34話
パーティーが終わった後、私とお父様はすぐにマリベルのシュガーブルーム家に慰謝料を請求した。
私のドレスに飲み物を被せてきた令嬢にもドレスのお金を請求した。マリベルの口車に乗せられて私に飲み物をかけたとはいえ、ドレスはもう二度と着られなくなってしまったので、当然ドレスの衣装代と慰謝料を請求することとなった。
マリベルの公爵家ならいざ知らず、至って普通の貴族の家にはアルマイン伯爵夫人のドレスは高くついた。
そして、「私がエリオットの恋路を邪魔する悪女」や「私が男を何人も侍らせてる」という根も葉もないデマの出所について、ハートフィールド家が調べたところ、あることが発覚した。
私に関してどこからともなく流れていた噂の元はマリベルであることが発覚した。
取り巻きを使って、私の悪評を学園の生徒たちに流していたらしい。
これは取り巻きの令嬢や令息たちが証言したことだ。
これの責任も慰謝料に上乗せされた。
よって、マリベルのシュガーブルーム家は莫大な借金を背負うこととなった。
これに加えて十家以上からの慰謝料の請求も加えられるのだから、破産も視野に入ってくる。
そうして、シュガーブルーム家が取った選択は、お金の代わりにシュガーブルーム家の公爵領を差し出すことだった。
領地の七割を切り取られたシュガーブルーム家は公爵家から降格となり、伯爵家となった。
お父様から聞いたところによると、今までシュガーブルーム家は多くの家に公爵家の権力を使って理不尽を働いてきたので、伯爵家となり弱体化した今、他の家からの報復は凄まじいものになるだろう、ということだった。
当然、マリベルは学園では笑いものとなった。
今まで散々権力を笠に着て威張っていたのに、ノクスからはそもそも婚約者候補ではなかったと言われ、伯爵家へと落ちてしまったのだ。
落差は凄まじいものとなった。
婚約者を奪われた令嬢も、今までマリベルに虐げられていた生徒たちも、全員がマリベルを標的にした。
どんなことを言われようが、もう自分を守ってくれていた公爵家という地位もなく、慰謝料や借金の返済に忙殺されている親も庇ってはくれない。
そして悪女という評判がついたマリベルと誰も婚約はしなかった。
来るのは借金の減額を盾にして迫ってくる年老いた貴族だけだ。
マリベルは一年後には身売りをするように、その老人の貴族との婚約が決まった。
マリベルの取り巻きは自分たちのボスを失ったことで、新しい派閥へと入ろうとした。
リリスや私の元へも取り入ろうとしてきたが、当然リリスも私も、他の上位貴族も断ったそうだ。
そのためマリベルと同様、報復の対象となった。
マリベルと一緒に調子に乗っていた彼ら彼女たちがどういう目に遭ったのかは想像に難くない。
そして、エリオットについて。
パーティーの日、私にプロポーズをしてきた件は学園へと広まった。
私にあんな仕打ちをしておいて、また婚約を申し込んだエリオットは学園中の貴族から軽蔑され、孤立することとなった。
特に女性からは蛇蝎の如く嫌悪され、まともな婚約者が見つからなかったのは言うまでもない。
加えてハートフィールド家から科せられた迷惑料と慰謝料で、サンダーソン侯爵家はその家の経営を大きく傾かせることとなった。
反対に、ハートフィールド家はシュガーブルーム家の土地の二割、そしてエリオットからの慰謝料で貴族として飛び抜けた富を得ることとなった。
加えて降格したシュガーブルーム家と入れ替わるように、侯爵家から公爵家へと爵位を上げるという打診が国王からあり、それを受け入れた。
それから私は。
正式に婚約者となった私は、幸せな日々を過ごしていた。
ノクスを見る度に好きなところが増えていく。
きっと恋に落ちるということは、こういうことなのだろうと思った。
「ねえ、ノクス様」
私は隣にいるノクスに話しかける。
「どうした」
「好きですよ」
私がそういうとノクスは破顔した。
ノクスの手を握る。
ありのままの私を受け入れてくれるこの人なら、ずっと一緒に過ごしていけるだろう。
【お願い】
少しでも面白いと思って下さった方は作者の励みになりますので、感想、ブクマ、評価、レビュー、いいね、作者のお気に入り登録を是非お願いします!!!!
下の☆☆☆☆☆が★★★★★になったりすると作者的に超ハッピーになります!!!!!!!
また、作者のお気に入り登録やTwitter(@minagakisurume)のフォローもしていただけると励みになります!




