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静黙の治癒師①

「毎度毎度馬鹿の一つ覚えみたく特攻しないでくださいますか?死にたいんですか?それともそんなこともわからない馬鹿なんですか?馬鹿ですよね?」

「攻撃は最大の防御って言葉知らないの?馬鹿馬鹿うるさいなぁ」

 傷だらけで返り血も浴びている全身ボロボロの勇者。

 傷一つなく返り血を一切付着していない身綺麗なままの聖女。

「攻撃は攻撃にしかなり得ません」

「誰のおかげで隙を作れてると思ってんの?」

「確かに貴女の間抜けさに驚き膠着しているおかげでわたくしは安全に攻撃を仕掛けることができてはいます。そこは感謝しますね」

 2人は大通りを早歩きで歩きながら口喧嘩を披露していました。

 勇者と聖女を目にした街の人間は半笑いもしくはバカにした笑顔を向けて嘲笑しています。

「誰が間抜けだ!基本ポンな癖に変なところでしっかりしてんのなんなの?出会った時も腹黒だとは思ったけど実際はポンだし」

「ポン?」

「ポンコツ」

「……ぅなっ!!誰がポンコツですか!?特攻馬鹿!!」

「図星突かれて冷静さを失ってるよ?ポンコツ聖者。安地からしか攻撃できない臆病聖者」

 ここ一ヶ月ですっかり見慣れた光景。

 腕や脚にかすり傷や切り傷を多く刻み、頭や顔、服にまで血をべっとりと付けた勇者と涼しい顔をしている傷一つ返り血の一滴さえもない聖女のしょうもない言い争い。

 ある種の名物になっており、またかまたかと笑われます。

「ただ特攻するだけが戦いの全てではありません!!馬鹿みたいに死に急ぐような戦法、なんとかなりません?あぁ、馬鹿だから無理ですね」

「言わせておけばこの野郎!そもそも装甲の硬いあんたが前に出ればいいんじゃないの?安地に隠れて隙をつくだけじゃなくてさぁ!何のために結界術鍛えてんだか?」

 ギルドのドアを押し開けて真っ直ぐに歩みを進めます。

「少なくともあなたのためではありませんよ?まぁ仕方ありません。そろそろ」

「そうだね。そろそろお願いしないと、」

 ここは新迷宮都市(ビュリン)へと向かう道中に立ち寄ったライチャネスの街。この街には街の名前の起因となったライチャネス地下洞窟と呼ばれる迷宮が存在しています。

 迷宮のある街は冒険者ギルドが無く、代わりに迷宮探索ギルドが存在しています。この迷宮探索ギルドに登録しなければ迷宮に潜ることは基本的にはできません。例外は誰も認知、管理していない迷宮を探索する場合のみです。

 ランクを上げることでより深く迷宮に潜ることができます。冒険者ギルドと同じでGランクから始まり、最高ランクはS。

 Gランクは初心者探索者

 F、Eランクは初級探索者

 D、Cランクは中級探索者

 B、Aランクは上級探索者

 Sランクは熟練探索者

 などと呼ばれています。

 勇者と聖女はこの街に来て早々、迷宮探索ギルドに登録。ランク判定の試験を受けて中級探索者であるDランクから開始しました。

 その日のうちにライチャネス地下洞窟に挑み、ボロボロになって帰ってきました。

 主に勇者が。

 成果を上げられず傷だらけで帰ってきた初日。次こそはと意気込みを入れて挑み、辛勝を繰り返す。そんな日々に歯止めが効かなくなりここ数週間毎日潜っています。身体(からだ)中の至る所に傷を負いポーションを少なくない数消費し、この街に来てから買い替えた武器や防具は数知れず、このままでは冒険者を生業としていくのも難しく、焦燥と危機感から日に日に地下洞窟に潜る時間が多くなり、その分出費も増えていく現状。

 主に勇者が。

 とうとう本気でやばいと思ったのか、冒険者ギルドの受付嬢に、受付机に身を乗り出しながら言い放ちました。

「お姉さん、フリーの治癒師を紹介して!!」

「お姉さん、無所属の治癒師を紹介してくださいませんか?」

「無所属の治癒師、ですか?」

 足を半歩後ろに下げて困ったように、それでも笑顔を保ったままでいる受付嬢。

「やはり回復職となると無所属になることの方が難しく……」

「そっ、か……」

「そうですか……」

 受付嬢の言葉に肩をがっくしと落としながら机から身を引く勇者。

 聖女も前のめりになっていた身体(からだ)を真っ直ぐと正しい姿勢に戻します。

「パーティ参加希望の治癒師は現在おりませんが、ソロ活動中の治癒師であれば1人だけおります」

「紹介して!!」

 勇者は目を輝かせて机をドンっと叩き再び身を乗り出しました。

 ギイっとドアが軋んだ音を鳴らしながら開きました。

「しかし……」

「お願い!!」

 つま先で立ちながら机のギリギリのところに手をついて身体(からだ)を前に前に乗り出しながら、受付嬢に詰め寄る勇者。

「勇者……」

 流石に止めようと聖女は勇者の方に手を置いて声をかけます。

 そんなとき太陽が空高く居座るお昼時に顔を隠し大きめのローブを纏った男とも女ともとれない人物が探索者ギルドに足を踏み入れました。チラリと受付を見やるや足音一つ立てずに近づきます。

