2 天才料理人、点数を聞かれる
<海原匠目線>
「料理というのは食べた人を笑顔にするものであって、点数を付けて優劣を競うものではないと思うんだけど・・・」
そう言ったんだよ?
だけどラーメン店の店主は
「どうしても!」
と聞いてくれなかった
いえね人気のラーメン屋に行ってラーメンを食べたんだよ
流石に行列ができる店だけあって美味しかったね
これで900円とかお得としか思えない
満足して店を出ようとした
そうしたら料理人であることが店主にバレたみたいで点数を聞かれた
困るよね
料理というのは食べるものであって競うものではないんだよ
美味しければそれで良い
そう言う事
でもそんなオレの主張を店主は聞いてくれなかった
・・・なんでみんな点数を付けたがるんだろうな
仕方がないから正直に言ったよ
「この店で食べるラーメンとしてなら100点だね」
そう言ったんだけど満足して貰えなかったようだ
「・・・それで本当の点数は何点なんでしょう?」
・・・人の話を聞け!、と言いたい
<ラーメン店店主目線>
「100点だね」
そう言われたけどお上手を言われたとしか思えなかった
なにせ辛らつな酷評のせいで店が潰れたという噂があるのだ
どう考えてもお世辞としか思えない
なにせ店にいる他の客は100点というのを聞いた途端スマホを熱心にタップしているんだ
「海原匠が100点を出したラーメンを食べました」
多分そんな感じでSNSにアップしていることだろう
そんな人間が回りにいる状況で悪いことは言えない
だから気を使ってお世辞を言っている
そういう気遣いは嬉しい
でも料理人としては厳しくても聞いてみたい
その思いで追い縋った
チョイチョイ
ひとさし指で呼ばれた
カウンター越しに耳を貸すとボソッと言われた
・・・聞かなければよかったと思った