46話
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「セレナ嬢、明日のお休みに、私と一緒にお茶にいきませんか?」
「……へ?」
いきなりミシェルより告げられたお誘いに、私は一瞬思考がフリーズした。
今は授業が始まる前の時間、リリスは席を外していて、教室にいる生徒の視線も外れているタイミングのことだった。
「が、外出……?」
「はい、その通りです。学園生活にも慣れてきたので、今度はこの王国のことも見て回りたいな、と思いまして」
せっかく留学に来たのだから、その国を見て回りたいというのは至って普通のことだが……。
「え、ええと……申し訳ございません、ミシェル様。私には婚約者がいますので」
私には婚約者がいるのだ。学園内なら人目があるからまだしも、プライベートな時間まで他の男性にほいほいとついていくような真似はできない。
ミシェルは私が断るのを予想していたのか、特にその返事に反応を示すことはなく、代わりに私の耳元に口を寄せてきた。
「……マリベル・シュガーブルームについて少しお報せしたいことがあります」
「!」
私は目を見開いた。
マリベル・シュガーブルーム。
社交界ではずっと男性を侍らせ続け、私とノクスの仲を引き裂こうと邪魔をしてきた上に、最後は禁薬を使用して取り巻きや貴族の令息を操っていたことが判明したため大罪人に指定された令嬢だ。
そして、マリベルは現在、ミシェルの国に亡命している。
その国の王子であるミシェルが話があると言ってきたということは、何か事情があるに違いない。
「彼女の居場所を知っているのですか!?」
「それはのちほど詳しく……。それで、実はですね、彼女が今きな臭い動きを取っていまして」
「きな臭い動き……?」
「その通りです。それで、ノクスに危険が迫っているのかもしれないんです」
「ノクス様に……?」
聞きたい。でも、どうしてそれを本人に言わないんだろう。
私の思考を読んでいたかのようにミシェルが言葉を繋ぐ。
「私はノクスに警戒されているみたいですから、本人に直接話しても信じてもらえないでしょうし」
ミシェルはどこか寂しげな笑みを浮かべた。
婚約者ではない男性と一緒に出かけるようなことはしたくない。
でも……ノクスに危険が差し迫っているというのなら、その話を無視することはできない。
そして、ミシェルの言葉が最後の一押しだった。
「あまり時間はないかもしれません」
「……わかりました。行きます」
そうして、私はノクスのためにミシェルの話を聞くことにした。
本当なら、ノクスに事前に許可を取りたかったが、仲直りできていないせいで普段より顔を合わす頻度が少ない。
そしてそのまま、ノクスと話す機会がなく、翌日を迎えてしまったのだった。




