第一章その3
声の方を向くと、細身でやや長めの黒い髪をした男が立っていた。毛先は白く染められており、恐らくこれがオシャレなんだろうと思わせる。
しかもルックスがまたいい! いわゆるイケメンというやつだ。
あれぇー? ハーレムルートなら男はいらないんだけどなぁー。しかもイケメンだと?
「君たち。今魔王と言ったよな? もしかして魔王を退治する勇者一行か?」
声までイケメンボイスだ。
グラジオラスとこの男がいれば、声だけで仕事ができそうだな。
「何なのだ? お前は?」
物怖じしないダリアがない胸を張りながら言う。
グラジオラスも胸がないから、次の女の子は巨乳だといいなぁ。
「フッフッフ。俺か? 俺はカルドン! 勇者と共に魔王を討つ者なり!」
腕を組んで自慢げに話すカルドン。
「そうか! ならお前も仲間だな。ダリアだ!よろしくなカルドン」
アホな考えをしている間に勝手に話しが進んでいるぞ?
腕を組むカルドンの手を引っ張りながら、ワイとグラジオラスの近くまでカルドンを連れて来る。
カルドンが高身長で、ダリアが小さ目の身長だからか、それともカルドンが大人っぽい見た目だからなのか、親子に見えなくもないな。
「えーと。一応勇者の山田太郎です」
ちょっと照れながらワイが挨拶すると、いきなりワイの両手を握ってきた。キモッ!
「そうか! 君が勇者か! 太郎! いい名だ。俺はカルドン! 魔導士を夢見るシーフだ! 共に冒険が出来ることが楽しみだ!」
魔導士を夢見るシーフ? 何それ?
「えと。魔導士のグラジオラスです。よろしくお願いいたします」
「おおお! 君は魔導士なのか! するとあれか? かっこいい呪文とかを詠唱したりするのか?」
今度はハイテンションでグラジオラスの手を握り始めた。
いとも簡単に女の子の手を握れるとは! 侮れんやつめ!
「詠唱? 呪文などは唱えません。大事なのは内なる魔力を媒介を使って外に放出することです。私の場合はそれが杖になります」
「何だと? それはいけない! 俺がこれからかっこいい呪文をたくさん考えてあげよう! いいかね? 俺が呪文を詠唱し終わってから魔法を出すようにするんだ! いいね?」
「え? え?」
謎にハイテンションのままカルドンはグラジオラスに訳の分からないルールを押し付けていた。
「それと、俺のことはマスターと呼ぶのだ。はい。言ってごらん?」
また訳の分からないルールを押し付けて。グラジオラスも困っている。
あれかな? カルドンはもしかしたら中二病なのかな?
「太郎よ。1つ提案がある! この町にはなかなかに上等な装備品が売られている。まずは装備品を整えてから魔王の討伐へ向かわないか?」
なかなかまともなことを言うではないか。さすがは見た目最年長!
「いいんですけど、俺たちお金ないんですよね。」
俺たちと言って、ワイは自分とダリアを指さす。
「それから、魔王討伐の前にモンスター退治をすることに決まったんですけど大丈夫ですか?」
「なるほど! 魔王よりも前にその配下を倒す! 最もな戦術だね! お金に関しては依頼をこなすしかないだろうな」
依頼? クエストみたいなもん?
街中には、色んな人が困っていることを掲示板に出すらしい。
まぁいわゆるクエストだよね。
「とりあえず簡単そうな依頼をこなしていきますか?」
最年長であるカルドンに一応確認する。
「太郎よ。君が勇者なんだから俺たちのリーダーは君だ。君が決めたことに俺たちは従うさ」
そうなの? やっぱり勇者だから?
とりあえずどんな依頼があるのかを見てみよう。




