絶対に理想の異世界生活を!!
何もない空間で、ぽつりと○○は呟いた。
『さて、おもしろおかしく冒険し、強くなり、僕を楽しませてくれ。』
◆◇◆◇◆
気がつくと真っ白な空間にいた。
……ん?真っ白?
あれ?俺、なんでこんなとこいんの?
さっきまで学校の修学旅行で、貸切の旅館にいて、窓から星を眺めてたはずだよな。
まばたきの一瞬に何が起こったんだ?ここどこだ?
……だめだ。一旦落ち着こう。
良く見ると、他の生徒も担任の先生もいる。しっかり40人。
でも、それ以外に人は見えない。
そういえばこの空間、何もないな。地面は背景と同化していてややこしいし、壁はあるのか、どのくらい広い空間なのか、なにも分からない。
……ホントにやばくないか?状況からしてわけがわからん。
だんだん不安になってきた。今いる場所も、こうなった理由も、何もわからないというこの状況に、言い表しようのない不安が募る。
他の生徒も同じ状況のようだ。きょろきょろして混乱している者、声を上げて助けを呼んでいる者、呑気に友達と喋っている者……など、さまざまな様子である。
――しばらく時間がたった。俺は、なにもすることがないし、慌ててもどうしようもないし、気力もなくなってきたので、横になって目を閉じていた。
ここの地面は冷たくもなく熱くもなく、何も感じなかった。もはや硬さすら感じないので、宙に浮いてるように感じた。……まあ、宙に浮いたことなんてないけど。
しばらく騒いでいた生徒達や先生も、疲れたのか休んでいた。
もうずっとこのままなのか……なんて思い始めたとき、
『ゴメンゴメン。待たせちゃったかな?』
突然上空から幼い子供の声が聞こえてきた。
ハッとして、立ち上がり上を見ると、5〜6歳くらいの美少年が空に浮いていた。
――おもわず硬直してしまった。俺の理解力が必死になって状況を理解しようとしているが、あまりのわけのわからなさに反応ができない。
他の人達も呆然としている。
『ん?みんな理解が追いつかないって顔してるね。しょうがないからこの僕が説明してあげよう。あ、僕は、名前はヒミツだけど神様だよ☆よろしくねー☆』
……ツッコミ所満載すぎるな。このキャラ詰め込み自称神様の美少年。
なんか、気力が戻ってきた。バカらし過ぎて。
『それでね、なんで君たちがこんなところにいるのかっていうとー、君たちが死んじゃったからなんだよ。』
「……は?」
あまりに突拍子のない言葉に、おもわず声を漏らす。
つまり、ここがあの世だってことか?じゃあなんで俺達は死んだんだ?
『君たちはなんで君たちが死んだのか知りたいだろうけど、それは話せないんだ。』
胡散臭いがこんな場所現実的じゃないしあの世って聞くと、そんな気がしてくる。
『君たちを生き返らせることはできないけど、急に死んでかわいそうだし、特別サービスをしてあげよう。』
特別サービス? いったい何をしてくれるのだろうか。
自称とはいえ神様の特別サービスなんだから期待ができるな。
生き返らせることはできないと言っていたから、天国にいけるとか?
『普通なら天国か地獄に送ってそこで死んだら輪廻の輪に戻すんだけど、君たちは、記憶を引き継いで異世界に転生させてあげる。』
……マジか。
確かにマンガとかでよくある展開だけど、予想外だった。
――よっしゃ!異世界転生なんて最高じゃないか!転生っていったら、チート貰えて冒険したり世界救ったりヒロインと結ばれたりハーレムつくったり、いろんなことができるよな!マンガみたいに何もかも上手くいくわけじゃないと思うけど。
『君たちが知っているような剣と魔法の世界で間違ってないよ。チートも与えよう。幸い君たちの中に異世界転生について知識がない者はいないし、説明はこれくらいでいいかな?』
「あ、あの……質問が……。」
1人の女子生徒が声をかけた。
『何かな?アカネちゃん。』
生徒の名前も把握しているのか。
「そ、そのチートって自分で選ぶことはできるんですか?」
『ごめんね。それぞれの魂にあったチートを与えないと魂が耐えられないから、チートを選ぶことはできないんだ。』
「そ、そうですか、分かりました。」
すると、
「では、私からも。」
『ん?何だい?キレイくん』
「私達の家族に別れなどを言いたいのですが、流石に無理でしょうか?」
『実は、君たちの死に方は特殊でね。情報の流出を避けるため、君たち関係の情報はあの世界から抹消済みだ。あっちじゃ君たちは元から居ないことになっているよ。』
その言葉に多くの人が衝撃を受けていた。
『本当にごめんね。でも、その分次の生で幸せに生きて欲しい。』
なんかこの自称神様、最初の無邪気な雰囲気から本当に神のような神々しい雰囲気を纏い始めた。最初が演技だったんだろうか?まあ、なんでもいいけど。
『あと、君たちは転生したら生後2ヶ月の赤ん坊として意識が戻るけど、一歳くらいまで意識はぼんやりしていると思う。一歳から活動開始だ。チートを上手く使ってしっかり生きていって欲しい。君たちの行く道に幸福があることを祈りながら、遠い空から君たちを見守っているよ。』
一歳からかあ。なら、色々鍛えて、天才みたいに活躍しようかな。それとも、妹や幼馴染なんかと楽しく暮らしていこうかな。んー、悩むなあ!
『もう質問もなさそうだし、そろそろ送るよ。みんな、準備はいいかい?』
全員ワクワクした顔で、頷く。こんな事になってショックはあっただろうが、全員異世界転生を知っていて憧れていたらしいし期待してこんな顔になっても仕方ないだろう。
『じゃあ、さようなら。頑張ってね。』
そう神様が言った途端、目の前が真っ黒になり、意識が途切れた。
どうも、なまやかです。
始めて投稿したので、あまり面白くないかもですけど、いい作品を書けるように頑張るのでこれからよろしくお願いします。
どうか、温かい目で作品を見ていってください。