第十九章その2
――りんご市。
ダリアが復旧作業を手伝ってくれたこともあり、街はかなり復旧していた。
市民のことを考えるならば街の復興が急務だ。
しかしこの街は今、それどころではない状況になっていた。
「ギルド長!こっちよ。」
オネェ受付が声をかけているのは、街のギルド長。
「全く厄介なことになったものだ。」
ギルド長がぶつくさ文句を言う。
街に、<神の村>からの使者がやって来たのだ。
「このタイミングで<神の村>からの使者ってことは…」
オネェ受付が言い、ギルド長が頷いた。
「間違いない。勇者関係のことだろう。」
実はりんご市には、何度か<神の使い>を名乗る<神の村>からの使者がやって来ていた。
勇者に関する伝説を各地に広めるのが表面上の名目。
その実は、人族全体に対しての動きの統一化が目的。
前回の魔族の全滅もその1つだった。
とはいえ、人族だっていやいや従っているわけではない。
要は利があるから従っているわけで、その利は実情を知っている全人族の願い、神殺しに繋がる。
りんご市のギルド長とオネェ受付は実情を知っている。
つまり、人族が偶然に神を創り出してしまい、その神によって人族は奴隷へと成り下がっていること。
そのために、人族は神を殺すことを密かな願いとしていることだ。
「人族こそこの地の支配者になるべき。という考えは理解できる。俺もそう思う。だが今はタイミングが悪い。」
ギルド長が言うように今はタイミングが最悪だった。
<神の使い>がりんご市に来る数分前に、<神の軍勢>が直々に街にやって来たところだった。
「家畜程度にしか見ていない私たちに何の用なのかしら?」
フン。とオネェ受付が鼻を鳴らす。
<神の軍勢>は基本、<神の村>の上層部たちとしか会わない。
それで十分だし、それ以上に人族に興味がないからだろう。
その神の言葉を伝えるための、<神の使い>なわけだし、今までも神の命令を人族はきちんと聞いていた。
「分からんが、これがいい予兆なわけがない。俺は神と会う。お前は使いを任せる。<神の軍勢>が来ていることをしっかりと伝えておけ。」
急ぎ足で2人は別々の部屋に向かって行った。




