第二十章その4
――猫の里。
<小人の帝国>の南方に位置する草木で作られた家々が特徴的な里だった。
住んでいる種族は、猫人族。
人間に猫耳と尻尾を加えたような、オタク向けの里だ。
しかも女性が多い!
ワイのテンションも当然上がる!
「うおぉー!ネコミミ!」
「タローは変な奴なのだ。」
呆れたようにダリアに言われるが、仕方ないじゃないか。
ネコミミは男の憧れだろうよ!
「勇者様。私共小人族の方が優秀ですよ?」
タイニーも何故か怒ってるけど、ワイのテンションはそんなものでは下げられない。
「ようこそ勇者ーダリアー。」
気さくな感じで猫人族に迎え入れられた。
女性は胸元と腰回りを布で隠しているだけの服装、男性は腰回りのみを隠していた。
何とも開放的な種族なことか。
チラコンチネと名乗った褐色肌の女性が里を案内してくれた。
「この里は、草木で覆われているけど、アタイらは身体能力に自信があるからさ、色んな仕掛けを作って暮らしてんだ。例えばそこ。」
ワイの目の前の地面を指さされた。
ドシン!
落とし穴がった。
「家の中も壁かと思ったら隠し扉だったとかがたくさん。」
忍者屋敷みたいな感じか?
ケツをさすりながら穴から這い上がる。
「落とし穴があるなら先に言って欲しいな。」
「大丈夫か?タロー。」
ワイは平気だけどタイニーは?
懐を見ると、笑顔で微笑まれた。
「心配してくださってありがとうございます。」
「タロー!また他の女とイチャつくのか!許さないのだ!」
ダリアがいちなり怒って来る。
「何?勇者ってそんな感じなの?ならアタイも混ぜて貰おうかな♪」
なかなかボリュームのある胸をワイの腕に押しつけてくる。
実にいい感触だ。
「あ!タロー!また喜んでるな!」
ダリアに叩かれた。
そりゃ喜ぶでしょ。
まぁ口には出さないけどね。
「よ、喜んでないって。」
これ以上叩かれたくないし、ここは紳士キャラでいこう。
「勇者様。顔がにやけていましたよ?」
こらタイニー!そういうことは言わなくていいの!
「むぅー。」
あれ?怒られるかと思ったらふくれっ面になった。
え?涙?え?
「あぁー勇者泣かしたー。」
チラコンチネがそれを言うか?
「悪かったよダリア。」
とはいえ女の子を泣かせたとなっては、ワイの立場が危うくなる。
「タローはダリアのことが嫌いなのか?」
「嫌いなわけないだろ?」
「なら好きか?」
えぇー?ここで聞く?
みんないるじゃん。
好きだけど恥ずかしいし言いにくいなぁ。
涙目で上目遣いをしてくる。
どこでそんな技覚えたんだ!
「す…好きだよ…」
急にダリアが笑顔になった。
「良かったのだ。これからはずっと手を繋いでいたいのだ。」
そう言って手を差し出してくる。
あぁ手ね。
まぁ最近は手を繋ぐこともドキドキしなくなったしな。
ダリアの手を握ると、チラコンチネとタイニーに何故か笑われた。
「勇者はダリアには絶対勝てないねー。」
「そりゃあ、俺の戦闘力なんて0だからね。」
「そういうことじゃありませんよ?分からないのも無理はありませんが。」
はぁと何故かため息をつかれた。
何でこんなにワイが呆られてるの?
ふてくされて、ダリアと繋いでいない方の手をポケットに入れた。
!
「あー!」
思わず叫んでしまった。
ドワーフから貰ったミニロボット――タロウサン――が壊れていたのだ。
さっき落とし穴に落ちた時だろうか?
「あぁ、多分機械たちが直してくれるんじゃない?早く直したいならとりあえず族長に挨拶して、<廃屋の街>に向かうといいよ。喜んで直してくれるんじゃないかな?とゆーか、ずんぐりむっくりが作ったやつなんかアタイなら信用できないけどね。」
簡単に言われたけど、男のロマンが壊れたんだよ?ワイの心の傷は?
なんかこの里、男の肩身が狭い気がする。
こうしてワイ達は、族長がいる屋敷に案内された。




