第二十一章その2
<遠吠え岬>――
荒地に、岩でできたゴツゴツの小山が何個か見える。
もう犬人族の住む居住エリアなのだろうか?
今までの場所と違って入り口のバリケードみたいなものがない。
ひと際高い小山の上に犬らしきものが、遠吠えをした。
他の小山に空いている穴穴からたくさんの犬が走ってやって来る。
ワイらはあっという間に包囲された。
「何の真似だいイヌッコロが。」
チラコンチネが殺気立たせて言う。
「黙れ気まぐれ。我らが用があるのはそこの勇者だ。」
1人の犬人族が唸りながら言う。
ワイ?ワイに用事?用があるのはワイらの方なんだけど。
「勇者という立場なら、魔族を滅ぼすのが目的のはず。薄汚い人族の味方をしながら、何しにこの地へやって来た!チビや気まぐれを騙せても我らは騙せんぞ!」
「えっと?騙すとか騙さないとかそういうのじゃないんですけど、魔族を滅ぼす気もないですし。」
バウバウ!
周りの犬人族が吠えて威嚇してくる。
犬は苦手じゃないけど、威嚇されると怖い。
「ちょっと待つのだ。ダリア達は魔族を滅ぼすつもりなどないのだ。」
ダリアがワイの前に出る。
「ダリア様!こちらへ!」
犬人族がダリアだけを通そうとする。
「ダリアはタローとは離れないのだ。」
「おのれ勇者!ダリア様を騙したな!」
怒りまくる1人の犬人族がワイに向かって牙を見せる。
なんでワイはこんなに敵対心を向けられているんだ?
「ちょっと待って、話をしよう。」
戦々恐々とした中で、ワイは一番殺気立っている犬人族に向かって言う。
聞き入れて貰えるかは微妙だけど。
「話を聞いて我らにどんな得があると言うのだ?」
殺気立つ犬人族がワイに言う。
そりゃそうだ。ワイらに得があっても犬人族に得なんて何にもない。
「え?いや得と言われても…」
「それに!」
ワイが言い淀むと、畳み掛けるように言われた。
「そちらの話が真実だとする証明もない!」
ぐ。正論だ。
「確かにこっちの話を信用する根拠なんて何もないですけど、話くらい聞いてくれてもいいんじゃないですか?」
こうなりゃゴリ押しだ。
「そこまで言うのなら、我らと勝負しようではないか。そちらが勝てば我らの新しい主として認めよう。」
奥から長のような犬人族が出てきて言う。
勝負?じゃんけんとかじゃないよね?戦うってこと?
ワイ戦闘力0なんだけど?
「そちらは、ドラゴンに勇者、ダリア様に気まぐれとチビでよろしいかな?」
お?ワイ1人じゃなさそう。
「えーと。」
ワイが他のメンバーを見るとワイの答えを待たずにダリアとチラコンチネが答えた。
「「もちろん!」」
息ピッタリだな。
「では、ルールは参ったと言わせた方の勝ちとしましょう。殺したり一生残るような傷は失格。どうかな?」
「やってやるのだ!」
つまり降参させればいいわけか。
ダリアがいれば何とかなりそうだな。
犬人族も精鋭の5人が出てきた。
長の開始の合図と共にティムが空高く舞い上がった。
ぐるる。という唸り声と共になぜか犬人族と戦闘になった。




