まだ同じでも……!
私は本を読むのが好き。
本屋で買ったのは小説ばかりで、今持っている漫画やコミックス系は「コナン」と「ヒプマイ」だけ。
でも、書くことは読むことよりもずっと好き。
将来の道しるべだから。
それはともかく、中一の時に私は「名探偵コナン 読書ノート」というものを買った。
タイトルや好きなシーン等を五十冊分書き込めるノートで、電子辞書に収録されていた分と、最初から持っていた書籍を合わせたらすぐに書き切ってしまった。
それから、もうずっと忘れていたけど、また同じものを買ってコンプリートしようと思った。
そして、このノートの最後の方には「メモ欄」がある。
過去の私――中一の私はこのメモ欄に何か書いた。しかし、何を書いたかまでは思い出せなかった。だから、本棚から引っ張り出してきて、私は「ああ、懐かしいな」と思いながらそのページをめくった。
――過去の私は一体何を書いたんだろう。「好きなこと」とか「面白いこと」を書いていたらいいな。
そんな期待に心が膨らむ。
「――えっ?」
これが、ページをめくってみた時の反応だった。
見開きの半分のページだけでも三十行ほどあるのに、書かれていたことはたったの九行だけ。
どれも当時の私が出来なかった願望みたいで、こう書かれていた。
・「ありがとう」「ごめん」
を大きな声で言う!
・ムダなことは絶対に
言わない。
・必要最低限のことを話す・聞く!(ノリを合わせる!)→必死で
・スタメンになりたい!
・友達を作らなきゃ!
心が折れてしまった…。
…………私は、大好きだった本という居場所すら「同じ部活のあいつら」に、奪われていたのかと。心からそう思った。
空気は読めるが、空気に呑まれて、ノリが分からず、その度に嫌そうな顔をされて、「ああ、次はちゃんとしなくちゃ!」といつも呪縛をかけていた私。
そんな私は、ついに好きなものまで消えてしまったようだ。
でも、辞めてからはすっかり忘れていたこの呪縛。
それを一瞬で思い出してしまった。
だが、残念だった、過去の私。
ごめんね、全然変わってないんだ。
今の私も変わってない。
私にとっては、相変わらず「希死念慮」の新時代さ。
でも、まだ今は同じでも……絶対に救って見せるから!
あの頃の私を救うために掲げた目標を。
誰にも真似できない。私だけの世界。
今度は、あの頃の私みたいに「救ってほしい」と心から願っている人を救える、私の作品を。
最後まで読んでくださりありがとうございます。