『ラジオから音がする……』
深夜、何かの音に目が覚める。
じっとりとした湿度をはらむ熱帯夜……Tシャツはべっとりと張り付き気持ち悪い。全身汗だくで、到底寝直すことなど出来そうにない。
ベッドサイドに置いてある飲料水を一気に飲み干す。あぁ、ひどくぬるい。
いくらか意識が覚醒し、目覚めの原因となった音に耳を澄ます。がさがさがさがさ、何かが這うような音が微かに聞こえる。
異音のする物、おそらく音の出所であろうラジオを持ち上げると……無音であった。
やはりごみ捨て場にあったラジオは壊れていたのであろう、あまりに美品で電源を入れてみたら普通にラジオ放送が流れたから持ち帰ったのだが。
他所の電波でも拾ったのかとラジオをいじってみたが特に反応はない……やはり壊れている?
スピーカーに耳を当ててみても、何も聞こえなっ!? なんだ! 今のぬるりとした感触はっ!
慌てて耳に侵入してきたモノを掴み引き抜く。そのモノはぬらぬらとした粘液を纏った赤黒いみみずのような肉紐だった。
「ひっ!?」
なんだこれ! なんだなんだなんなんだ!
肉紐はスピーカーの穴からずるずるずるずる何本も何本も出てくる! 私の耳! 口! 目を! 身体の穴という穴を目指して這いずってくる!
何本などではなく何十何百と数を増やし、ずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずる。
ああ、あのラジオは捨ててあったのではなく……擬態だったの、だ、な。
がさがさがさがさ、あなたのラジオから音がする……。




