第二十一章その4
陽動作戦は単純だった。
ダリアとチラコンチネが派手に戦ってくれているので、そこに煙幕としてティムがブレスを吐く。
一見、ダリア達への援護に見える攻撃だ。
「どこを狙っている!」
「我らの連携はその程度では崩れん。」
「煙幕で視界を防いでも、嗅覚で連携を取るのみ。」
うん。成功した。
相手は連携崩しのための攻撃だと読んでくれたみたいだ。
これはワイとタイニーが敵の視界から消えるためのもの。
タイニーはワイの懐に隠れ、ワイはティムの背中に乗る。
ティムは上空へ飛び、滑空攻撃で敵を攪乱する。
先ほど同様に、別の犬人族がティムに横から攻撃を仕掛けてくるが、そこは上に乗っているワイがさせない。
盾で攻撃を防ぐ。
「!ほう?連携し出したか…」
リーダーっぽいやつがそう言うと、5人は集まり再び隊形を組んだ。
ティムを上昇させるが、今度は誰も動かない膠着状態となった。
「いけ、ティム。」
5人のまとまりに向かってティムは滑空攻撃を仕掛ける。
5人はバラバラに散り、反撃するべく態勢を整える。
上にワイが乗っていることも織り込み済みでの攻撃だ。
「ブレスだ!」
ティムはワイの指示に従って急停止してブレス攻撃をした。
5人の犬人族はフンと鼻を鳴らしてこれをよける。
手強いな。
だが…
「隊形が崩れてるよ!」
ティムの連続攻撃で隊形が崩れた一瞬のスキをチラコンチネがつく。
チラコンチネに狙われていない他の4人は、無理やり態勢を立て直した。
そのまま狙われた犬人族を助けに行くが、その内の1人はダリアに邪魔された。
「行かせないのだ!」
ダリアとチラコンチネは流石に身体能力が高い。
即座の判断ですぐに動いてくれる。
しかしダリアの体は1つしかない。
足止めできるのは1人。
ワイとティムはやや遠い。
…
地面に小さな生物がいる。
タイニーだ。
2回目のティムのブレスの目的はタイニーを隠してそこに落とすこと。
タイニー達小人族は幻術に優れている。
一瞬でも意識を欺かせることが出来れば…
「終わりです。」
5人の中心にいるタイニーがそう言うと、5人の犬人族は幻を見た。
5人が気が付いた時には、ワイらに拘束されていた。
「これで勝ちかな?」
ワイがそう言うと、長が頷いた。
ようやく話を聞いてくれるようだ。




