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偽りの告白と、俺と私の十日間リフレイン  作者: カムナ リオ
united front 3rd round after
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第71話「三周目〜三つの呪い〜」

 斗哉と心乃香が地元に着いた時は、もう日が傾きかけていた。


 二人は神社の周辺を探し回ったが、相変わらず、あの古い鳥居に続く階段は見つからない。


 しかも心乃香が抱いている黒猫は、ぐったりしていて目覚めない。


 斗哉は遂に痺れを切らし、黒猫の耳を引っ張った。


「おい! 起きろ! 神社に着いたぞ!」


「ううん」と黒猫は眠そうに唸ると、前脚の爪を出して、斗哉の手を引っ掻いた。


「痛って!」


「それは、こっちの台詞だわ。ったく、しょうがないなあ、もー」


 そうぼやくと、心乃香に抱かれたまま、黒猫は目をパチンパチンと瞬かせた。


 しばらくして、日が完全に落ちると、道路に面した、あの鳥居に続く階段が現れた。


『⁉︎』


 黒猫は、心乃香の胸から飛び降りた。


 二人を振り返ると一瞥し、その階段をピョンピョンと登っていった。斗哉と心乃香は、目を見合わせると黙って頷き合い、その黒猫の後を追いかけた。


***


 古びた鳥居とあのお堂……確かにここは、あの黒猫を埋めた場所だった。


 黒猫は、お堂の簀子部分にちょこんと横になっていた。ぐわっーとノビをすると、顔を前脚で洗い首を傾けて、斗哉と心乃香を見つめてきた。


「単刀直入に言う。ボクにはこの『呪い』は解けない」



***


 二人は、その黒猫の答えに始め固まっていたが、斗哉は次第にワナワナと震え出し、黒猫に掴みかかった。掴みかかったったはずだった。


 斗哉の手がスッと虚空を描く。掴めない。姿は見えているのに、掴めないのだ。


「そう何度もやられるか、バーカ!」

「こいつ!」


 心乃香は、その二人のやり取りに、やれやれと被りを振った。


「ボクも何とかしようと、出雲で調べたんだ。でも、方法なんてなかった。もうどうにもならないんだ。酒でも飲まなきゃやってられないだろ!」


 と黒猫は逆ギレし、あーあと仰向けに横になる。


「世の中には、どーにも、できないことがあるんだよ。お前たちだって、分かってるんじゃないのか?」


「……」


 二人は何も言い返せずに、黙ってその場に立ち尽くしていた。


 それじゃあ、自分に縁のある人間たちがどんどん消えていくのを、黙って見てろって言うのかと、斗哉は黒猫を睨んだ。


「ふざけるな!」

「じゃあもう一度、時間を戻してみる?」

「⁉︎」


「戻したって無駄なんだ。返って更なる『代償』を支払わせられるだけ。大体さ、お前たちのせいじゃん!」


 黒猫は、二人を大きな瞳で睨み上げた。


「あの日、ボクをほっといてくれれば、お前たちが『酷い後悔』なんてしなければ、『強い言霊』なんか吐かなければ、ボクは怨霊なんかにならなかったんだ! この世界から成仏できたのに! いなくなれたのに!」


「⁉︎」


 二人はそうだと思った。白の言うことが正しいなら、この黒猫を怨霊化させてしまった原因の半分は、自分たちにある。


 斗哉は、もうどうすればいいのか分からなくなり、その場に膝から崩れて落ちた。このまま何もできず、黙って人が消えていくのを、見ていることしかできない。


 心乃香は、そんな斗哉を黙って見つめていた。そして、黒猫に向き直った。


「……肩代わり……できない?」


 心乃香は静かに呟いた。

 


つづく

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