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【悲報】勇者に転生したワイ魔王の娘に好かれる  作者: shiyushiyu
再びレモングラスの森へ

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第十三章その3

ダリアは街の復興を手伝っていた。


重い物を運ぶのは得意だった。


『タローはダリアの事を何にも分かっていないのだ!」


ぶつくさ太郎についての文句を頭に浮かべながらも、街を少しでも復興させようと尽力していた。


「悪いねお嬢ちゃん。」


街の人々はダリアがよく働いてくれるのを見ていた。


誰もまさかダリアが魔王ブッドレアの娘だとは思っていなかった。


ダリア自身も、街が魔族に襲われたのだから、自分が魔王の娘だと告白する気はない。


『ダリアはタローの味方なのだ!なのにダリアを置いて山へ行ったり今度は森!タローに何かあったらダリアはどうすればいいのだ?だいたい最近タローは酷いのだ!ダリアと接吻しようとしていた癖にスカーレットを選んだり、ダリアを1人にすることも多すぎるのだ。』


ふん!と腹いせにゴミをゴミ置き場に投げ捨てた。


「上手くいったようだね。」


ひそひそ話が耳に入る。


ダリアとしては別に聞くつもりもなかったのだが、気になるキーワードが耳に入ってしまった。


「勇者たちはまんまと騙せた。あんた達には感謝しているよ。」


「俺達は金さえ貰えれば何だっていいさ。」


ダリアは声のする方へとそうっと歩く。


どうやらこの先の角で話しているようだ。


そっと覗くと、1人の人間が3人の人間に囲まれているのが見えた。


「金もそうだけどよ。俺は真実が知りたいぜ。何で魔族を村に引き入れて破壊する必要があったんだ?俺達みたいなごろつきが魔族は悪だと言っても聞き入れて貰えないけど、お前みたいに身分が高そうなやつが言ったらみんな聞くんじゃねぇのか?」


先の1人はさっさとお金を受け取りたい様子だが、別の1人は真相を知りたがっているようだ。


『真相?村に引き入れた?どういう事なのだ?』


「そうだねー。あんた達には感謝しているし。どうせ最後になるんだ。教えてあげるよ。ボクは神の軍勢の1人、<土砂のカリモーチョ>。ボク達神の軍勢は魔族を滅ぼしたいんだよね。そのためには勇者の力が必要なわけさ。そのために君たちに働いて貰って、ボクの力で魔族に変身した人形を上手に扱ったってわけさ。」


カリモーチョと名乗る男はひょうひょうと答えた。


「神?何を言っているんだ?」


真相を知りたがっていた男は混乱しているようだ。


「いいからよ。さっさと金よこせよ。」


最初の男は金をせびる。


「わかんないのかい?だから君たち人間は滑稽なんだよ。ボク達神軍勢のおかげで人間と魔族の戦争が始まるんじゃないか!」


イヒヒ!とカリモーチョは不気味な笑いを浮かべ、眩しい光が現れたと思ったら、カリモーチョを囲んでいた男3人は消えていた。


『あいつらのせいで魔族が悪者に!スカーレットを殺したのもあいつらの仕業!』


怒りに任せてダリアは角から姿を現した。


「!あんたは魔王の娘ちゃん。あんたのことは殺せない約束なんだ。悪いこと言わないからさっさと城に戻りな。」


カリモーチョは一瞬だけ驚いた表情を見せたが、すぐに真面目なトーンで忠告する。


「さっきの話。本当なのか?」


ダリアは怒りで声が震えていた。


「ん?あぁ。聞かれていたか。本当だよ。ボク達神の軍勢が人間達をけしかけて、あんた達魔族と戦争させるのさ。勇者の仲間が1人死んだのは仕方ないよね。尊い犠牲とかいうの人間は好きじゃん?」


「ふざけるな!」


ダリアのパンチは片手で止められてしまった。


「やっぱり魔王と違って娘は弱いな。生かしておくつもりだったけど仕方ないよね。さよなら魔王の娘ちゃん。」


男3人を消し去った眩しい光をカリモーチョは放つ。


――ドッ!


りんご市を中心に大きな衝撃が走った。


この時、世界中の魔法を扱える者が震撼した。


世界で何かとてつもない大きな物が誕生し、それが怒っていると感じたからだ――


神の村では、神の怒りに触れたと思いすぐに生贄の儀式が始まった。


「な…何だよその力…」


カリモーチョが慌てる。


攻撃は確かに与えた。確実に致命傷だ。


魔王やその娘の生命力がどんなものかは不明だが重傷には間違いない。


だが、とどめを刺すまで油断できない。出来ないのだが――


『これは…とどめなんて刺せないだろう…退くしか…でも退いたらボクの計略が勇者にバレる危険性も…』


くそ!という言葉を置いてカリモーチョはその場を後にした。


ダリア。魔王の娘というのは伊達ではなかった。


何もしなくともカリモーチョが逃げ出すほどのポテンシャルを秘めていたのだった。


しかし、カリモーチョに攻撃されたダリアはその場でドサリと倒れてしまった。


ダリアもカリモーチョを追う気力はなかったようだ。

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