表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偽りの告白と、俺と私の十日間リフレイン  作者: カムナ リオ
1st round
7/100

第7話「告白ドッキリ 如月心乃香sideーその1」

 人として最も最低な行為は「裏切る」ことだ――


 私には、どうしても許せないものがあった。人を馬鹿にして、(あざ)笑う人間のことだ。


 人が「イジメ」を行うのは、本能だと何かの書物で読んだことがある。本能なので無くならない、どうしようもないとのことだ。


 だからイジメられる弱者は極論を言えば、それが仕方ないと受け入れるしかないらしい。


 この世は弱肉強食だ。どんな綺麗事を並べても所詮「人間」だって動物だ。本能には逆らえない。その摂理の中、生きている。


 頭が良く体が強い人間がのし上がり、頭が悪く体の弱い人間は底辺へ追いやられる。弱者は強者に、何をされても文句は言えない。


 だって「負けた者」だから。

 「勝ってきた者」に、何も言う権利はない。


 仕方がない、それが「世の中」だから。


 でもそれが、私にはどうしても受け入れなれなかった。偽善からではない。自分が弱者だと分かっているからだ。


 だから自分は、はなからその舞台に上がっていない。誰にも迷惑を掛けていない。なのに強者たちは、自分の虚栄心を満たすためだけに、弱者を(あざけ)るため、引き()り上げるのだ。まるで「悪魔」の所業だ。


 何が弱肉強食だ。私はそんなものには()まらない。私を馬鹿にする奴には皆噛みついて、分からせてやる。弱者にも牙があり、その気になれば強者だって殺せるってことを。


***


七月四日(金)


「……突然、ごめん。オレ、ずっと、如月のことが……」


 私は同じクラスの八神斗哉(やがみとおや)のその告白に戦慄した。あの声の主はお前かと――


 それは昨日の出来事に遡る――


***


七月三日(木)


 私が部活後、鞄を取りに教室へと戻って来た時、教室から、けたたましい男子たちの笑い声が聞こえ、ギョッとした。


 私はガキくさい、品のない男子が大嫌いだった。なので教室に今入るのが躊躇(ためら)われた。

 次の瞬間「二十三番って誰だっけ?」という声がした。


 ――え? 二十三番?


 何だか嫌な予感がして、私はそっと教室のドアに聞き耳を立てた。


「えーと……如月だな」

「……如月? 如月ってどんな奴だっけ?」


 嫌な予感は的中した。自分のことだ。何を言われるのか恐ろしくなって、その場から離れようかと思ったが、すくんで足が上手く動かない。


「あの、眼鏡掛けた、癖毛の……地味で暗そうな奴だよな?」

「あー、あいつか……空気すぎて、話したこともねーわ」

「男に免疫なさそーだから、告ったら、めっちゃ慌てそう! 想像しただけで、ウケるわ!」

「コロッと騙されそう! そのままやらせてくれるかもよ?」


「やだよ。あんなのとしたくねーし!」

「おいコラ、逃げんのか! フリでいいんだって。何も本当に付き合えって言ってないだろ? 俺らを楽しませろよ!」


 沸々と、怒りと悔しさが込み上げてくる。泣きそうなのを何とか堪える。こんな奴らのために絶対泣きたくない。

 私は何とか震える足で、その場を離れた。



つづく

一周目、女主人公「如月心乃香」視点スタートです!


「面白かった!」「続きが気になる、読みたい!」「今後どうなるの⁉︎」

と思ったら、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。

面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちで、もちろんかまいません。

ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。

何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