第十八章その2
太郎が町を出てからかなりの日にちが経っている。
カルドン達にはまだ結論が出ていなかった。
疑問に思っているのは、人族が神殺しをしたい理由が不明な点、神が人族に危害を与える点の2つだった。
「仮に神がいるとして、魔族と敵対しているのであればその魔族を滅ぼしたいという気持ちは理解できる。」
カルドンが言うと全員が頷いた。
「だが、俺たち人族に危害を加える意味が分からん。俺たち人族も滅ぼしたいという気持ちならば、そもそも勇者に魔族討伐の指示を出したりはしないだろう?」
カルドンがみんなを見渡す。
その言葉を受けてローゼルが続ける。
「んで、仮に<神の軍勢>と名乗った奴らが魔族だった場合。同族である魔族討伐を依頼する意味が分かんない。」
「そして僕たち人族が、神殺しをしたい理由が不明…」
とヒゴタイが続けた。
「分からないことが多すぎですな。」
ギルド長が言う。
「逆に分かっていることって何なのでしょうか?」
グラジオラスが皆に問う。
「そうだな。まずこの地に最初に誕生したのは魔族だということ。そして人族が魔族を追いやって栄華を極めた。勇者という存在が魔族を滅ぼすと言い伝えられていること。同時に勇者という存在が神殺しをしてくれるといことだけだ。」
カルドンは自分で分かっていることだけを挙げながらも、意味が分からないと付け加える。
「これってさ、勇者が魔族も神も殺すってことでしょ?」
ふと何かに気づいたローゼルが言う。
「んで、神は勇者に魔族を殺させたい。ウチら人族は神を殺させたい。勇者って存在は、神も魔族も殺せる存在だから、ウチら人族的には神を殺してほしいってことなんじゃない?で、神はそのことに気づいたから、ウチら人間に攻撃を仕掛けてるとか。」
「確かに辻褄が合っているな。となると俺ら人族にとって魔族は敵ではないということになるな。」
これにはギルド長も驚いた。
「もしもですよ?もしもそれが本当のことだとしたら、我々は物凄いことをやるということになりますよ?存在するかどうかすら分からない神を殺すなんて、絶対に何にも起きないはずがありません。必ず酬いを受けることになりますよ?」
震えながらギルド長が言う。
「憶測だが、俺たち人族は手助けをするだけなんだろう。報いは勇者に受けさせるという寸法なんじゃないか?」
「だとしたら、僕たちは魔族を倒してもらおうとしていた以上に、太郎ちゃんを裏切っていることになっちゃうよ…」
カルドンの言葉にヒゴタイが悲しそうに言う。
「そう。そしてチーゼルはこのことを知っていた。俺に太郎のことを頼んできたからな。」
そう言ってカルドンはチーゼルとのやり取りを話した。