「その人の名前は?特徴は?ランクは?」

 聖女の声や些細な物音を無視して受付嬢に顔を近づける勇者。

 受付嬢は勇者が近づいてくる毎に足を半歩後ろに下げて、営業スマイルを引き攣らせていきます。

「その治癒師は本人からの希望により情報に規制がかかっております。当ギルドの信用問題に関わるため、開示することはできません」

「そこをなんとか!お願い!!」

 懇願する勇者に受付嬢は目元をひくつかせて、額に血管を浮かべ、瞳が面倒臭いと訴え、その笑顔は苛立ちしか映し出していませんでした。

「唯一解禁を許可いただいている情報、それは『静黙の治癒師』という二つ名のみとなっております」

 それでもできる限り丁寧な受け答えを続ける受付嬢。

 聖女は申し訳なさそうな顔をして「勇者」や「あまりしつこくは」などと声を掛けたりはしていました。しかしそれでも治癒師が欲しいのか勇者を本気で止めようとはしません。

「他、他には!」

「ですから……」

 とうとう地面につま先すらも付けずに身を乗り出す勇者。愚鈍な勇者は受付嬢の全身から溢れ出る面倒臭いオーラを無視して詰め寄ります。何なら()()()()()()()とさえ思っています。

 しつこく粘り問い続ける姿に受付嬢も聖女も短く嘆息します。

 受付嬢は不快感から

 聖女は呆れから

「お願い!治癒師さん紹介………っ」

 紹介してくださいと言い切る前に何者かが勇者の首根っこを掴みました。首が閉まり「…ぅぐっ」と苦しそうな呻き声をあげています。

「っぇえ!」

 聖女もいつの間にやら勇者の背後に自分の横にいた人物に短く驚きの声を上げました。

 音もなく、気配もなく、静かに勇者の背後に現れた人物は短く驚きの声を上げる聖女を一瞥しました。フードに隠れて表情は見えませんがとてつもない威圧感に目を見開きヒューっと喉から乾いた音を出しました。

 そんな聖女を気にすらせず、ギルドの出入り口付近に勇者を投げます。

「……………!!!!」

 声にならない悲鳴をあげる勇者の声なき声を聞き正気が戻った聖女は全力で走って追いかけます。ガタンっと音を立てて扉にぶつかりそのまま倒れるようにして地面に落ちます。頭から落ちる勇者をどうにか地面と激突する前に受け止め、その際に数回足を蹌踉めかせました。首を僅かに上げてギロリとこちらに見向きもしない人物を睨みつけます。

(この人、ただものではありませんね)

 そんな聖女の視線を意にも返さず、ギルドカードを提示して先程のことがなかったかのような態度でいました。

「静黙の治癒師さん!ようこそお越しくださいました。迷宮探索ギルドへ。受付は私———が承ります」

 受付嬢は先程の面倒臭さを全開にした対応ではなく歓喜で声を弾ませながら営業スマイルではない破顔した顔で対応していました。

 受付嬢の中で既に迷惑でしかなかった勇者と聖女の対応は終わったことになっていたらしく、嬉々として迷宮探索を行うための受付を開始しています。

(こんな怪物がいたなんて。あれが殺気ではなく、圧……?)

 これ以上何かされないとわかった聖女は安堵感から肺に入っている空気を全て吐き出しました。

「勇者、流石にあれは迷惑極まりないとわたくしでもお思います」

「あひゃうはへほほうはいひゃほへはほひゃへふ」

 呆れて苦言を呈す聖女の言葉を目を回して混乱状態に陥っている勇者の頭には入っていきませんでした。

「……まったく、仕方ありませんね」

 目を回して動かない勇者を肩に担ぎ聖女はギルド内にある横椅子に寝転がしました。

 勇者の手を包み込み祈るように指を絡ませると勇者の腕から身体(からだ)全体に聖力を纏わせます。金色の光が全身を覆い、やがて白色金(ホワイトゴールド)に色が変わり馴染んだようにうっすらと幕を張り発光が治ると聖女は「ふぅ」と額に汗を滲ませながら一息つきました。

