初戦はゴブリン
ゴブリン達が距離を詰めてくる。でも、逃げようとすると後ろから魔法が飛んでくるから、安易に逃げられない。……あれ?詰んでね?
イヤイヤイヤイヤ、落ち着け落ち着け。よく考えろ。俺、スピードだけは結構あるからうまく立ち回ればこの数相手でも戦えるはずだ。魔力の感じからして、魔法を使うゴブリンは一体。ソイツさえ倒せばいいんだ。
気になるのは、群れの中心にいるデカイ気力反応を持ったゴブリンだな。魔法を使うゴブリンもかなりの魔力を持ってるが、コイツは桁違いだ。まともに戦えば負けると本能が言っている。だが、コイツ以外なら問題ない!
ゴブリン達が向かってくる。それに合わせて他のゴブリン達は周囲を囲むように移動を開始した。ゴブリンの先頭を走っていた3匹のゴブリンが棍棒を振り回して襲いかかってくる。
俺は体の一部を《体変化》で触手のように変化させ、1番右にいたゴブリンの棍棒に伸ばし、それに触れる。そして《暴食》のスキルでそれを食らった。ゴブリンは、いきなり棍棒が消えたことに戸惑うような反応を見せた。その隙に《吸収》でその棍棒をコピーして、10本に増やした触手(仮)全てに装備する。戦闘準備完了だ。
先頭のゴブリン2匹が棍棒を振り下ろす。それを横に跳ねて回避し、ガラ空きの脳天に棍棒を叩き込む。
『ゴン!!』
かなりいいのが入った。ダメージで怯んだゴブリンはほっといて魔法を使うゴブリンのいるところへ向かう。立ちはだかるゴブリンを棍棒で殴りつけ怯ませながら進む。
アクションアニメのような目線の動きで、自分で自分にびっくりするが、体は構わず魔法を使うゴブリンに近づく。
ついに魔法を使うゴブリンが視界に入る。木製で杖先に紫色の石がついた杖を持ち、黒いローブを纏った、まさに魔法使いといった感じの風貌のゴブリンだ。
魔力的には今までのゴブリンより強そうだけど、強いか分からんな。《鑑定》
◆◇◆◇◆
名前 《なし》
種族 《ゴブリンメイジ》
職業 《レッサー・ゴブリンメイジ》《職業ランクF》
《LV12》
強さランク 《E》レアランク 《F》
スキル
-常時発動型-
《団体行動LV4》《カリスマ(F)LV1》
-発動型-
《火系魔法(2つ)》《魔力吸収LV3》《仲間呼びLV6》
-称号型-
《外道LV4》《指揮官LV1》
能力値
《生命力―110》
《防御力―82》
《力―52》
《素早さ―14》
《魔力―182/197》
《気力―0》
◆◇◆◇◆
意外とステータス高えな、おい!これは、ちょっと苦戦するかもな。
でも、ゴブリンメイジは慌てているようだ。このまま勢いで押し切――
『バコン!!』
咄嗟に後ろに下がると、デッカい金属製のハンマーが目の前の地面にめり込んだ。
さっきのヤバそうな気力反応のヤツか!!《鑑定》!
◆◇◆◇◆
名前 《なし》
種族 《ホブゴブリン》
職業 《バーサク・ホブゴブリン》《職業ランクC》
《LV37》
強さランク 《D》レアランク 《D》
スキル
-常時発動型-
《威圧感LV2》《狂化LV4》《再生LV2》
-発動型-
《戦鎚系戦技(1つ)》《咆哮LV3》《怪力LV2》《気術LV1》《怒りLV2》
《身体強化LV3》
-称号型-
《外道LV7》《バカ》《同族喰らい》《悪食》
能力値
《生命力―543》
《防御力―507》
《力―599》
《素早さ―485》
《魔力―0》
《気力―640》
◆◇◆◇◆
ヤッ、ヤベえ。今の俺じゃ100%勝てねえ。
どうしよう、どうしよう、考えろ、考えろぉ!
………………………………そうだ!何もコイツの相手することはないんだ!
スピードで勝ってるんだから、逃げながらゴブリンメイジを仕留めればいい。
コイツバカってスキル持ってるくらいなんだから、相当頭悪いんだろう。
指揮官がいなければ、いくらでもやりようはある。
そうこう考えているうちに、ホブゴブリンが襲いかかって来る。
距離をとって、棍棒を投げる。しかし、命中しても効果がない。
そのままハンマーを横に振り回してくるホブゴブリン。後ろに跳んでかわす。
かなりのスピードで通り過ぎていくハンマー。凄まじい風圧がその威力を物語っている。
そんな威力をめちゃくちゃに繰り出しながら追ってくるのだから、たまったもんじゃない。まぁ、避けれるけど。
しかし、このままじゃジリ貧だな。ゴブリンメイジを狙う隙がない。
膠着状態が続く。ハンマーを振り回すホブゴブリン。避ける俺。
その状態に苛立っている者がいた。ゴブリンメイジである。
「グギャギャギャ!」
ゴブリンメイジが甲高い鳴き声をあげた。
なんだ?魔法ってわけでもないようだが……
次の瞬間
「グォォーーーーー!!」
ホブゴブリンの叫びが辺りに響き渡った。
それを聞いた俺の体は一瞬硬直してしまう。
何ッ!――クソ!!ステータスにあった咆哮のスキルか!!
