第十七章その4
――遠い昔。
この地には魔族が悠々自適に暮らしていた。
支配も隷属もない。自由で明るい世界。
そこにエルフやドワーフなど人族以外の異種族がやって来た。
心の広い魔族は、異種族の居住を放置し、共に仲良く暮らしていた。
大陸は、エルフ達異種族の技術と魔族の魔力で栄華を極めた。
黄金郷。そう呼ぶのにふさわしかったのだろう。
数百年数千年以上遅れて人族がやって来ると、その知能で次々に土地を支配していった。
力ある魔族達は討伐され、魔王ブッドレアは城に隔離された。
野に下った魔族達はモンスターと呼ばれるようになった。
エルフ達は、<異種族の世界>と呼ばれる隔絶された地域へと追いやられた。
こうして人族は、台頭してすぐに土地の支配権を人族の物としてしまった。
更に知能ある人族は、モンスターや異種族を捕まえては実験を繰り返し、やがて神となる存在を作り出した。
最高神ゼウスだ。
神すらも自分たちの意のままに操れると思った人族は、<神の軍勢>の前に見事に敗れ去り、奴隷のごとき扱いを受けた。
<神の軍勢>は地域の覇権をかけて魔族と争い、魔族に負け、奴隷である人族にこう命令した。
――いつしか勇者を名乗る者が現れし時、魔族を滅ぼさせよ。
命令を守らせる人質として、数百人の人族が山に囲まれた<神の村>へと連れてこられた。
以降、人族は奴隷として神たちの命令を聞いている。
しかし人族は気づいてしまった。
神でも勝てない魔族を勇者が倒せるならば、勇者をたぶらかして神を討つことも可能であることに――
そして今、神が現れた。
人族は歓喜した。
――人族を自由に導く勇者が現れた。今こそ勇者によって神殺しをさせん!




