第二章その2
ローゼルの知識のおかげで、豊富に食料をゲットした。
カルドンたちも戻って来たし、とりあえず野草を煮込むことにした。
「フッフッフ。出番だぞ!我が弟子グラジオラスよ。」
はいお約束ー。
カルドンが顔の前に手を広げて中二病全開ポーズを取っている。
グラジオラスも、はい!マスター!とか返事してるし。ノリノリだな!
「万象全てを焼き尽くす獄炎!悠久の時を経て解き放たん!万物全て灰となれ!」
ここでグラジオラスに合図を送る。
集めた木の枝に小さな火が宿る。
「ファイア!」
なぜかカルドンが叫んでいる。
グラジオラスはぐったりしてるし。ほんと魔力ないな。
野草を煮ている間に、ふとした疑問をワイは投げかけてみた。
「そういえば、グラジオラスの魔力って増えないの?」
「どうなんでしょ?マスター分かりますか?」
「フッフッフ。伝承によると、人の魔力は修練によってのみ増幅するらしい。」
大層なこと言ってるけど、つまり修行をしろってことか。
「つまり、たくさん魔法を使ってれば自然に魔力が増えるってこと?楽でいいなー。」
ローゼルが羨ましそうに言う。
確かにそうか。グラジオラスは強力な魔法も覚えていることだし、こうしてちまちまと魔法を使わせておけば自然と魔力が増えて、気が付いたら最強の魔導士になることも夢じゃないわけだ。
「フッフッフ。修練はこの最強マスターである俺に任せてもらおうか。」
まぁどうせ、カルドンもグラジオラスも使えないし、別に今はどんな修行でも問題ないか。
「よろしくお願いします。マスター。」
にこりとグラジオラスが微笑む。やっぱ行動は可愛いけど見た目はイマイチだな。
「フッフッフ。俺の修行は厳しいぞ!」
ということは、へなちょこでヘンテコなパーティーの魔導士の成長は期待できそうだ。
残りは、ワイとローゼルとカルドンか。
まぁカルドンは教官役だから成長は後回しだな。
「ウチは体力と運動神経には自信あるんだけどなー。」
確かに一日中歩き回ってるのに、元気なのはローゼルとダリアくらいなもんだ。
「ローゼル。君は、遠くから弓矢で攻撃するんじゃなくて、矢を槍みたにして使って攻撃したらどうだろう?」
なるほど!さすがはカルドン!
「えー!遠くから矢で射貫くからかっこいいんじゃーん。そんなのやだよー。」
子供か!
「まぁ考えておいてくれたまえ。気持ちは分かるがな。遠くから弓矢で攻撃。かっこいいよな!」
分かるの?
「でしょ?敵が近づく前にせん滅できたりさ、ふ。たわいのないとかなんとか言っちゃってさ。」
「確かに、魔法に近い魅力があるのも事実。ロマンを追い求めるのは必要なことだしな。」
なんかカルドンとローゼルが意気投合しちゃってるし。
「というわけで、ウチは頑張って弓矢の命中率を上げるようにするよ!」
勇者はどうするの?とローゼルがワイを見てきた。
「勇者様は勇者様ですから大丈夫です。」
グラジオラスが理由にならない理由を挙げている。
「うむ。太郎は勇者だしな。大丈夫だろ。」
カルドンまで。ローゼルも、そっか。と頷いてるし。何なの?勇者って。
「ダリアは最初からタローのことを信じているのだ!」
あ、ありがとね。
そんなこんなを話している内に、野草が煮えてスープが出来上がった。
明日の朝にはローゼルが仕掛けた罠に兎がかかっているだろうとのことだ。
お腹も満たされて夜が耽る。
みんな眠くなり、眠りに落ちた。
この時は何も考えていなかった。
街の外で野宿することがどんなに危険なことなのかを。
誰も見張りとか立てずに、寝ることがどれ程危険なのかを。