その隙にホブゴブリンのハンマーが迫る。さっきより格段に速い。
強化系スキルの合わせ技か!!避け――ダメだ!間に合わない!!
『ドゴォ!!!』
凄まじい一撃が叩きつけられ、その衝撃波で土煙が舞う。
そして、その土煙の外へ、凄いスピードで丸いものが飛ばされていった。
そう、俺だ。体変化でハンマーが当たる部分を凹ませてハンマーを避けたのだ。そして衝撃波に吹っ飛ばされた。危ない賭けだったけど、成功してよかった。そして、今吹っ飛ばされている方角には……アイツがいる!!
「グゲェ!?」
驚くゴブリンメイジ。当たり前だ。仕留めたと思ったスライムが目の前にいるのだから。
勢いそのままに身体強化を発動しゴブリンメイジの脳天に棍棒を振るう。
『バコン!!』
よし!!いいのが入った!!このまま――
10本の触手(仮)で棍棒を振るいまくる。ゴブリンメイジは反撃する間も無くボコボコにされる。
何回棍棒を振るっただろうか。ゴブリンメイジが動かなくなった。
その瞬間、いきなり力が湧き上がってくるような感覚になった。
おぉー!これがレベルアップか!!なんか、今ならなんでも出来そうだ。
ステータス確認するか。
◆◇◆◇◆
《ステータス》
名前 《なし》
種族 《ユニーク:グロウスライム》
職業 《ユニーク:神を目指す者》《職業ランクSSS》
《LV15》
強さランク 《E》レアランク 《SSS》
スキル
-常時発動型-
《成長限界無効》《取得経験値増加LV10》《必要経験値減少LV10》
《魔力感知LV10》《気力感知LV10》《直感LV10》《予測LV10》
《物理耐性LV1》《毒無効》《病気無効》《疲労無効》
《体力自動回復LV1》《魔力自動回復LV1》《気力自動回復LV1》
《再生LV10》《不老》
-発動型-
《暴食》《吸収》《体変化LV10》《能力向上LV1》《速さ向上LV1》
《思考加速LV1》《叡智》《鑑定(真)》《アイテムボックスLV10》
-称号型-
《魔王の卵》《神の加護》《転生者》《ユニークモンスター》《格上特攻》
《ライバル特効》《戦闘の才能》《魔法の才能》《武器の才能》
能力値
《生命力―224》178アップ
《防御力―62》48アップ
《力―175》136アップ
《素早さ―600》97アップ
《魔力―202》177アップ
《気力―198》173アップ
◆◇◆◇◆
成長がすごいな。能力値が一気に上がった。今ならホブゴブリンは無理だけど、普通のゴブリン93体程度なら勝てるぞ?
そういえばホブゴブリン全然動いてないな。ちょっと見てみるか。
見に来たらびっくり……。地面にハンマーがめり込んで、その地面の割れ目に足が挟まって動けなくなっていた。
……コイツ、バカって言うよりドジなんじゃないか?
まぁ、コイツの防御力なら今の俺じゃ殺せねえし、下手に手出ししたら面倒なことになるかもしれないから放置でいいか。
じゃ、ゴブリン狩りのスタートだ!
◆◇◆◇◆
ものの数分でゴブリン殲滅は完了した。(ホブ以外)
……そういえば、俺モンスターとはいえたくさん殺しているのに、あんまり悪感情みたいのが湧かなかったな。転生の影響か?
まぁ、それは置いておいて、《ステータス》
◆◇◆◇◆
《ステータス》
名前 《なし》
種族 《ユニーク:グロウスライム》
職業 《ユニーク:神を目指す者》《職業ランクSSS》
《LV18》
強さランク 《E》レアランク 《SSS》
スキル
-常時発動型-
《成長限界無効》《取得経験値増加LV10》《必要経験値減少LV10》
《魔力感知LV10》《気力感知LV10》《直感LV10》《予測LV10》
《物理耐性LV1》《毒無効》《病気無効》《疲労無効》《体力自動回復LV1》
《魔力自動回復LV1》《気力自動回復LV1》《再生LV10》《不老》
-発動型-
《暴食》《吸収》《体変化LV10》《能力向上LV1》《速さ向上LV1》
《思考加速LV1》《叡智》《鑑定(真)》《アイテムボックスLV10》
-称号型-
《魔王の卵》《神の加護》《転生者》《ユニークモンスター》《格上特攻》
《ライバル特効》《戦闘の才能》《魔法の才能》《武器の才能》
能力値
《生命力―282》58アップ
《防御力―100》38アップ
《力―212》37アップ
《素早さ―665》65アップ
《魔力―260》58アップ
《気力―230》32アップ
◆◇◆◇◆
93体も倒した割に全然レベルアップしなかったな。俺、成長チート持ってるはずなのにな。俺でこれなら普通ってどれだけレベル上がりにくいんだ?
さてと、死体は全部アイテムボックスに入れてっと。
♪テッテテレレレレ〜♪ゴブリン軍団に勝利した!!
やったー!!
俺はスライムの体でダンスを踊りながら勝利を喜んだ。