。数ヶ月ぶりに、グラウンドが遠く感じなかった。
読んでくれてありがと!ハヤトの這い上がる姿、ぶっちゃけ書いていて燃えた。野球とRPGをごちゃ混ぜにするの、やってみたかったんだよね。どんな風に感じたか、感想ぶん投げてくれると嬉しいぜ。次も全力でいくから、よろしく!