「少し待っていてください。お水を貰ってきます」

 意識を手放し気絶している勇者にポツリと声を掛けると、酒場になっている奥の部屋へと向かいました。

 聖女がいなくなったのを見計らって、先ほど受付嬢から『静黙の治癒師』と呼ばれていた人物が足音一つなくゆっくりと気配を消して近づきます。

 横椅子に横たわる勇者の前にまで近づくとじっとりと顔を首を腕を胸を腹を手を腰を太腿を足を見つめます。

 太く逞しい片腕をローブの中から出して、勇者の肩にとんっと優しく触れました。たったそれだけで10年間ルイン王国を守り抜いた実績のある聖女渾身の結界を消し去りました。

 ゆっくりと肩からお腹にかけて手を這わせるように滑らせます。

 その手の動きに気持ち悪さを覚えた勇者はぞくっとした悪寒に全身から鳥肌が立ち、バチっと目を覚ましました。ガバッと身体(からだ)を起こしながらも無意識に腕を掴みあげようと手を動かしますが、自身のお腹の上に置いてあった手はどこにも無く、目の前にはフードを目深に被り表情の見えない大きめのローブを着た人物がじっと勇者を見つめています。

「……だ、だれ?」

【その問いに答えてやる義理はないよ】

 勇者の目の前に魔力で形作られた文章が現れました。その文章を目で追えば頭の中で自動的に文章が音声化され骨髄に響きます。

「なにこれ?」

 頭に直接声を掛けられる感覚に気味の悪さ持ちます。しかし、その文章を読むのを途中でやめて仕舞えば文章も途中で途切れて骨髄に響いていた音が聞こえなくなります。

【……と、言いたいところだが、隠し立てしても無駄そうだし答えるとしよう。ボクは君たちが先ほど受付嬢を困らせていた要因である『静黙の治癒師』の二つ名を持つしがない探索者兼冒険者。ランクはともにA。願わくは、今後一切関わり合いがないことを祈るとしよう】

 勇者が読み終えるのを感じ取った『静黙の治癒師』は肩にとんっと手を置き、名残惜しそうにゆっくりと指先を這わせながら手を離しました。

 ローブから出てくる太く逞しい男のような腕に勇者は背中に冷や汗を多量に流しゾワゾワっとした怖気が身体(からだ)全身を駆け巡っていました。

【じゃあな、リストルテギアの姫君】

 勇者は身体(からだ)を硬直させます。

 『静黙の治癒師』の背を瞳孔の開いた瞳で見つめて、ギルドから出ていくのを見届けました。

 見届けてはいますが脳内を占めているのは途切れ途切れのおぞましい過去の記憶です。

「気持ち、悪い」

 瞳から色が失われて、脳裏には忘却された記憶が要領を得ないほど途切れ途切れで映し出されていました。同時にキーーーーーーーンッ!と響くような頭痛が勇者を襲います。しかし頭痛よりも不快感の方が勝っているらしく、自身を守るように身体(からだ)を掻き抱きます。

「気持ち悪い」

 男が罵詈雑言を浴びせてくる大きな怒声が耳朶に響いていました。しかし、その言葉の意味がわからないほどにノイズが混じり音がズレて聞こえています。

 小さく小さく縮こまり、カタカタと身体(からだ)を震わせました。

「気持ち悪っ」

 舐め回すような視線と身体(からだ)を弄ぶように手や指先が這っていく感覚が身体(からだ)を包み込みます。叫びたくなるような不快感と、嫌悪感。それと同時に湧き上がる無意味と(あざけ)る虚無感。

 片手で口を押さえて、もう片方の手で鳩尾あたりを押し上げます。目元からは溢れんばかりの涙が頬を伝っていきました。

 そのまま真っ青な顔を逃げるようにして外へと駆け出します。

 地面に視線を縫い付けて、人気のないところに向かって走ります。

(気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い)

 誰もいないスラムへと続く路地裏に入ると、壁に背を預けてずりずりとしゃがみ込みます。

 口元から手を離せば手は唾液と涙でベトベトになっていました。

「気持ちわる……っぉえっ……!」

 朝ごはんもろくに食べずにライチャネス地下洞窟に篭っていた勇者。おかげで吐き出すものがなく唾液と空気、それと少量の水しか出てきません。

「………男の人は、怖い。……気持ち悪い……っ!」

 もう一度自身の身体(からだ)を掻き抱きます。触れられた肩とお腹に手を置いて強く強くギュッと抱きしめます。

 途切れ途切れの忘却された記憶は脳裏にこびり付き、耳元からはノイズ混じりの怒声が響いたままです。

「……助けて、()()()()



