第十三章その1
<ラベンダー山>を爆破した後、今度は遠征部隊を2つに分けることが発表された。
1つは<レモングラスの森>へ向かって<レッドドラゴン>の討伐を目指す。
もう1組は<ミント洞窟>の完全踏破を目指す。
りんご市の討伐隊は、<ミント洞窟>踏破をメインにするため、ほとんどの冒険者が<レモングラスの森>へ向かうことになった。
ワイ達もドラゴン討伐の方だ。
りんご市は相変わらず復興中だが、<ラベンダー山>の<ブルードラゴン>の脅威がなくなったことで、街自体は活気があった。
「このまま<レッドドラゴン>を討伐できれば、すいかシティとの交流が楽になるな。そうすれば、すいかシティの戦力もこちらに移すことが可能だろう。」
地図を見ながらカルドンがそう説明してくれた。
「<レッドドラゴン>も<ブルードラゴン>みたいに、爆破させたりして倒すのでしょうか?」
ワイが訊くとカルドンは首を横に振った。
「いや。<ラベンダー山>は有用な資源がないから、爆破させたのだろうけど。<レモングラスの森>には豊富な資源がある。さすがに燃やしたり爆破させたりは出来ないだろうよ。」
なるほど。ということは正攻法で戦うわけか。
「でもねぇー。<ブルードラゴン>は水。<レッドドラゴン>は火だからねー。どっちが強いか分かるでしょー?」
チーゼルが相変わらず鼻毛を抜きながら話す。
「今度こそ本当に命がかかってるわけよ?太郎。あなただってまだ死にたくないでしょ?」
「う。そ、そりゃ死にたくないけど…」
ずいっと目の前に迫られる。
チーゼルのどアップはかなり迫力がある。
「今回は前線には絶対に出ちゃダメよ。私達パーティは後方支援を担当する。それが出来ないならこの遠征には参加しないわ。」
更にチーゼルに迫られて、ワイはその意見を採用した。
ワイだって命はほしい。
他の誰かが<レッドドラゴン>を倒してくれるならそれに越したことはない。
ワイが同意すると、チーゼルは満足そうにこちらに抜いた鼻毛を飛ばしながら、それでいいのよ。と言った。
毎回毎回、何で鼻毛を飛ばしてくるのか、理解に苦しむ。
「あらぁ?分からないの?」
え?ワイ声に出してないよ?
「顔に出てるのよ。私が鼻毛を飛ばすのは、愛情表現よ♥」
またキスされた。今度は頬だけど。背筋がゾクゾクした。
「あ!ずるいチーゼルちゃん!」
「あんたはもー!またそーやってすぐ抜け駆けするー!」
ヒゴタイとローゼルが怒っているがとりあえず現状の整理が先だ。
ワイはほっぺをティッシュで拭きながら、これから先のことを考えた。
とりあえず3日後の<レモングラスの森>遠征に参加して、後方支援やドラゴン以外のモンスターを倒す。
そのためにしなければいけないこと。それは…
「グラジオラスとヒゴタイの魔法の習得だな。<風の刃>と<プロテクト>は重要だ。」
カルドンがそう言うと、驚くべきことにローゼルから別の提案があった。
「魔法って言うとさ、ウチからも提案なんだけど。チーゼルの地面系の魔法をウチに教えてくれないかな?やっぱ戦って分かるけど、魔法があるのとないのじゃ全然違うんよね。アヤメとカルドンは回復系を覚えた方がいいと思うんだ。」
どうだろう?とみんなを見回す。
「俺はその意見に賛成だな。戦力は少しでも多い方が魔族を滅ぼしやすいし。」
ヤグルマソウが同意し更にオミナエシも、ワシもそう思う。と強く頷いた。
出発までの短い時間で、なるべく魔法を習得していないメンバーが習得を目指すことになった。
そういえば、もう1つ驚いたことがあった。
なんとダリアだが、この街で復興を手伝っていた。城に戻っていなかったんだな。
とはいえ、ワイ達と遭遇しても会話すらしないけどね。
ワイ達にとってダリアは裏切り者みたいなもんだし。
まぁ、事情を知ってるワイは裏切り者ではないことを知っているけど、それでもダリアならワイ達に協力してくれると思ったんだけどなぁ。
そういえば、カルドンに死者を蘇らせる方法がないか聞いたことがあったっけ。
「死者蘇生か。魔法ではそういう魔法はないな。古代から不老不死だとか、不老長寿、死者蘇生などは研究されているが、やはり無理なんだろうな。」
とのことだった。
物語の世界だと、死んだ者を蘇らせることもできるのに、やっぱり現実はこうなんだな。




