花立くくりは勉強が出来ない。
「私、花立くくりには優秀な姉が居る。23歳で魔法世界の上位の書記官をしている」
花立くくりは「はぁ…」溜め息を吐いた。
姉のミカはまだ帰ってきていない…。
花立くくりは「進路希望かぁ…」と言って溜め息を吐いた。
花立くくりは自分の部屋に行って現実逃避をするように、紙に鉛筆を走らせた。
しばらくして、麗しい美女が紙には書き上げられていた。
しかし、それを見て花立くくりは「はぁ…」と溜め息を吐いた。
「私もこれくらいスタイルがよくなれればなぁ…」と言って、そのままふて寝した。
しばらくして、姉のミカが帰ってきた。
くくりはお出迎えに行く。
「お姉ちゃんただいま!!」と。
ミカは言う。「あんた、パジャマに着替えるのはお風呂に入ってからって言ったでしょ?」
くくりは「めんどくさいもん…」と言う。
ミカは「それなのにお出迎えをする元気はあるのね…」と言った。
くくりは「それとこれは別だもん!」と言った。
ミカは言う。「進路希望。もう出した?」
くくりは「それは…」と言いごまかす。
ミカは言う。「私は先生達と繋がっているから早めに出すように!!!」
くくりは「じゃあ、お姉ちゃんが書いて?だって、私行きたい所無いし…」と答えた。
ミカは言う。「そんなこと言わないの…、絵が好きなら美大とか行ったらどうよ?」
くくりは「私は自由気ままに書くのが好きなの!だから、今さら学ぶとかは嫌なの…」
ミカは「新しい発見とかあるかもしれないから、とりあえず進路希望は提出期限までには出すように!」と言った。
くくりは「はーい」と言って部屋に戻ろうとする。
それをミカはパジャマの襟の掴んで止める。
ミカは圧を掛けるように言う。「あんた昨日もお風呂に入らずに寝たよね…」
くくりは「そうね…そうだったような…」とごまかす。
ミカは「今日こそはお風呂に入りなさい」と言う。
くくりは言う。「お姉ちゃんが一緒に入ってくれるならいいよ?」
ミカは「言われなくても、監視役として入るわ」と答えた。
ミカは水着を着たまま、くくりがちゃんと髪や体を洗うかを監視していた。
そして、くくりが出た後にミカは体と髪を洗い髪を結んで湯船に浸かった。
ミカはくくりに帰るのが遅いからお出迎えはしなくていい。と言っていたが、毎回、お出迎えをされていた。
嬉しくはあったが、妹の睡眠不足が心配だった。
ミカ時計を見た。
結構な時間、湯船に浸かってしまっていたので慌てて出た。
そして、タオルとドライヤーで髪を乾かして、残っていた仕事を片付けるべく鞄から書類と万年筆を出した。
仕事をしていたら、いつの間にか朝であった。
くくりが起きていた。
眠たげに「おはよ…お姉ちゃん」とくくりは言う。
ミカは「おはよう」と言い、書類にメモを書き加えたり、タイプライターで書類を作っていた。
くくりは「お姉ちゃん、昨日寝てないでしょ?」と言う。
ミカは「あんたがお風呂を監視しなくてもちゃんと髪も体も洗うなら、私だって寝る時間があったわよ」と言う。
くくりは「ごめん…」と言って、置いてあったパンを食べ出した。
食べ終わってから、「行ってきます」と言いくくりは学校へ行き、ミカは書類を分類別にまとめて、鞄にしまって万年筆をポケットに挿して、王宮へと向かった。
学校でくくりは一番な嫌いな授業、魔法実技を受けていた。
もちろん嫌いなので適当にやっていた…。
先生は「あなたの姉はもっと優秀だったわよ?」と言う。
くくりはキレて魔法で先生に刃向かった。
しかし、先生ということもあって返り討ちに遭ってしまった。
そして、先生は「素質はあるだけに勿体ないですね…」と言ってその場から立ち去った。
そして、進路を決める日が来た。
くくりとミカは学校に向った。
くくりは腹を括ったように言う。
「私、美術で生計を立てるわ、フリーの美術家になるの」