「勇者!!」

 ギルドの横椅子に寝かせた勇者が居なくなり血相を変えながら探していた聖女は街中を走り回りやっとの思いで見つけた勇者を呼び駆け付けます。

「どうしましたか?……勇者?」

 蹲る勇者の前で腰を屈めて肩を揺すればパチンっと手を叩き落とされます。

 勇者は小さく小さく蹲りカタカタと小刻みに震えて、何かに怯えていました。耳を塞ぎ顔を膝に埋めて、譫言のように「助けて」「怖い」「嫌」と呟いていました。

 聖女は勇者を1人にしたことをひどく後悔し唇を噛み締めます。それと共に渾身の結界術が解除されたことに悔しさと忸怩たるものが込み上げて、自分の無力さに憤り「クソがっ」とついつい地の低い声で悪態を吐きました。

 すると勇者の肩が男の声に反応してビクッと強ばります。

 怖がらせたことに気づき吊り上がった目尻と血走った瞳を何度か瞬かせることで治し柔和な笑みを貼り付けました。

「勇者!勇者!!正気に戻ってください!ここには貴女を苛む人間も甚振る人間も居はしません!!だから正気に!落ち着いて!勇者!ゆうっ……アエリア・リュン・リストルテギア!!」

「嫌だ!!嫌!!やめて!!もうやめて!!助けて!お願い助けて!!もう嫌!!いやああああああああああああああ!!!!」

 押さえつけるように肩をガッと掴み呼び掛けますが、聖女の声は届かず勇者は絶叫しながら身体(からだ)を抱きしめて正気で無くなった瞳を聖女に向けます。

「……勇者、」

 続く言葉を飲み込んで聖女は視線のみを後方に向けます。

 悪意に満ちた眼を向ける二つの影に「っち」と小さく舌打ちをしました。

「勇者、すみません」

 聖女は立ち上がると勇者の腕を引いて無理矢理立たせました。

「文句なら後ほどいくらでも受け付けますから」

 勇者を立ち上がらせた勢いを使いそのまま腹に一発重たいのをぶち込みました。うっと呻き瞼をそっと閉じた勇者を肩に担いで急ぎ足でその場を後にします。

 仲間割れをしていたおかげで気付かれることなく静かに隣を駆けると宿屋まで走って向かいました。

 もう一つの影がつけていることにも気付かずに。



 宿屋に到着すると聖女はベッドに勇者を横たわらせました。

 靴と上着を脱がせ布団を被せてそっと髪を解くと、眉間に皺を寄せて悪夢に魘される勇者の目元を覆い隠して癒しの術を行使しました。

 白色金(ホワイトゴールド)に輝く聖力の欠片が靄となり勇者を周りを光やがて霧散していきます。

 お腹の傷や打撲痕、切り傷擦り傷、傷痕がみるみるうちに癒えて無くなっていきました。

 次第に強張っていた表情も魘されて呻く声も穏やかになっていきます。

「……!?」

 聖女の身体(からだ)が蹌踉めきました。

 視界が暗転した為に膝をつき明転した後もぐにゃりと歪みます。

 酔いそうなほどに歪んだ視界。それに気にかけられないほど喉が熱くなり止めどなく繰り返す咳。

 脇腹を正確にはそこに刻まれている聖女の証をギュッと押さえつけてナイフで刺されたような熱くてズキズキとした痛みを必死に耐えます。

 瞳には幕が張り意図せず涙がボロボロとこぼれ落ちました。

 止まることは知らない咳のせいで呼吸さえもままならずに苦しそうにどうにか空気を体内に取り込もうとして余計に咳が悪化しました。

 聖女の証を掴む手の力が強くなり服に纏わせた結界のせいで爪が捲れて血が流れ出ました。

 数十分後ようやく落ち着いた聖女はぐったりとベッドを背もたれにしながら座り込んでいました。

 爪は2、3枚剥がれ落ちて、床は赤黒く染まり、視界は依然として定まらないままです。

「……やるせないですね。わたくしにはあの人の願い一つ叶えられません」

 未だに魘されている勇者の声を聞いて自嘲気味にボヤきました。

 かつて恩人から頼まれた「どうか勇者(この子)を守ってはくれないだろうか?」という願い。それを果たせずにいる無力感に己を責め立てます。いいえ、聖女からしたら事実の確認に過ぎないのかもしれません。

(死を(こいねが)ったのは他でもないわたくし自身。それを叶えてくれようとしてくれただけ。ただそれだけ。悪いのはわたくし。他の誰のせいでもない。わたくしの罪であり過ちであり、背負わなくてはならない業。この痛みは苦しみは()()()()()()()わたくしへの罪報(ざいほう)。神ビリが与えし天誅(てんちゅう)。誰かを恨むのは憎むのは罪の転嫁にも等しい所業。だからこれはこの痛みは——………)

 未だにズキズキと痛む脇腹を抑えて、口元に付着した血液を拭いながら「自業自得」と嘲笑しました。

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