第一章その6
すいかシティで数日間ワイらは滞在した。
ローゼルはグラジオラスとカルドンにすんなりと受け入れられた。
受け入れさせたが正しいのか?
「よ!ウチはローゼル。勇者の仲間になったからよろしく。」
ワイにした挨拶と同じように、2本の指をこめかみからちょっと上にピッと上げながら挨拶をした。
「フッフッフ。俺は誰が仲間でも問題ない。」
さすがはイケメン。物怖じしないね。女慣れしてそうだもんな。
ちゃっかり手を握って、よろしく。なんて挨拶してるし。
「ローゼルさん。よろしくお願いします。」
グラジオラスは反対に緊張したような感じだ。
見た目は運動部とかに入って活発そうだけど、中身はワイに近いと見た!
とまぁこんな感じで、ヘンテコなメンバー5人は、色んな依頼をこなしつつ日銭を稼いでいた。
装備品を買う前にみんなのご飯代で消えるのは何故なんだろうな?
ところで、グラジオラスだが、きちんとファイアといういかにも初級な魔法をカルドン指導のもと習得していた。
しかしこれがカルドンと一緒にいることで、恐ろしく弱くなってしまった。
というのも、カルドンの長ったらしくて訳の分からない詠唱を終えないとファイアを出してはいけないというルールがあるからだ。
初級魔法なので、威力はさほどない。
なのにグラジオラスの魔力は1発で底を尽きてしまう。
魔法は覚えたけど、基本戦力にはならないと考えた方がいいだろう。
戦力にならないと言えばローゼルも同じだ。
アーチャーと言うだけあって、ローゼルは自前の弓矢を持っていた。そこだけは評価できる。
だがこの女。ありえないくらいのノーコンだった!
目の前の敵に矢が当たらないならまだしも、後ろにいる仲間に矢が飛ぶのはどういう仕様だ?
かく言うワイも全く進歩なし。
喧嘩なんてしたこともないし、したくもない平和主義者のワイ。
可愛いらしい兎が現れたとしても、殺すことなんてできない。
なんなら、このまま武器が永遠に手に入らなければいいのにとさえ思ってる。
というわけで、相変わらずダリアの一強パーティーなわけだが、顔見知りになったギルド受付のおっさんに、ひょんな依頼を頼まれた。
依頼の内容は、とある書類を隣町まで届けるというもの。
報酬は、全員の装備が買える金額とのことで引き受けた。
今にして思えば、この依頼を引き受けたことが、ワイのこの世界での人生を決めたのかもしれないな。
こうして、へなちょこでヘンテコなパーティーは隣町までの旅をすることになったのだった。




