第十九章その3
――神界。
「ゼウス様。なぜスクリュードライバーを人間のところへ向かわせたのですか?」
ジントニックが跪きながら訊ねる。
「私が彼を向かわせたことが不満ですか?今モスコミュールとジンバックとソルティドッグによる大掛かりな呪いが発動しようとしています。無論、この呪いが発動したら人族は滅びるでしょう。しかし私は人族を滅ぼしたくはないんですよ。分かりますか?」
微笑みながらゼウスが訊き返す。
「人族が、私達にとって都合よく動いてくれるコマだからですか?」
「えぇ。その通りです。私達の中には人族も魔族も全て滅ぼしてしまいたいという考えの持ち主もいます。もちろんその考えも1つの意見です。ですが、コマが使えるならばわざわざ殺すこともないでしょう。」
「そのためにスクリュードライバーが向かったというわけですか?」
ジントニックの問に、ゼウスはにこりと笑って答えた。
『…人族が私達に危害を加えず、今まで通り私達の言うことを聞くなら、今回のことを見過ごすおつもりなのね…』
ジントニックの考えを見抜いたように、最高神ゼウスは、その通りです。と言った。
ジントニックの背中に冷や汗が垂れ落ちる。
「人族は、私達を裏切って自分たちだけの世界を作ろうとしています。それでもお許しになるのでしょうか?」
心の中を見透かされたジントニックが、一番聞きたかったことを聞いた。
「そうですね。私にとって脅威なのは人族ではなく魔族です。人族は私たちの前に何にも出来なくなります。」
ジントニックはそこでハッとした。
「そのための呪いというわけですか?」
にこりと微笑まれた。
「歯向かえず、飼い殺しにされる表情はどんなものなのか、楽しみですね。」
言い方は穏やかだが、その微笑みは邪悪そのものだった。
ジントニックは冷や汗が止まらなかった。