先生もミカも口があんぐり塞がらなかった。
ミカは言う。「著名な美術家に弟子入りするならまだしも…」
くくりは「そんなんじゃ、絵ばっかり描いてもられないじゃない」とその案を拒絶した。
ミカは困った顔をしていた。
普段は困った顔すら出さないポーカーフェイスであるが、今回ばかりは困った顔をしてしまった。
そして、家に帰った。
再びミカはくくりに提案するように言う。「フリーでいきなり成功するのは難しいからさ?だから、著名な美術家に弟子入りするとか…」
くくりはその時、絵を描いていた。
ミカはため息を吐き「この子、絵を描き出したら何も見えない、本当に絵を描くのが好きなのね…」と言って、自分の私財をなげうってくくりを支援することにした。
しかし、絵だけでは生計を立てられず、ミカの月一の支援で生き延びるような生活であった。
そんなさなか、魔法界では一般界が憎いということで好戦強硬派が台頭していた。
魔法界は一般界に先制攻撃をくわえて、一般界はそれに応戦。
大規模な戦争へと発展した。
くくりは身近な人が出征すると聞いて、居ても経ってもいられなくなり絵で反戦を訴えた。
魔法界は思いのほか、苦戦に苦戦を重ね防御網を完全に突破されて、一部の街が廃墟になっていた。
予想より早く対魔法用兵器の完成がしていたのだった。
その所為で魔法攻撃が無効になることが多かった。
くくりとミカの住むアパートに一般界の軍人がやってきた。
ミカは必死に素性を隠す。
バレたら、即処刑の可能性があったからだ。
しかし、仕事用の鞄とタイプライターを見られてしまった。
その所為で魔法界側の役人だとバレてしまった。
一般界の軍人は早期講和の為にとミカが纏めた文章の中身さえも見ずに、処刑場所へと連れて行った。
ミカはくくりに言う。「ごめんね…。くくり…。またあの世で会いましょう…」
花立くくりは処刑の様子をただ傍観するだけしか出来なかった。
「処刑前に言うことは無いか」と一般界の軍人は言う。
花立ミカは言う。「早期講和の為には、私が必要です…。どうか命だけは…」
一般界の軍人はそういうミカをそのまま日本刀で斬首した。
対魔法用の結界が張られており、ミカも花立くくりも為す術が無かった…。
花立くくりは軍というものに衝撃を受けて、この後悔からも反戦を訴える絵を強く強く描くようになった。
魔法界側の軍人はより攻勢を強めようと、より無謀で無茶な突撃を繰り返すようになった。
花立くくりは魔法界の強硬派に目をつけられて、満足の行く活動がしにくくなった。
王宮陥落まであと一歩というところであった。
斗南清二は講和をすることを決断した。
一般界は五つの要求をした。
1.斗南清二の公職追放
2.魔法界役人の公職追放
3.新しい農地及び領土の割譲
4.魔法教会の解体
5.民主化
戦争は終わったが、花立くくりの心は晴れなかった。
花立くくりの姉である花立ミカは戦争で死んで帰ってこないのだから…。
民主化されて変わっていく魔法界。
花立ミカのこと語らずに無かったことにする旧斗南陣営や旧政権関係者。
花立くくりはそんな彼らに嫌気が差した。
花立くくりはその人生を27歳で自ら閉じた。
その後、作品が一般界に流れて注目されて生い立ちなどもあって瞬く間に時の人となったときに彼女はもう死んでいたのであった。
人にはそれぞれ得意、不得意がありますよね?
私は絵を描くのが苦手で不得意です。
何度か挑戦しては自分の絵心の無さに絶望して挫折を繰り返し今では絵を描く事は一切無くなりました
頼まれても余程のことが無いと描きません。(というか、描けません)
それはそうと、さて置き、今回原案を思いつくままにルーズリーフに書いてメインの執筆をPCでする事を決めたわけですが、連載中の前作の舞台は一般界であったのに対して今作の舞台は魔法界となります。